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    hardWorker 7月27日 22:12

    日経平均3万円復活への「2つの条件」がほぼ整った
    気になる菅内閣の支持率も今後徐々に回復へ?

    平野 憲一 : ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

    7月14日の109円安から始まった日経平均株価の下げに青ざめた投資家も多かったのではないか。14日以降は20日の264円安まで今年初めての5連続安。合計では1330円の下げとなり、20日は2万7388円(終値)となった。そして、昨年大納会からの4連続安の結果である1月6日の今年の最安値2万7055円(同)にあと300円ちょっとに迫るに至った。

    日本株だけが出遅れた2つの要因とは?
    世界は今、新型コロナウイルスのデルタ株の脅威にさらされている。事実、ニューヨーク(NY)ダウ平均も16日の299ドル安、19日の725ドル安の連続下げで、「プチ・デルタ株ショック」とでもいうべき動きを見せた。

    ただ、その直後からは20日の549ドル高、21日の286ドル高と、大きく戻しているように、新たなコロナ禍の中でも、欧米各国の株価は比較的しっかりしている。NYダウは昨年末に対してプラス約14%の位置にあり、その他はS&P500種指数や仏CAC40、独DAXも14~17%前後のプラスとなっている。

    それらに若干劣っている英FTSE100ですら、プラス約10%といった水準だ。しかし、日経平均は昨年大納会2万7444円に対して、4連休前の21日の引け値はプラス約0.4%(東証株価指数=TOPIXは約0.8%)と、出遅れが著しい。

    すでに世界は「ウィズコロナの時代」を受け入れようとしており、短期間での金融引き締めなど「夢のまた夢」だ。日本銀行が異次元金融緩和の継続を言明している日本も同様で、マネーストックM3(市中の現金と預金の合計)の6月平残は史上最高の1518兆8000億円と、お金ジャブジャブ状態で、需給相場の観点から下げる余地は乏しい。

    では「世界に劣後する日本株」の原因は何だろうか。ひと言でいえば、投資家が迷っていることだ。

    迷いの原因は2つ。すなわち、日本が世界と決定的に違うのは、デルタ株の不安の中で発進した「2020東京五輪」の存在と、「極めて低い政府への信頼感」だ。

    7月13日に出た有力新聞社の世論調査では、菅義偉内閣の支持率は37%、不支持率は53%だったが、これを東京都に限ると支持率28%、不支持率はなんと63%だった。

    政府のコロナ対応についても、感染者が多い東京都では「評価する」が24%でしかなかった。兜町筋から、この数字では「株は力を入れて買えない」という話が多数聞こえてくる。

    5月以降、相場格言が通じなくなった
    一方、「株のことは株価に聞け」との相場格言があるが、そのようにしたらどうなったか。最近の日経平均の動きに従ってみると、5月11~13日に大陰線が3本連続し2000円以上の値下がりとなり、直近の安値2万7663円を下回った。

    本来、これは明らかな「相場の崩れ」の形で、株価的には完璧な売りシグナルである。早速翌日の寄り付き(2万7723円)で売ったと仮定したら、6月15日には2万9441円の引け値まで一気に戻して、大外れとなった。

    またその後の7月9日には、200日移動平均線や5月13日の安値まで下ヒゲを出しての「手繰り陽線」が出た。これは明らかな買いシグナルで、翌日7月12日の寄り付き(2万8412円)で買ったと仮定したら20日の引け値は2万7388円で、今度は逆の形で大きな痛手を受けたことになる。このように昨今は「株価に聞く」こともできない。

    もう1つ、迷ったときには「国策には逆らうな(素直に国の政策に資金を乗せろ)」ともいわれる。しかし、残念ながらこちらも前述のごとき国(内閣)への「低支持率」では、素直に資金を乗せられない。

    では、今後日経平均が上昇する条件とは何か。前述の2つの格言「株のことは株価に聞け」「素直に国の政策に資金を乗せろ」が、格言として「復権」することだろう。

    7月19日の週は、立会日数3日間の変則的1週間だったが、4連休直前21日の日経平均は159円にはなったが、反発して下げ止まりを見せた。

    日本市場でも業績相場へ移行する準備は整った
    一方、23日のアメリカ株は、NYダウ、ナスダック総合指数、S&P500指数がそろい踏みで史上最高値を更新した。

    この日発表になったアメリカン・エキスプレスの2021年4~6月期の決算が市場予想を上回る数字を連発して、消費関連銘柄が上昇した。これによって今週発表されるハイテク株に連想的業績期待が高まり、ほぼ全面高となった。先物の指標であるシカゴのCME日経平均先物価格は円建てドル建てともに2万8200円前後で帰って来た。

    日本の個別企業の決算発表でも、日本電産は2025年度までの中期経営計画で、電気自動車向けの事業を拡大するなどして、今後5年間で売り上げを2.4倍の4兆円に引き上げるとしている。

    同社の2021年4~6月期決算では売上高4474億円と、この期としては過去最高を記録し、最終利益は前年同期比66%増の334億円だった。これは日本市場に活を与えるには十分な内容だ。

    アメリカでは業績相場がすでに始まっているが、日本でもその可能性が見えてきた。好業績による問答無用の株高があれば、投資家のセンチメントは大きく改善する。

    一方、「素直に国の政策に資金を乗せろ」だが、東京五輪は泣いても笑ってもすでに動き出した。もう中止はない。無事、大イベントの通過が見え、パラリンピックが始まる頃には不安感もさらに落ち着き、同時に国への支持率も上がると想像できる。

