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"After Corona" の株式市場はどうなる?

"After Corona" の株式市場はどうなる?の掲示板

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  • 2022/02/02 19:03
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掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

  • 2022年の株式相場「注目すべき3大テーマ」
    1/15(土) 6:01配信
    ダイヤモンド・オンライン

     「この株は売り? それとも買い?」「儲かる株はどっち?」まるで投資シミュレーションのようにクイズを解きながら「株で勝つ技術」を身につける画期的な1冊『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』が発売された。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの窪田真之氏。窪田氏に、2022年の相場動向と注目するテーマを聞いた。

    ● チャートを見て変化に早く気づくことが大事

     ──2022年は、引き続きコロナに関する不安があり、参議院選挙や東証の市場再編といった大きなイベントも控えています。窪田さんは市場動向についてどのように見ていますか。

     窪田真之さん(以下、窪田):予断を持たないことが大事だと思っています。ストラテジストは来年は強いですとか弱いですとか言いますが、それも結局のところ先入観です。

     個人的には、日本株は割安ですし、急に世界の景気が悪くなることもないと思いますので、日本株は上昇するだろうというのが私のメインシナリオですが、自分で考えたそのシナリオですら、私は自分では信用していません(笑)。

     ──予想するより、予想に捉われずに対応していくことが大事なのですね。

     窪田:そうです。変化に誰よりも早く気づき、その流れについていくことが大切です。では、変化にどうやって気づくかというと、ファンダメンタルズ分析で気づいてもいいのですが、ほとんどの場合はチャートを見るほうが早く気づくことができます。

    ● AI、バイオ、脱炭素に注目したい

     ──注目しているテーマはありますか?

     窪田:まずはAIやIoTなどテクノロジー関連です。今は大量生産でモノが余る一方で良質なサービスが不足しています。医療、介護、保育、警備などあらゆる分野で良質なサービスを安く大量に提供していくことが求められるため、人間にしかできなかったサービスを代替してくれるという点で注目していますし期待もしています。

     2つ目はバイオ関連です。バイオというと近年はワクチン関連が注目されますが、私はバイオ医薬品が面白いと思っています。従来のような化学物質から作る医薬品ではなく、生物の働きを使って作るのがバイオ医薬品。がん、ウイルス性疾患、アレルギー性疾患の治療で今後ますます注目が高まると思っています。

     3つ目は脱炭素関連です。株式市場で、ESGの視点で、買われる銘柄・売られる銘柄の二極化が起こっていますが、一部に行き過ぎがあると思います。EV関連は過大評価だと思います。ESGバブルの可能性もあると思います。

     一方、LNG関連は過小評価でそこに投資チャンスがあると思っています。脱石炭を進める切り札となるのは天然ガス・LNGであり、今後、不当に売り込まれたLNG関連の見直しがあると思います。出力不安定な自然エネルギー発電を増やすにつれて、調整電源としてのLNG火力の価値が高まるのは必須と思います。

     ──日本株全般についてはいかがでしょうか?

     窪田:米国市場と比べると国内市場には成長株が少ない気がしています。例えば、IT関連は世界に通用するようなインフラを作っている会社がなく、狭い国内で似たような事業を複数の会社が手がけている過当競争の状況だと感じます。

     ただ、日本の小売やサービスは非常に品質が高く、消費力が伸びているアジアで競争力を持っていますので、その関連は成長すると思っています。

     日本市場には高成長株が少ない一方、とんでもない激安株がたくさんあることが特筆に値します。米国市場にも割安株はありますが、日本ほど極端な激安株は見当たりません。PBR0.5倍くらいでキャッシュが十分にあり、利益もきちんと伸びている。そんな激安株が、はやりの成長テーマに乗らないというだけで投資家に見向きもされずに放置されています。

     そういう株が見直されて大きく上昇する可能性もありますが、それがいつかは誰にもわかりません。ただ、そうなる時には、その動きがチャートに現れます。しっかりチャートを見ていれば、伸びていく株を見つけ出せるチャンスは十分にあると思っています。

    窪田真之

  • コロナ禍で強者はより強く、弱者はもっと弱く... 強大になりすぎたGAFAはどこへ行く?
    1/9(日) 17:50配信

    J-CAST会社ウォッチ

    巨大IT企業を表すGAFAという言葉は、日本でもすっかり定着した。グーグル、アマゾン、フェイスブック(現・メタ)、アップルの4社の頭文字を並べたものだ。コロナ禍でますます肥え太った彼らが次にめざすのは何か? 本書「GAFA next stage ガーファネクストステージ」(東洋経済新報社)は、アフターコロナの世界を展望するヒントに満ちている。

    著者のスコット・ギャラウェイ氏は、ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。連続起業家(※)として9つの会社を起業し、ニューヨーク・タイムズなどの役員も歴任している。前著「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」(東洋経済新報社)は、日本でも15万部のベストセラーになった。(※)連続企業家:新しい事業を立ち上げて成長させ、売却し、さらに新しい事業を次々に開拓する起業家。シリアルアントレプレナー。

    今回取り上げる本書は、アフターコロナ時代に合わせてアップデートしたものだ。再びGAFAについて考察しているが、巨大テック企業の権力を抑制することを求める厳しい内容になっている。

    本書によると、コロナのパンデミックは変化を加速させ、GAFAはより強大になった、と指摘している。強者はより強くなり、弱者はもっと弱くなり、あるいは死ぬ、とも書いているのだが......。

    アップルの時価総額は3兆ドルを突破
    アップルの時価総額が1兆ドルに達するまで42年かかったが、パンデミックが起きてからわずか20週間(2020年3月から8月)で2兆ドルを突破した――と本書にあったが、2022年1月3日ついに3兆ドル(約345兆円)を突破、と報道されたばかりだ。

    これは日本企業のトップ、トヨタ自動車(約36兆円)の約10倍にあたり、アップル1社で東証1部上場企業の時価総額合計(約730兆円)のほぼ半分に達するというから、すさまじい。

    新型コロナ危機の何よりも意外な現象の1つが、資本市場の回復力だった。アメリカでは1日1000人が新型コロナで死ぬ一方で、株価指数は上がり続けた。しかし、ギャラウェイ教授は、「株価指数だけ見ていると、認識を誤ってしまう可能性がある」と指摘する。

    株価が回復しているように見えるのは、少数のビッグテックやその他の大企業が、莫大な利益をあげているおかげであり、市場では過酷な選抜が始まっている、という(倒産した企業のリストには、ブルックスブラザーズなど、有名企業がずらりと並んでいる)。

    こうした状況下で、投資家たちは「イノベーション」という物語に賭けている――。つまり、先見性があると思われる企業に投資が集中する、ということだ。しかも彼らは、2030年の予想をもとに有望企業をはじき出している。

    一方、滅びる者と栄える者を決める要因は、資本市場の他にもあるという。それは政府への食い込みだ(アメリカの航空業界は、政府から史上最大級の資金援助を受けて、1社も倒産することはない、と予想している)。

    そのため、キャッシュのない企業、財務基盤の弱い企業は犠牲になる。「弱い立場の企業はいち早くかつ大胆にコスト削減をしないと生き残れない」「会社や部門として支出を見直せ。コスト基盤を可能なかぎり引き下げよ、しかも早く」と厳しい言葉が書かれていた。

    また、新型コロナの影響によるさまざまな変化を挙げているが、その中で興味深いのは、ブランドの時代は終わり、プロダクトの時代になった、という指摘だ。広告が力を失うとも。

    では、プロダクトの時代には、どんなビジネスモデルが有効なのだろうか?

