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Achilles Last Standの掲示板

>>37

そこから四半世紀、絶縁材料の技術革新によって、MPUの高性能化を「土台」から支えてきた。
グローバルニッチトップとして世界にその名をとどろかすABFだが、半導体業界では技術世代が変わる度に陳腐化するリスクを抱える。同社は足をすくわれないように、1999年から培った10種類以上の原料を配合する技術とソリューション提案力の高さを参入障壁とし、競争力確保に努めている。ABFのうち「秘伝のタレ」に相当する樹脂組成物のワニスは味の素ファインテクノの群馬工場(群馬県利根郡)で生産し、フィルムに塗工する工程や低温物流は工場近隣の外部企業に委託している。こうした体制もひとえに開発力に磨きをかけるためだ。

「(強みは)お客様のニーズを先読みした高速開発。言われてから作るのではなく、こうなると先読みしていくつかの処方をある程度のレベルに仕上げて、お客様のニーズが来た時点で人数をかけて一気に開発をする」。21年6月の機関投資家・アナリスト向け事業説明会で味の素ファインテクノ幹部は自らの強みをこう分析した。高速開発とは実験室での開発、試作、客先評価を短いサイクルで繰り返し、製品化スピードを速める取り組みのことだ。

エコシステムという取引先とのつながりも開発力の鮮度を保つには欠かせない。直接の顧客である基板メーカーだけでなく、その先の半導体メーカー、原材料を購入するメーカー、基板製造プロセスに関わる薬液や装置メーカーなど、バリューチェーンに関わる会社と密接に連携している。取引先を引き付けるには研究開発力引き上げも不可欠だ。24時間稼働可能なロボット導入による短時間でのサンプル計測、大量のデータを統計分析する「マテリアルズ・インフォマティクス」を駆使した配合条件の検討など、最新技術導入にも余念がない。

パソコン向けやデータセンターのサーバー向けに高性能MPUの需要が伸びるのに合わせて、ABFの出荷量は2024年度には20年度比で約7割増に大幅に伸びる見通し。事業拡張に備え、22年6月完工を目指して新研究開発(R&D)棟を建設する。狙いは実験スペースを大幅に広げるためだ。顧客との連携を深めて先端技術の先行きを捉え、ディスラプション(創造的破壊)をもたらす技術が出るような環境変化にも対応して「キーマテリアルを提供し続ける」(味の素)という。