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油(°Д°)の掲示板

 【ニューヨーク=稲井創一】石油輸出国機構(OPEC)による減産合意を受け、米国のシェール企業には原油の生産再開や増産の動きが出てきそうだ。シェール企業は原油安局面でコスト競争力を高めており、市況回復が続けば採算が取りやすくなるからだ。ただOPECの減産分をシェールの増産が埋めることにもなりかねず、供給過剰の解消にはなお時間がかかる可能性がある。

 OPECは2014年11月に減産を見送り、原油先物相場の下げを容認した。背景にあったのが米国のシェールブームだ。米の原油生産は5年でイラク1国分に匹敵する日量約400万バレル増加し、市況の撹乱(かくらん)要因となっていた。減産見送りで原油安を加速させ、米シェールを市場から追い出す狙いがあった。

 原油相場は急落し、今年2月には指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1バレル26ドル台を付けた。OPECの思惑通り米シェール企業は苦境に陥り、15年から今年9月上旬までの倒産件数が102社に達するなど、米エネルギー業界は「厳冬期」を迎えた。

 ただ、肝心の米原油生産量は直近で日量849万バレルと、15年6月のピークから約110万バレルの減産にとどまる。原油価格の低迷時でも生産を維持できるようにシェール企業が生産の効率化などのコスト削減を急いだためだ。

 米シェール企業にとって、採算のとれる原油価格は1バレル40~70ドルとされる。ただ足元ではより安い相場水準でも利益が出る企業が増えてきた。

 一部のシェール企業は地層のビッグデータ解析などIT(情報技術)の活用などで、1つの油井から生産できる量を飛躍的に増やした。生産活動を支援するサービス会社への費用も大幅に削減。「1バレル30ドル台でも十分利益が出る」(EOGリソーシズのウィリアム・トーマス最高経営責任者=CEO)という例も出始めた。

 「歴史的な合意だ。1バレル60ドルへの(相場の)回復に向けての第一歩となる」(米商品先物企業プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏)。OPEC合意の報道を受け、28日のWTIは前日比5%高の1バレル47.05ドルに急伸した。

  • >>13

    このまま原油価格の回復基調が続けば、シェールは生産強化に動く可能性が高い。生産活動の先行指数となるリグと呼ばれる石油掘削設備の稼働数は今年5月27日時点の316基を底に9月23日には418基まで回復。14年10月のピークに比べ4分の1の水準だが、価格がさらに戻れば掘削・生産活動を再開する企業が増えそうだ。

     ただ、今後の原油価格の先行きについてRBCキャピタル・マーケッツのヘリマ・クロフト氏は「1バレル50~60ドルが中心帯で、75ドルや80ドルには戻らない」と話す。OPEC減産合意はシェール企業にとって朗報だが、原油価格回復に乗じて生産強化に走れば、原油価格が再び下落基調に転じる危うさをはらむ。