    プロダクト時代を支配する「青」と「赤」とは?
    プロダクト時代を支配するのは「青」と「赤」のビジネスモデルだ。

    どういうことか。

    1つ目の「青」とは、商品を製造コストより高い値段で売ること。この代表はアップルだ。裏でデータ利用されることが少なく、「青」のビジネスモデルと呼んでいる。2つ目の「赤」とは、商品を無料で配り、あるいは原価以下で売り、他の企業に利用者のデータを有料で提供することだ。グーグルのアンドロイドがこれにあたる、「赤」のビジネスモデルを展開している。

    動画でも「青」と「赤」はある。ネットフリックスは「青」だ。お金を払ってコンテンツを見る。一方、ユーチューブは「赤」だ。無料だが、アルゴリズムによって、少しでも興味を持ったものを押し付けてくる。このような二分化が多くの分野で見られるようになる、と予想している。

    日本の読者にとって意外なのは、ソフトバンクを詳細に取り上げていることだ。1000億ドルのビジョン・ファンドはいくつかの点で破壊的であり、「世界中のビジネススクールで今後何十年にもわたって教えられることになるだろう」と書いている。

    「戦略としての資本」として紹介しているが、距離が近いほどビジネスはうまくいくという原則、連続したラウンドでリード・インベスター(※)を続けないという原則、を無視している、と批判している。2016年以降、ウィーワークの複数ラウンドでリード・インベスターを務めているのはソフトバンクだけだという。「自分が売っている麻薬を吸う」ようなものだとたとえ、「痛みはソフトバンクの従業員にアウトソースされる」と、恐ろしい予言もしている。(※)スタートアップ企業の資金調達ラウンドで、中心的な役割を担う存在。

    大変革の対象になるのは「大学」だとして、1章割いたこともユニークだ。アメリカの大学の授業料が高いことは知られているが、これまでは学生ローンが支えてきた(ちなみに、平均的な大学生は、卒業時に3万ドル近くの借金を抱えるという)。しかし今後は、リモート授業によって、学生の数を大幅に増やすことができる、と見ている。巨大テック企業が世界的な有名大学と提携して、4年間で得られる学位の80%を従来の半額で提供するようになるだろう、と予想している。

    著者はまた、あまりにも政府は無力になったとして、資本主義にブレーキをかける役割を期待している。それに関連して、巨大テック企業は独占禁止法による分割が必要だ、と明確に提言している。それは「罰」ではなく、「活性化策」であるという主張には、うなずける部分もあるのでは。

    アメリカはなぜ、あれほど新型コロナの死者を出しながら、経済は好調なのか? その疑問に答えてくれるとともに、資本主義のダイナミズムを示唆してくれる一冊である。GAFAの顧客の一人である我々にとっても有益な卓見を開示している。

    (渡辺淳悦)

  • 来週の株式相場に向けて=新年も「オミクロン株」注視の展開か
    配信元:みんかぶ 著者:MINKABU PRESS投稿:2021/12/30 17:33

    「大納会」となった30日の日経平均株価は115円安と続落。21年の年間では4.9%高で3年連続の上昇となったが、終値では2万9000円に届かなかった。今年は2月に31年ぶりとなる3万円に乗せ幸先の良いスタートを切ったものの、その後は概ね一進一退の展開が続いた。

     新型コロナウイルス感染拡大によるパンデミック下での2年目の相場となったが、依然として相場の基調は新型コロナに一喜一憂する状況が変わらない。「オミクロン株」は、感染力は強いが弱毒化したともみられる。しかし、パンデミック収束に向けての展望はまだ見えない。日本国内でもオミクロン株の感染拡大が本格化するのか、それとも抑え込めるのか。新年の株式市場はその動向を注視しそうだ。

     一方、21年のNYダウの上昇率は前日までで19%、ナスダックは同22%を記録している。東京市場もTOPIXは10%の上昇となったが、米国には見劣りする。新年は出遅れ日本株の巻き返しに期待したい。

     21年は寅年。「寅千里を走る」というが、1949年以来の寅年の上昇率は2%程度。十二支の中では、上昇率は下から3番目だ。ただ、翌年の卯年は16%、その次の辰年は28%上昇している。新年は、安値があれば絶好の拾い場との見方もできそうだ。足もとの相場は、田中化学研究所<4080.T>や日本電解<5759.T>、戸田工業<4100.T>など電気自動車(EV)関連株などに物色の矛先が向かっている。この流れはまだ続きそうだ。

     1月第1週は、海外での重要経済指標が目白押しだ。4日に米12月ISM製造業景況感指数、5日に米12月ADP雇用統計、6日に米12月ISM非製造業景況指数、7日に米12月雇用統計が発表される。5日には12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。国内では4日が大発会で、7日に良品計画<7453.T>やローソン<2651.T>が決算発表を行う。来週の日経平均株価の予想レンジは2万8500~2万9100円。(岡里英幸)

    出所:MINKABU PRESS

  • 年末終値32年ぶり高値も、来年の株式市場、米利上げで波乱含み
    12/30(木) 19:20配信

    産経新聞

    大納会を迎えた30日の日経平均株価は年末終値として32年ぶりの高値となったが、新型コロナウイルス禍からの復興を見込む令和4年の株式市場は波乱含みになりそうだ。消費回復に政府の経済対策が重なる年前半は上昇が期待されるものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き上げを始める後半には下押し圧力が強まる恐れもある。

    「消費が自然体で回復する局面に経済対策が加わって、日本銀行の大規模金融緩和も続く。〝ミニ・アベノミクス〟とでも言うべき拡張的な財政金融政策だ」

    SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは年前半の市場環境をこう予測する。コロナと共存する「ウィズコロナ経済」が進み景気が持ち直す状況で、消費刺激の効果が大きい観光支援事業「Go To トラベル」などの再開がさらに追い風となるためだ。

    30日の大納会も新変異株「オミクロン株」が相場の重荷となったが、デルタ株より重症化率が低いという評価が正しければ病床逼迫による行動規制は避けられる可能性があり、株価は上昇基調に入ると期待する。

    だが、楽観ムードに水を差すのが主要国の金融政策だ。景気回復に伴う急速な物価上昇を抑えるため、コロナ禍で実施した大規模緩和の手じまいを始めた国が既に相次いでいる。巨額の緩和マネーに支えられコロナ禍でも活況が続く株式市場に調整が近づきそうだ。

    特にFRBは年半ばから3回の利上げが予想され、米経済の過熱を冷ますだけでなく、金利が上がる米国へ各国の資金が流出する副作用を生む。マイナス金利が続く日本でも円を売ってドルを買う流れが強まり、「1ドル=120円程度まで円安が進む可能性がある」(牧野氏)。円安は輸出産業に有利だが、原油高も重なって輸入物価の上昇が強まれば企業収益を圧迫し、消費者心理も悪化する〝悪い円安〟が意識されそうだ。

    一方、ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、岸田文雄政権がコロナ対応の失敗で短命に終わったり、来夏の参院選で与党が破れ「ねじれ国会」になったりするなど政治的混乱が起きれば株価にはマイナスだと指摘。ただ、経済活動の再開に伴う企業業績の回復が相場を下支えするため、「短期的な乱高下を繰り返しつつ、実体経済の回復を徐々に織り込む形で年末までに3万2000円程度を目指す」との展開を予想している。(田辺裕晶)

  • ある米系投資家によれば、「足元の日本株急落は規制改革など変革日本のイメージが強い河野太郎氏の自民党総裁選の勝利を前提に買いを積み上げてきた海外勢が、中国不動産『恒大集団』の信用不安や米金利上昇など海外株安と金融所得課税見直しを主張する岸田新政権への失望売りに大挙したことに起因する」という。

    5日の日経平均株価は大幅7日続落、下げ幅は一時900円を超えた。9月14日に付けた年初来高値3万0670円から下落率は10%に達し、4日に発足したばかりの岸田文雄新内閣へ厳しい洗礼を浴びせた格好となった。

    もちろん、売りの主体は8月第4週から1ヶ月間で日本株先物を1.6兆円買い越したヘッジファンドやCTA(商品投資顧問)等の海外短期筋であり、足元の大幅7日続落は外国人投資家の対日株式投資が逆回転を始めた証左である。

    岸田文雄首相は4日の会見で、金融所得課税の見直しを検討する意向を示し、一律20%の税率引き上げで税収を増やし、中間層や低所得者に配分する等「新しい資本主義実現会議」を新設し、議論を進める考えを示した。

    より具体的に首相は「『成長と分配』の好循環を実現、分配を具体的にする際には様々な政策が求められる」と指摘、「その一つとして『1億円の壁』を念頭に金融所得課税についても考えていく必要がある」と言及した。

    概ね「1億円の壁」は所得1億円を境に、所得税の負担率が低くなる現状を指し、株式譲渡益や配当金など金融所得への課税は一律20%(所得税15%・住民税5%)の一方で給与所得などの場合、所得が多いほど税率が上がる累進制、所得に占める金融所得の割合が相対的に高い富裕層ほど税率が低くなる点が問題視されている。

    鈴木俊一財務相は4日の就任に先立ち国会内で「年末の税制改正に向けて(与党の)税制調査会の議論を注意深く見守っていきたい」と富裕層の税負担見直しに言及した。

    むろん、かかる増税論は政府が推進してきた「貯蓄から投資へ」との方針に逆行、投資意欲を冷やしかねないと警戒される。規制改革など「変革日本」のイメージが強い河野太郎氏の自民党総裁選の勝利を前提に買いを積み上げてきた海外勢の投げ売りの一因でもある。

    2012年の第2次安倍政権以降、金融所得課税を巡ってはたびたび増税論が浮上してきたが、安倍元首相、菅義偉前首相は「株高維持」を優先して慎重な姿勢を示してきた。

    もっとも、岸田首相は「新しい資本主義」の分配戦略として、1)企業労働者や下請け企業に成長の果実が分配されるような環境整備、2)中間層の拡大と少子化政策、3)医師や看護師、介護士に保育士らの給与に関わる公的価格の抜本的見直し、4)科学技術や重要インフラ整備等の単年度主義「財政」の弊害是正—を挙げコロナ禍からの経済再興を強調、日本経済及び日本株には追い風となり得る。

    何より、日本株には「総選挙=株高」アノマリーがあり、過去10例全てにおいて日経平均は投開票日前日の終値が解散前日の終値よりも高く(平均上昇率4.2%)、今回も解散日前日(13日)より投開票日の前日に当たる29日終値の方が高くなると期待できる。

    もっとも、直近の急落により日経平均の短期トレンドは転換を余儀なくされ、8月安値2万6954円を試す可能性が残る。8月20日安値2万6954円から菅首相退陣と自民党新総裁への期待からの上昇による9月14日高値 3万0795円を以て上げ相場は終了、未だ調整局面にあれる。

    だが、岸田新政権の大型景気対策をにらみつつ今回も来るべき衆院解散・総選挙で「総選挙=株高」アノマリーが実現し、調整局面の底入れを経て、向こう1年超にわたる「強気相場」入りを見込む海外投資家が少なくない。

  • 日本株上昇の条件は? 岸田政権は海外マネー呼び込めるか
    10/3(日) 17:00配信

    サンデー毎日×週刊エコノミストOnline
    週刊エコノミスト 10月12日号

     自由民主党の総裁選挙が9月29日に投開票され、岸田文雄氏が新総裁に決まった。同日の日経平均株価は、総裁選の決選投票の最中に前日比639円67銭安の2万9544円29銭で引けた。

     従来の自民党の流れを踏襲する姿勢を打ち出していた岸田氏が当選したことで、いったん政策期待はしぼんだ格好だ。前日に米国で長期金利が上昇し、ニューヨークダウ工業株30種平均は569㌦下落したことなどが大きな変動要因だが、岸田新政権への期待はそれを覆すほどの力はなかった。

     日本株がこの先、さらなる高値を目指すのか、それとも腰折れするのか。それは、具体的な政策というより、「岸田氏率いる自民党が総選挙を制し『長期安定政権』を築くことができるかどうかにかかっている」との見方が市場で広がっている。過去の政権と株価の動きを見ると連動していることが分かる。

     小泉純一郎政権が発足した2001年以降の日経平均の推移を見ると、日本株は長期政権で上昇し短命政権で停滞してきた。

     小泉政権時代の株価は、序盤こそITバブル崩壊などの影響もあって低迷したが終盤は発足時と比べて上昇した。しかし、それを継いだ第一次安倍晋三政権から、与野党の政権交代を経て野田佳彦政権まで短命政権が続くと、株価も停滞した。

     この流れを変えたのが第二次安倍政権だ。12年末から約7年8カ月続き、憲政史上最大の長期安定政権となった。この間、株価は再び大きく上昇した。

     長期安定政権での株価上昇は、政策や改革を進めやすくそれを評価した海外投資マネーが流入しやすい。

     岸田氏の手腕を市場関係者や識者、そしてリスクをどう見ているのか。

     岸田氏が所得格差を問題視している点に着目するミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真CEO(最高経営責任者)は、「〝金持ち優遇は許さない〟という再配分重視の経済政策は歓迎すべきだが、金融課税の累進化を目指す政策は株式市場には非常にネガティブ」と話す。

    「経済格差や企業の内部留保が経済成長の桎梏になっているという岸田氏の主張は妥当」と指摘するBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「規制改革に否定的なら、政策は成長の足を引っ張る可能性もある」とリスクも指摘する。

     岸田氏が大規模な財政出動を前面に出している点に着目するみずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「市場の関心は〝成長あっての財政再建〟というアベノミクスをどこまでなぞるのかにある。路線を引き継いだ方が安定政権になる」との見方を示す。

     一方で個人投資家の中には、早くも岸田政権で株価上昇が見込める「岸田銘柄」を物色する動きもある。「高齢人材活用を打ち出しているため、人材派遣のパソナグループやパーソルホールディングスに注目だ。エネルギー政策で原発推進を掲げており、再稼働で先行する関西電力や四国電力も見直されるだろう」(経済ジャーナリストの和島英樹氏)。

     世界には米量的緩和縮小、中国不動産問題、金利上昇と株高を阻むリスクがくすぶる。岸田新政権が波乱要因を打ち消す「変革」を打ち出すことができれば、日本株はさらなる高値を目指すことができるかもしれない。(編集部)

     * * * * * *

     10⽉4⽇発売の『週刊エコノミスト10⽉12⽇号』では、「日本株 上昇相場へ」を特集しました。岸田文雄氏が自民党総裁選を制し、新政権発足の運びとなりました。

     特に菅義偉首相の辞任発表後から日本株は再び上昇気流乗る環境が整いつつあるように見えます。その一方で下落リスクも散見されます。

     今回の特集では、日本株が高値を付ける条件や要因、また腰折れとなるリスクを実力派エコノミストが予想します。また新政権で期待される上昇が期待される株式テーマとして「脱炭素」「半導体」「アフターコロナ」を取り上げ、特に注目すべき12銘柄を分析しました。

  • 2021-09-25 04:17
    見通し
    株式明日の戦略−週間では下落も5週連続で陽線形成、来週は材料満載も下値は堅いか

     24日の日経平均は3日ぶり大幅反発。終値は609円高の30248円。注目の9月FOMCでは、テーパリング(量的緩和の縮小)は見送りとなった。また、市場の懸念事案であった中国恒大集団に関しては、23日に人民元建ての利払いを実施したと伝わり、デフォルトに関する過度な懸念が後退。これらを材料にダウ平均が22日、23日と連日で大幅高となったことから、日本株も全面高の展開となった。指数は寄り付きから500円を超える上昇となり、30100円台に到達。高く始まった後は、30200円近辺でのもみ合いが長く続いた。戻り売りが手控えられたことから、終盤にかけてはじわじわと上げ幅を拡大。引け間際にきょうの高値をつけると、終値では600円を超える上昇となった。祝日前とは一転してリスク選好ムードが強まる中、マザーズ指数が3%超上昇した。

     東証1部の売買代金は概算で3兆5500億円。業種別では全業種が上昇。海運が8%高と突出した上昇となったほか、保険や銀行などが大幅高。騰落率で下位となった電気・ガス、建設、化学でも1%超上昇しており、幅広く底上げが進んだ。ソニーグループの動きの良さが目立っており、5%を超える上昇。2月につけた12545円を上回り、年初来高値を更新した。半面、上場初日にストップ高まで買われたシンプレクスHDが、2日目は利益確定売りに押されて大幅安となった。

     東証1部の騰落銘柄数は値上がり2104/値下がり68と、値上がり銘柄が2000を超えた。海運大手3社がそろって値を飛ばしており、川崎汽船が11%高。米国の金利上昇を受けて三菱UFJや三井住友、第一生命、東京海上など金融株が軒並み上昇した。原油高を受けてINPEXが大幅高。日経新聞から業績上振れを示唆する記事が出てきた日本製鉄が買いを集めた。ルネサスが証券会社のリポートを手掛かりに7%近い上昇。上方修正と増配を発表した古野電気や、自己株消却を発表した国際紙パルプ商事が急伸した。

     一方、ほぼ全面高の中で、信越化学やエムスリーなどグロース株の一角が逆行安。神戸物産やウエルシアなど、小売でも全体株高に乗れないものが散見された。1Qが大幅減益となったニイタカが下落。サインポストやヤーマンなど直近で跳ねた銘柄が利益確定売りに押された。新株予約権の発行が嫌気されたグローバルウェイがストップ安。第1四半期報告書の遅延に伴い管理銘柄(確認中)指定の見込みとなったOKKは、場中は値がつかずストップ安比例配分となった。

     レナサイエンスがマザーズに新規上場。公開価格を5割近く上回る初値をつけたが、その後は節目の1000円を超えたところで急失速。結局、ストップ安で初日の取引を終えた。

     日経平均は大幅高。直近2営業日の下げ分を戻すまでには至らなかったが、後場に強含むなど引け味は良かった。投資家人気の高いソニーGが年初来高値を更新してきたことなどは、日本株の先高期待を高める。今週は中国恒大集団に関するニュースに振り回されたが、この一週間の米国株の値動きを見ると、FOMC前で利益確定売りが出やすいタイミングの中、一時的に下への反応が大きくなっただけのようにも見える。実際、恒大集団に関しては、先週からリスクとしては認識されていたが、先週の米国株はそこまで神経質には反応していない。大きな流れとしては、米国は9月FOMCで年内のテーパリングを完全に織り込み、結果に対して買いで反応したことから、多少の金利の上昇は容認しつつも、年末に向けて堅調相場が続く可能性が高い。この点は日本株にも強い下支え要因となるだろう。

    【来週の見通し】
     堅調か、週初にドイツ総選挙の結果を消化して、週中には日本、米国、中国で注目指標が多く発表され、国内では水曜29日が自民党総裁選の投開票と、慌ただしい週になる。また、9月末ということで、権利落ちの29日には見た目の水準が押し下げられることから、指数の振れ幅も大きくなりそうだ。とは言え、日経平均は今週は週間では下落したものの、金曜24日に大幅高となっており、売り一巡感が出てきた。何より米国株が9月のFOMCを消化して大きく上昇してきたことは安心材料となる。配当再投資の買いに対する期待も相場を下支えするであろうし、月内最終日が弱かった傾向は8月でストップしており、月末に対する警戒も強くはならないと思われる。一進一退に近い地合いを想定するも、好材料に対する反応が良くなることで、週を通しては強含む展開を予想する。

  • 米ウォールストリート・ジャーナル紙は、コロナ感染、東京五輪で悪化せず、データが示唆と報じた。

    無観客で行われた東京五輪は、日本の新型コロナウイルス流行を悪化させなかったことを初期のデータは示唆しており、中国で来年2月に開かれる冬季五輪の主催者に模範を示している。

    海外から訪れる約5万人の選手や関係者らがコロナウイルス感染を加速させるかもしれないとの懸念をよそに、日本は7月23日から8月8日まで夏季五輪を開催した。そうした訪問者のほとんどは感染力の強いデルタ株が日本で本格的に流行し始めた7月に到着し、日本の感染者数は大会期間中の8月初旬にピークに達した。

    東京での感染の規模とスピードは、日本の他の地域やデルタ株に見舞われている他国の状況とあまり変わらなかった。他国では、感染者の激増を引き起こす「スーパースプレッダーイベント」はその後の数週間または数カ月にわたって感染者の増加を招いている。だが、東京や日本全体の感染者数は8月中旬から急減し始め、現在はピーク時の約4分の1にまで減少している。

  • 日経平均株価3万円は通過点、米金融正常化が日本株のさらなる追い風になると読むワケ
    9/15(水) 11:31配信

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    昨年9月から11ヵ月連続で月末(月の最終営業日)の株安を記録していた日本株は、今年8月に1年ぶりに月末株高を記録しました。前日まで27000円台で推移していた日経平均株価はおよそ3週間ぶりに28000円台を回復。その後、28000円台にはわずか3日間滞在しただけで、週末の9月3日には29000円台に到達しました。

    そして、翌週の9月7日には、4月上旬以来となる30000円を一時回復し、およそ5ヵ月にわたった調整を、わずか1週間余りで埋めるほどの急展開を見せました。さらに14日には終値3万670円と、31年ぶりに高値を更新しました。

    1年ぶりの月末株高がこのような展開を暗示していたかのようにも見えますが、直接的な原動力は、菅政権の退陣に伴う、新しい首相の下での新たな政治への国内外の期待と捉えることができます。

    新たな政治への期待と新型コロナの感染沈静化
    日本の新型コロナ 新規感染者数(7日間平均)

    確かに、菅首相の自民党総裁選への不出馬は想定外でした。これまで菅政権の続投を前提に、衆院選とその後の政局を占うというのが、株式市場での標準シナリオであったわけですが、その前提が、ある意味で良い方向に崩れたといえるかもしれません。

    そうした偶発的な出来事が日本株の急反発を引き起こしましたが、もともと日本株には相場の反発を正当化する材料がいくつか備わっていたことも事実です。その一つが新型コロナの感染一服と、その後の経済再開です。

    日本は未だ大都市圏を中心に緊急事態宣言下にある状況ながら、デルタ株の猛威による感染の広がりは沈静化に向かいつつあるようにみえます。加えて、新型コロナのワクチン接種は着実に進み、2回の接種が完了した人の割合は、人口比で5割を超えました。

    だからといって、感染が再び拡大しないとも言い切れず、油断は禁物ですが、経済は次のステージを見据えられるところまでやって来ているように思えます。政府は10月以降に行動制限を段階的に緩和していく方針を示しており、年末・年始に向けて、日本の景気は本格的な回復軌道へと向かう可能性があります。

    経済再開で上向く企業業績見通し

    ミクロの企業業績の見通しに目を向けると、そうした景気の先行きを反映してか、足元の市場では業績の上方修正の動きが顕著となっています。アナリストの業績予想で、上方修正された企業の割合から下方修正された企業の割合を引いて求められる「リビジョン・インデックス」は、日本が欧米市場の回復に後れを取っていましたが、ここにきて急速にキャッチアップする様子を見せています。

    向こう12ヵ月間に予想される1株あたりの利益見通しでも、4週前と比較した伸び率は日本企業が欧米企業を上回っています。このことから、足元の業績見通し回復のモメンタムは、相対的に日本企業に勢いがあると判断されます。

    米国の金融正常化はむしろ日本株の追い風に?
    もう一つは、米国での金融緩和策のテーパリング(資産買取規模の縮小)の開始です。米国では高まるインフレ圧力と雇用の回復により、年内にこれまでの未曾有の金融緩和策に修正が施される見通しです。

    国債などの資産買取の金額を徐々に減額させていく方法が既定路線になっており、11月のFOMCでの決定と、12月からの減額開始が市場ではコンセンサスとなりつつあります。それに伴って、米国の市場金利も上昇することが予想されますが、それは日本株にとって逆風というよりも追い風になりそうです。

    一般に米金利の上昇は、米景気拡大の裏返しとして受け止められます。また、景気回復局面での物色は、ハイテク・グロース株より、景気敏感・バリュー株に傾くことが多く、後者の比重の高い日本株には有利に働くと考えられています。

    テーパリングを抜きにしても、もともと11~12月は景気敏感・バリュー株がアウトパフォームしやすい季節性があり、いずれにしても、年末に向けての日本株には良好な相場環境が整いそうです。

    日本株の戻りは半ば必然、株価はさらなる高みへ
    大和証券では、年内の日経平均株価の想定を高値33000円、年末31000円に置いています。ほんの2~3週間前までなら、その実現可能性を危ぶむ見方もあったかもしれませんが、ここにきて、そのシナリオはにわかに現実味を帯びてきた印象です。

    以前から、日経平均株価の30000円は一つの通過点に過ぎないと見てきた立場からすれば、足元の株価の戻りは半ば必然的なもののように思えます。

    壁谷洋和(大和証券 チーフグローバルストラテジスト)

  • 菅首相の退任宣言後に株価が30年ぶりに最高値を記録=韓国報道
    9/3(金) 19:23配信

    菅義偉首相が次期自民党総裁選挙に出馬しないことを宣言すると、株価が急騰した。菅義偉首相に比べて新型コロナウイルスの対処に熟練しており、積極的に景気を立て直す新しい首相への期待が反映されたという評価だ。

    3日、東京株式市場で日経平均株価は前日の取引より2.05%上昇した2万9128円.11銭で取引を終えた。東京証券取引所1部に上場したすべての企業の株価を反映した東証株価指数(TOPIX)も1.61%上昇し、2015.45で取引を終えた。TOPIXは1991年以来の30年ぶりに最高値を記録した。

    アジアの株式市場が全体的に下落する中、日本の株式市場が上昇して注目されている。この日の上海総合指数と香港のハンセン指数はそれぞれ0.55%、0.89%下落した。韓国のKOSPIは0.84%上昇して取引を終えたが、日本の株式市場の上昇率には及ばなかった。

    この日の日本の株式市場の上昇は、菅義偉首相より次期首相に対する期待感に支えられた。ブルームバーグ通信は「後任の首相が有利な政策変化をもたらし、新型コロナウイルスに対して上手く対処するという希望から反映された結果だ」と分析した。

    Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 99

  •  後場の日経平均は一段高。昼休みに菅義偉首相が自民党の総裁選に立候補しないことが伝わった。これを受けて先物は上昇。前場を28787円で終えた日経平均は、後場は29068円からスタートした。菅政権が通信料金の引き下げに力を入れていたことから、これが業績の懸念材料であったKDDI<9433.T>やソフトバンク<9434.T>など通信株が強含む展開となった。

  •  大和証券のグローバル・ストラテジーリポートでは、6月中旬を起点とした8月中旬までの世界の株式相場を「K字型」と表現している。欧米株やインド株などは勝ち組グループとして過去最高値を更新している一方、日本株や中国株など出遅れ組は株価が低迷している。景気回復への期待に前進が見られるかそうでないかが、格差が広がっている背景にあるとみている。当面の米国株に関しては、テーパリングは既定路線で健全な株価上昇が続くと大和では予想。日本株に関しては、感染の安定化と不透明感の払しょくで、株価反転のきっかけがつかめるとどうかがポイントとコメントしている。

  •  27日の日経平均は反落。終値は101円安の27641円。米国株安を受け、売りが先行。FRBによる早期のテーパリング開始への警戒感やアフガニスタンの情勢悪化が重荷となった。一時27500円を割り込んだが、売り一巡後は下げ幅を縮めた。後場に入ると、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を前に、様子見ムードが広がった。27600円近辺での値動きが続き、マイナス圏で取引を終えた。
     東証1部の売買代金は概算で2兆1100億円。業種別では、値上がり上位が海運やパルプ・紙、保険、金属製品のみ。一方、値下がりでは、精密機器や倉庫・運輸、石油・石炭製品、電気・ガス、卸売などの下げが目立った。

     東証1部の騰落銘柄数は値上がり880/値下がり1175。売買代金上位では、主力株の大半が軟調の中、複数の証券会社より目標株価引き上げがあった商船三井や日本郵船が大幅高。商船三井は直近高値を更新した。個別材料では、通期経常益予想の上方修正や自社株買いを発表したスターマイカHDが急伸。液晶ディスプレー用高機能フィルムを開発・製造を手掛ける恵和が後場一段高となった。
    一方、値下がりでは、任天堂が軟調で直近安値に迫る動きとなったほか、イオンが3%を超える下落率。神戸物産は7月の月次動向の鈍化がマイナス視され、高値から急反落となった。個別材料では、水力発電参入と伝わるも株価割高との見方が一部で伝わったレノバが大幅続落。レーティンの引き下げを材料にガンホーがマドを開けて急落した。


    【来週の見通し】
     来週の日経平均の予想レンジは27,300円-27,900円。9月相場入りとなる。政局の不透明感やアフガン情勢の悪化、新型コロナウィルス・デルタ株感染が企業の生産活動に打撃を与えかねない状況になっていることに加え、米中の景況感の見極めなど手控え要因は多い。
    月末安のアノマリーが続く中、週前半は手控えムード一色か。後半に関しても9月FOMC(米連邦公開市場委員会)でのテーパリング開始時期決定への判断材料となる米8月雇用統計の発表を週末に控え、東証一部の売買代金は2兆円割り込む場面もありそうだ。
    一方、マザーズ指数が底堅い。25日線上を維持しており、米長期金利が極端に跳ね上がる状況でもならない限り、時価総額の大きい銘柄を中心に選別物色が続きそう。

     まずは、今晩のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演内容である。米連邦公開市場委員会(FOMC)で多数派となりつつある年内のテーパリング開始に言及するのか、それとも講演のテーマ「経済見通し」に沿った見通しだけに終わるのか。いずれにしても、驚くほどのサプライズは想定しづらく、昨年同様に無難に通過する可能性が高いとみられる。
     ここ近年、8月相場が低迷すると、9月相場はもみ合い上放れや上昇したケースが多い。昨年は8月に上昇したため9月は比較的小動きだったが、2017年から3年間は堅調に推移した経緯がある。そういった点で今年は以下のポイントが重要となる。
     まずは、東証一部の騰落レシオである。最近の傾向では25日平均が80%を割れるとまもなく上昇に転じる傾向にあるが、75日平均を明確に上回れずにいる。ただ、8/27は75日平均の94.2%に対して25日平均は103.9%まで上昇し、8/26と2日続けて25日平均が上回った。過去、25日平均が75日平均を明確に上回るようになってくると、相場基調が強くなることが繰り返されている。
     次に、価格帯別の累積売買代金の推移である。年初来、TOPIXベースで1950P〜1960Pの価格帯は約66兆円の商いをこなした上値の壁であり、そこに近くなると戻り売り圧力が強くなることが推測できる。直近では8/13に1956Pで戻り高値をつけており、超えることができれば逆に一段高が見込まれる。

  • 東証続落、今年の最安値を更新 コロナ感染再拡大で売り
    8/20(金) 15:06配信

     20日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は続落し、今年の最安値を更新した。国内外の新型コロナウイルスの感染再拡大で、日本経済の先行きに対する不透明感から売りが強まり、一時は節目の2万7000円を割り込んだ。

     終値は前日比267円92銭安の2万7013円25銭。東証株価指数(TOPIX)は16.51ポイント安の1880.68。出来高は約12億3197万株だった。

  • 東京都での重症者数が16日まで連日で過去最多を更新する等国内新型コロナ感染拡大は日増しに深刻化、何より重傷者が増えて医療逼迫など経済「正常化」遅延への懸念が拭えずリスク回避ムードが日本株を覆う。

    厚労省専門家組織の分析によれば、東京都内では20-50代を中心に入院患者が増え続け、ワクチン接種が進む60代以上でも増加、新型コロナ感染拡大は日増しに深刻化の様相を呈している。

    もっとも、17日の日経平均株価は4日続落で週足「52週移動平均」(2万7255円)に接近し、週足「一目均衡表」雲上限(先行スパン)に割り込み、オシレータ系ストキャスティクスやRCI等が過度に「売られ過ぎ」シグナルを発し反発の機会を伺いつつある。

    だが、際立つ日本株の上値の重さに世界景気敏感株という特性がある。国際通貨基金(IMF)7月27日発表の「World Economic Outlook」(世界経済見通し)によれば、ワクチン接種を完了した人が5割を超える英国やカナダの2021年の成長率予想が3月下旬予想に比べ1pt以上引き上げられた一方、接種完了率が4割と出遅れる日本は0.5pt引き下げられた。

    改めて、日本株に世界景気ピーク論と業績ピークアウト論が覆いつつある。特に、企業業績「ピーク論」を鮮明にしたのは、主力ゲーム機の販売減少など所謂「巣ごもり需要」のピークアウト感を露呈した8月5日発表の任天堂4-6月期の連結営業利益(前年同期比-17%)の下振れだった。

    むろん、業績が悪化している訳ではないが、前年コロナ禍からの業績回復との比較において四半期毎にハードルが上がり増益率にピーク感が漂うなど業績回復モメンタムの鈍化が意識されやすい。

  • 弊社のNY金融筋が、「新型コロナ変異種デルタ型の感染拡大によりコロナ禍の収束が近いとの期待が打ち砕かれ、社会的流動性の再制限が及ぼす実体経済への悪影響が消費者心理を圧迫、消費者マインドの大幅低下が今後、消費抑制を経て景気減速に繋がかねない」と警鐘を鳴らす。

    8月13日発表された米8月ミシガン大学消費者信頼感指数が事前予想(81.2)の全てを下回る7月(確定値81.2)から11pt低下の70.2と2011年12月以来、9年8ヶ月ぶりの低水準となった。むろん、変異ウイルス拡大が消費者の景況感を急低下させ、特に「今後の見通し」が前月比13.8pt低下の65.2へと大幅な低下を余儀なくされた。

    さらに、「期待指数」が65.2と前月の79から約14pt低下、「現況指数」が77.9(前月84.5)と20年4月以来の低水準につるべ落としとなった。求人件数が過去最高水準となる中でも、失業率低下を見込む回答の比率は36%と、前月の52%から大幅に低下、所得見通しも悪化が鮮明となり、家計見通しに関する指数は7年ぶり低水準に落ち込んだ。

    変異種デルタ株の感染拡大で8月活動へのリスクが増すとの見方を示した。また、5-10年先のインフレ期待は3%と前月の2.8%から上昇し、13年以来の高水準に並んだが、1年先のインフレ期待は4.6%と前月の4.7%から小幅低下した。

    昨年のコロナ禍での経済活動停止に伴う統計上の「歪み」を均した2年平均でも全体的に減速感が顕著となり、「改めて新型コロナ変異種の感染拡大でコロナ禍の収束が近いとの期待が打ち砕かれた消費者心理を投影する結果となった」(NY金融筋)−。

    もっとも、今後数ヶ月で変異種デルタ型が抑制されていけば、消費者は再び楽観的な見方へ変化していく可能性がある。

    だが、市場や投資家が考えていた以上にデルタ型が蔓延する可能性があり、その場合は経済制限が強化され、社会的流動性の再制限が及ぼす実体経済への悪影響が消費者心理を圧迫し続ける。
    既に、そうした消費抑制行動がサービス産業とりわけ旅行など航空業などに投影されつつある。

    例えば、サウスウエスト航空が11日に米SEC(証券取引委員会)に提出した資料で「8月便の予約キャンセルが増えている」ことが判明、8月売上高見通しを19年比15-20%減へと下方修正した。

    かかる米景気減速懸念を受け週明け8月16日の日経平均株価は新型コロナ変異種の感染拡大が続き経済活動「正常化」遅延観測から投資家が運用リスクを回避する動きを強め米国や中国経済の先行き減速不安やアジア株の軟調に一時下げ幅を550円に広げ、前週末比453円安の2万7523円と大幅3日続落で大引けた。

    8月16日の台湾・加権指数に至っては前週末比0.72%安の1万6858.77と8日続落である。アフガニスタン政情不安や世界的な新型コロナ変異種デルタ型の蔓延による感染再拡大に中国7月景気指標下振れなど世界回復鈍化が懸念され2019年7月26日-8月7日(9日続落)以来約2年ぶり8日続落を余儀なくされた。

    こうした景気減速懸念は一足先に中国経済に露顕し、特にコロナ変異種感染の広範囲な拡大に7月以降、コロナ症例を受けたロックダウン(都市封鎖)や移動制限、大規模検査などが景気失速に繋がり、債券市場の「炭鉱のカナリア」米長期金利低迷による「景気ピーク論」が正鵠を得ていた証左とされる。

  • >>50

    ● 今後の日本株にとっての 「3大リスク要因」とは?

     筆者が「予想家」であれば、株価に関して「強気」か「弱気」の一方を述べたところで話を終えるのが潔くて職業的にいい。しかし、肩書きとして「評論家」を名乗ることが多いので、今後に考えられる日本株のリスク要因として大きなものを三つ挙げておこう。

     最大のリスクは、米国の株価が大きく崩れることだ。金融引き締めが「示唆」されただけで暴落があり得るし、その際に日本株が巻き添えを喰わない可能性はほぼゼロだろう。

     次に、内閣支持率が低下している菅内閣退陣の可能性だ。この場合、後任の首相が「アベノミクス」の金融緩和に理解の乏しい人物になったり、財政再建に着手したがるような人物となったりする可能性が小さくない。

     筆者の理解では、次期首相の有力候補として名前がよく挙がる岸田文雄氏、石破茂氏、小泉進次郎氏の各氏に、その心配がある。特に重要なのは、次の首相が23年に予定されている日本銀行の正副総裁を決めることだ。この人事は、株価だけでなく日本経済の中期的な盛衰にも大いに影響する。

     3番目のリスク要因は、ワクチン接種が進んで経済再開が進行したときに、「景気は回復した」と言い募って財政再建のために増税しようとする、「緊縮の病」(発生地は財務省だろう)に政治家が感染することだ。官僚やエコノミストの誘導は巧みなので、注意が必要だ。

     経済が上向くことはいいことだし、いずれは上向くのだろうが、その時にこそ油断は禁物だ。

     なお、株価の上げ下げについてあれこれ述べたが、ほとんど全ての投資家にとって株式投資では、以下の三つが重要な心得だ。

     (1)自分にとって適切な大きさのリスクの株式を分散投資の行き届いた形で持つ(インデックスファンドを持つのが簡単だ)
    (2)「上げ相場にも、下げ相場にも、全て付き合う」つもりで長期保有するのが現実的な最善策であり、売り買いでうまく調整するのは難しいと心得る
    (3)積立投資の仕組みを作った人は、たんたんと続ける

     読者の資産形成の成功を祈る。

    山崎 元

  • デルタ株が感染拡大でも日本株投資に「強気」な3つの理由、山崎元が解説
    8/18(水) 6:01配信

     新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の感染が拡大し、世界中を不安と混乱に陥れている。しかし、われながら「強気」の意見とは思うものの、本稿で述べる三つの理由から、日本株投資に悲観的になる必要はないと考えている。その理由を解説する。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

    ● 日米の株価で明暗 それでも日本株に「強気」な理由

     日本の株価がさえない。今年の2月下旬には日本の日経平均株価が3万円に乗せて、一足先に「3万」を達成して3万1000ドル台にある米株式市場のダウ工業株30種平均(NYダウ)の数字を追っていた。

     ところが、今週の月曜日の株価で見ると、NYダウが3万5273ドルと3万5000ドルの大台に乗って史上最高値近辺にあるのに対して、日経平均は2万7523円と低迷している。

     ちなみに株式の時価総額を見ると、世界の時価総額が約1.27京円(116兆ドル、8月13日)であるのに対して、8月16日の東京証券取引所第1部上場企業の合計時価総額は約714兆円。世界市場における日本市場の比率は5.6%に過ぎない。

    ● 日米の株価の差は 「ワクチンラグ」にあり

     両者の差の大きな要因は、「ワクチンラグ」とでも名付けるべき、新型コロナウイルスに対するワクチンの接種進捗状況の差による経済状況の時間差だろう。

     これまでの内外のデータでは、ワクチンを接種すると感染が完全に防げるわけではないが、重症化・死亡のリスクは大幅に軽減されることが明らかだ。ワクチン接種が進むと国内の経済活動の多くを再開することができる。

     過ぎたことを嘆いても現状が良くなるわけではないが、ワクチンの確保と接種が遅れたのは痛恨事だった。政府は失敗の総括が必要だ。

     2021年の国内総生産(GDP)成長率の予想を見ると、米国が6.0%であるのに対して、日本は2.2%だ(共に英誌「The Economist」8月14日号による)。いわゆるコロナ前のGDP水準を米国は今年回復するのに対して、日本は来年以降にずれこむ見込みだ。

    ● デルタ株による株式市場への影響を どう見るか?

     さて、ここにきてわが国では、インド由来とされる新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」の感染が急拡大。連日複数の都道府県で「過去最大の新規感染者数」を記録している。感染は、首都圏から全国に広がる動きを見せている。重症者数は新規感染者数に遅れて増えるので、今後は医療の逼迫が各地で起こることが予想される。

     東京オリンピックを感染拡大の「原因」とするには根拠が不足しているが、オリンピックの期間およびその前の時期に、コロナに対する医療体制の充実などが遅れた面は否めないだろう。政府も自治体(特に東京都)も対策に進歩がなく、しかも対応が後手後手に回り続けている。デルタ株の感染力の強さは早くから把握されていたのであり、医療提供体制の改善・拡充を図っておくべきだった。

     政府の対策は、「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」の適用と延長を繰り返して「人流」を抑えることから大きく進歩していないが、徐々に効果が薄れている。デルタ株感染のピークが「いつ」で大きさがどのくらいになるのか、まだ見当が付かない。ただ、だらだら続く「宣言」と「措置」による内需ビジネスへの悪影響は、当面間違いなく引き延ばされることになる。

    ● ワクチン接種の先進国では コロナ共存型の経済運営が確立しつつある

     一方、デルタ株による感染の拡大は、米国での再拡大などをはじめとして世界的にも拡がっている。ところが、先進国ではワクチン接種が日本より進んでいることもあり、そして何よりも金融緩和の継続とこれを財政赤字が後押しするマクロ的な追い風が強力で、世界全体の株価は直近では上昇基調にある。

     ワクチンを接種してもデルタ株に感染することはあるし、重症化することもあるが、感染・重症化とも確率は顕著に低下する。また、ワクチンは「3回目の接種」が視野に入っている。進んでいる国では「コロナ自体は簡単には終わらず、今後も別の変異株は現れるだろうが、ワクチン接種を進めつつ経済を再開し、必要が生じたらロックダウン等の措置を取る」といったコロナと共存する経済運営の方法を見つけつつあるように映る。

     インフルエンザと学校に例えると、生徒は適宜予防のワクチンを打ち、流行シーズンを迎えても学校は通常の授業を行う。感染が集中したクラスや学校は一時的に学級閉鎖や学校閉鎖を行う、といった具合だ。

     わが国は、何よりもワクチンの確保と接種を進める必要があるが、飲食店の制限だけに偏ったいびつな対策で「やっているふり」をしつつ流行の収束を祈る方法から脱却しなくてはならない。徐々に経済活動もその他の社会活動も、コロナと共存しながら拡大していくことが求められる。

     デルタ株流行のピークはまだ先かもしれないし、医療の逼迫は間違いなく現状よりも悪い局面が訪れるだろう・しかし、基調としてワクチン接種が進んでいることを考えると、現状は「この先が最も悪く見える時期」である可能性が大きいように思われる。

    ● 日本株投資に「強気」になれる 3つの理由とは?

     これらの状況を踏まえると、日本株に関わる株式投資について、現状で「言えそうなこと」は以下の3点だ。

     (1)今は「見通しが最も悲観的に見えていて、その前提で株価が形成されている時期」である可能性が大きい
    (2)現在形成されている株価で今、株式の「売り」に賭けるのは得策とは思えない
    (3)デルタ株の流行を乗り越えた時期の状況を考えると、「買い余力」のある向きは日本株を「少し」買ってみてもいいのではないか

     われながら「強気」の意見であり、コロナのニュースを見ていると疑問も湧いてくる。しかし、日本企業の業績は海外の景気拡大の影響を受けて既にかなり改善しており、一方で株価が下がっている。そのため、気づいてみるとそれなりに「割安」と言えるゾーンに入ってきた。

     東証1部の平均PER(株価収益率)は今季の予想利益ベースでは15.17倍(収益予想は日本経済新聞社)まで低下しており、益利回りに直すと年率6.6%になる。諸般のファクターを勘案すると、益利回りは「6%」を標準と考えていいと筆者は思っている。加重平均のPBR(株価純資産倍率)1.28倍も「株価は安い」と言える水準だし、加重平均の配当利回りも2.1%と、2%台に乗っている。

     なお、配当利回りを単純に金利と比べて魅力の有・無を判断するのは、投資の考え方として正しくない。ただ、「高い配当利回り」の銘柄は、経営実態の割に不人気である公算が大きく、参考になる「不人気指標」として解釈することが可能だ。

     投資の世界では、「既に人気化している銘柄」よりも、「現在は不人気な銘柄」の方が改善の余地が大きくて魅力的な投資対象である場合がしばしばある。

    ● 米国株の強気相場はいつまで続く? 最短で心配なのは8月下旬のイベント

     一方、好調な値動きの米国株だが、アップル、アルファベット(グーグルの親会社)、マイクロソフト、フェイスブックなどのPERは概ね30倍前後に分布している。益利回りに直すと4%を割り込んでおり、率直に言って「少し、高い」。

     しかし、単に株価が割高だというだけでは強気相場が終わらないのは、1980年代のバブルを経験している世代の日本人投資家はよくご存じだろう(日本のバブルは、バブルの要素をフルセットで備えており、「素晴らしい投資教材」だった)。代表的には金融の引き締めだが、「きっかけ」がないと、バブル的な価格形成はなかなか終わらない。

     最短で心配なのは、8月26~28日に米カンザスシティー連邦準備銀行が開く「ジャクソンホール・ミーティング」だ。世界の中央銀行の要人らが集まるこの場で、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和の縮小(テーパーリング)を近く行う可能性を示唆することが懸念材料だが、まだ5%台半ばの米国の失業率を考えると、(おそらく)これを慎重に避けるだろう(予想に責任は持てないが)。その場合、株価はさらに上値を追う公算が大きい。

     米国株に主導される形での世界の株式の好調は、「もうしばらく」続く公算が大きいように思う。

  • 海外投資家は「菅首相交代」なら日本株を売る?
    日本株への評価を変える必要はまったくない

    馬渕 治好 : ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

    失態続きの菅首相。海外投資家の「菅首相への姿勢」は、どう考えればいいのだろうか

    前回8月2日の当コラム「海外の機関投資家が懸念し始めた『中国リスク』」では、日米の株価格差について述べた。そこでは、アメリカのドルに換算した日経平均株価をニューヨーク(NY)ダウ工業株30週平均の指数で割った比率を紹介し、それが低下基調にあることを指摘した。その後も同比率は、大きく底割れはしてはいないが、低迷が続いている。

    日経平均はTOPIXに対しても「今年最低」を記録
    「そんな比率をいちいち持ち出さなくても、NYダウが史上最高値を更新した、というニュースは頻繁に目にする。また日経平均がなかなか2万8000円台を維持できていない。日本株がアメリカ株より冴えないことは、もうよくわかっている」と感じる読者の方も多いだろう。

    そうした日経平均の劣後は、アメリカ株に対してだけではなく、同じ日本の株価指数であるTOPIX(東証株価指数)に対しても、進んでいる。NT倍率(日経平均÷TOPIX)の低下については、やはり前回のコラムで触れたが、こちらはその後も一段と低下し、8月13日には14.30倍と、今年の最低値をさらに更新した。

    前回のコラムでは、対NYダウでも対TOPIXでも日経平均が不振である要因として、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリングといった、値がさ株の株価下落を指摘した。

    その背景として、その2社に限らず日本株全般に、「中国リスク」を懸念する向きが増えており、前回のコラムではその「中国リスク」の解説に多く文量を割いた。今回は繰り返しを避けるので、前コラムをご参照いただきたい。

    なお、先週に限れば、やはり日経平均採用の値がさ株で、東京エレクトロン、アドバンテストといった、半導体製造装置関連銘柄の株価反落も目立った。ただしこれは、8月12日までのアメリカのSOX指数下落が大きく影響したと解釈している。実態面では、世界的な半導体の生産能力増強の大きな流れは不変で、半導体関連銘柄の株価の先行きは懸念していない。

    こうした「中国リスク」は、事態の改善も悪化も、タイミングを計ることが難しい。ずっと株価の重石で居続けるかもしれないし、突然大きな悪材料に化けるかもしれない。

    セミナーにご参加くださる方や、ラジオのリスナーの方から、「いつ何があったら、日本株が大きくアメリカ株に追いつくのですか」といったご質問をよくいただくが、特に何かがきっかけで事態がぐっと改善する、という見通しは立ちがたい。

    自動車を中心とした輸送機器は好調を持続
    もちろん好材料はある。足元で発表がほぼ一巡した4~6月期の企業決算は、総じては好調だった。まだ少数の未発表企業はあるが、東証1部上場の既発表企業の4~6月期(ただし2月本決算企業の3~5月期などを含む)における1株当たり利益は、前年比で約2.5倍になった(ファクトセットの集計による)。東証33業種別にみて、全体の増益率への寄与度が最大だったのは、自動車を中心とした輸送用機器で、全業種の増益率の47%を同業種が押し上げている。

    ちょうど前年同期はコロナ禍の影響で大きく利益が落ち込んだため、前年比の大幅増益は割り引いて解釈する必要はある。ただし先行きについても、企業側が自社の通期の収益見通しを上方修正するところが増えており、アナリストも、先行き12カ月間の東証1部全体の1株当たり利益について、全体では直近で4割程度の増益を見込んでいる(アナリスト予想の平均値、ファクトセット調べ)。

    こうした製造業を中心とした収益の回復が、じわじわと日本の株価水準を押し上げていくことが期待される。このため、今年内の日本株の先行きについて、決して悲観視することはないだろう。ただその一方で、どこかで一気に株価が上昇するというイベントは想定しにくく、じわじわもたもたと、いつの間にか株価水準が上がっている、ということになると考える。やはり、買い持ちしてずっと待ち続けるという、忍耐が必要な展開になると考える。

    足元での他の重要な要因としては、国内政治情勢が挙げられるだろう。前回のコラムではごく簡単に触れたにとどまったが、海外投資家からも、政治動向を注視するとの声が聞こえる。

    今のところは、政治情勢は株価にプラス材料とはなっていない。東京オリンピックの開催により、菅義偉政権は、支持率上昇につながるとの期待があったのかもしれない。

    実際、自民党の河村健夫元官房長官は、7月31日に山口県で、「五輪で日本選手が頑張っていることは、われわれにとっても大きな力になる」と述べ、「東京五輪で日本代表選手が活躍すれば、秋までにある次期衆院選に向けて政権与党に追い風となるとの認識を示した」と報じられた。これはかえって顰蹙を招いたと推察される。日本国民の多くは「アスリートの活躍は素晴らしいが、だからと言って現政権が優れているわけではない」と切り分けて理解しているだろう。

    デルタ株だけでなくラムダ株も脅威に?
    さらには新型コロナウイルスのデルタ株の流行が懸念され、さらにラムダ株の今後の感染拡大を心配する向きも多い。政府の感染対策が不十分だとの疑義を多く聞くようになっている。ラムダ株については、ペルーに渡航歴がある人物が7月20日に羽田空港から入国し、その人がラムダ株に感染していた、という事実が、8月6日になって明らかになった。

    さらに遅れて先週末の13日には、その人物がオリンピック関係者だった(入国時に大会の許可証を所持していた)ことが報じられた。この報道に至るまでの時間差から、政府がオリンピック開催期間中は事態を隠しておこうとしたのではないか、との疑念を呼んでいる。

    主要なメディアの内閣支持率の調査を見ても、菅政権への支持低下がうかがえる。最近までは、自民党のなかで菅氏に代わる有力な総裁候補が、今は見出しにくいということで、9月末が任期の自民党総裁選については、菅氏を再選するか、あるいは総選挙(公職選挙法の例外的な規定が適用される事態となっても、11月までには選挙になる)と総裁選の日程が近いため、総裁選を総選挙後に先送りする、という観測が有力だった。

    もしくは、自民党の総裁任期末より前に衆議院を解散し、菅首相が主導権を確保して総選挙突入、との説もあった。こうしたさまざまな可能性は、総選挙は菅総裁のもとで戦う、というシナリオだった。

    ところが足元の菅政権の支持率低下で、自民党内が「菅首相のままでは選挙が戦いにくい」と浮足立っている可能性がある。その点で注目されるのは、8月22日の横浜市長選挙だ。菅首相は前国家公安委員長の小此木八郎氏を推しており、もし小此木氏が敗れれば、一段と「菅おろし」が強まるとの観測もあるようだ。

    海外投資家の間でも、日本の政治情勢は注視されてきていると述べた。そうした投資家と筆者が議論していても、知る限りでは、総選挙で与党の「自公」が大敗し政権交代する、と見込んでいる向きはいない。ただ、首相が交代する可能性が高まっている、とは考え始めているようだ。

    不透明要因が減れば、海外投資家は日本株に投資へ
    これは、海外投資家が菅首相の諸政策を前向きに評価していて、交代されたら困る、と考えているわけでも、その逆でもない。総選挙後の首相が誰になるかわからない、という可能性が高まること自体が、単に不透明要因であり日本株に投資しづらい、という解釈のようだ。

    ということは、選挙後の首相が誰であろうと、自公政権が維持され、(菅氏の続投も含めて)選挙後の新首相が定まれば、その不透明度合いは薄らぎ、海外投資家は日本株への投資を判断しやすくなる、と言える。政治情勢の進展とともに、薄皮がはがれるように、少しずつ株価が上値を探っていくのだろう。

    ちなみに、国内投資家の間では「現政権が選挙で勝利するために追加の経済対策を打ち出すだろう」といった期待を唱える声も聞く。「30兆円の追加対策」という数字も、独り歩きしているようだ。

    そうした観測に対しては、8月10日の閣議後の記者会見で、麻生太郎財務相は「公表されている支援策を活用して、適切に対応していく」と述べ、現時点での追加予算の編成に否定的な見解を示した、と報じられている。

    「財務大臣の立場にいるから、財政膨張に慎重なことを言っているのだろう」と決めつける向きもいるかもしれないが、財務相の発言はしごくまともだ。

    2020年度は、コロナ禍による景気悪化に対応するため、多くの予算措置が取られた。しかしその予算の執行が遅れており、2020年度一般会計予算の繰越額(使い残し)は30.8兆円ほどで、史上最高の金額となっている。追加の経済対策を検討するより、すでに打ち出した分をきちんと執行する方が先だ、というのは的を射た議論だと考える。

    やはり、何らかの経済対策が選挙目当てでドン、と打ち出されて、株価がドカンと上昇する、という展開は、期待しないほうがよいのだろう。

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