    今後は、前述のように、とくに東京都における内閣支持率が重要であり、それが株価の趨勢を決めると思っている。時を同じくして、これから日本企業は4~6月期決算発表のピークを迎える。NYダウは3万5000ドルに史上初めて乗せ、さらに上を目指す勢いだ。

    PER(株価収益率)も13倍台と、それほど高くない日経平均の目標を、ひとまず3万円においても高望みではあるまい。日経平均3万円が回復できれば、市場外に待機している資金がどっと入ってくるというのが「兜町強気派」の合言葉だ。

  • ロイター通信によると、東京外国為替市場委員会が27日に公表した東京外国為替市場における外国為替取引高サーベイによると、2021年4月の東京外為市場の取引高(1営業日平均)は4482億ドルとなり、06年の調査開始以来、過去最高となった。前回調査(20年10月)に比べ5.1%増加した。

    4月はドル/円相場の月間の値幅が3.37円と、20年10月調査時の2.09円から拡大した。商品別でみると、フォワード取引などが増加。通貨別では、円やドルの取引高が増えた。

  • 読売新聞によると、株式市場に新たに上場する企業が増えている。世界的なカネ余りが背景にあり、年間では14年ぶりの100社超えも視野に入る。ただ、景気の先行きに不透明感が出ており、今後も好調を維持するかは見通せない。

    コロナ禍で打撃を受けた経済の下支えのため、世界の中央銀行が大規模な金融緩和を実施しており、投資家の買い意欲は強い。企業にとってはより多くの資金を集めるチャンスで、SMBC日興証券の調べでは、1〜6月の新規上場は53社だった。
    値上がりを期待する投資マネーが流れ込み、昨年12月から今年6月中旬まで、49社連続で初値が公開価格を上回った。

    中でも好調なのが、ITサービスなどの「情報・通信業」で、上半期は約4割を占めた。海外からも注目され、転職サイト「ビズリーチ」運営のビジョナルは資金募集の約9割、個人の技能を仲介する「ココナラ」は過半を海外投資家から集めた。

    企業の新規上場は2007年に121社に上ったが、翌年のリーマン・ショックを機に大きく落ち込んだ。その後は回復し、近年は90社前後で推移している。
    大和証券で新規上場を支援する松下健哉・公開引受第三部長は「今年はDX関連など成長期待が高い企業が多く、通年で100社超が上場するのでは」とみる。

  • >>27

    共同通信によると、東京五輪の開幕後、最初の取引日となった26日の東京株式市場で、五輪関連株が軒並み上昇した。新競技スケートボードで日本勢が男女で金メダルを獲得し、スケートボードの輸入・販売を手掛ける会社が買われたほか、日本選手の活躍を受けてテニスやバドミントンのラケットを手掛けるヨネックスも値を上げた。
    市場で注目を集めたのは、スケートボードの輸入や販売を手掛けるモリト。日本勢の活躍を追い風に一時、前週末終値から16.5%も急騰し、値幅制限いっぱいのストップ高水準をつけた。終値は11.9%高だった。

  • 皆さんいつもありがとうございます。m(_ _)m
    これからも情報提供お願いします。

  • 五輪後の日本株は意外にも上昇する可能性がある
    菅政権が注力すべきシンプルな「2つの課題」

    村上 尚己 : エコノミスト2021年07月23日

    いよいよ東京オリンピックが始まった。8月24日からは東京パラリンピックが始まる。競技に挑む選手の全力のパフォーマンスで、世界的なスポーツの祭典を盛り上げてもらいたいと筆者は願っている。

    菅内閣支持率低下でも政権交代はほとんど想像できない
    一方、多くの会場で無観客開催となり、新型コロナ感染防止徹底を余儀なくされるなか、1年延期となっても、かなり景色が異なるオリンピックになりそうだ。さらに、直前になって組織委員会の選任スタッフを巡る不祥事、選手村などでのコロナ感染者が報告されるなかで、オリンピック開催を嫌悪する声も根強く、ヒートアップしている。多くの国民は、今回の東京オリンピックに釈然としない複雑な感情を抱いているようにも見える。

    金融市場の視点では、秋口以降に総選挙を控え、オリンピックを挟んで日本の政治情勢が様変わりするリスクが最も懸念されている。7月中旬までアメリカ株市場は上昇基調が続いているが、4月以降の日本株がアメリカ株高に劣後している一つの要因が日本の政治リスクだろう。

    2021年に入ってから、菅義偉政権は新型コロナウイルスの感染者数の抑制を優先、経済活動の停滞が長引いた。各種世論調査で内閣支持率は菅政権発足以来の低水準まで低下しているが、このまま総選挙を挟んで、菅政権発足1年余りで首相交代という展開も完全には否定できない。実際に、自民党の中の公認候補を巡る「内輪もめ」が聞かれ、自民党の幹事長人事などを巡る思惑もあり、自民党内の「菅おろし」が本格化するシナリオも想定される。

    もっとも、内閣支持率は低下しているが「反対勢力」というパフォーマンスに徹しているとみられる野党に対して国民の期待が高まっているようには思われず、次の総選挙において野党への政権交代はほとんど想像できない。この意味で、今後政局が起こるとすれば、それは自民党内部の主導権争いが引き起こすのだろう。

    筆者はやや期待を込めている部分もあるが、今後の日本の政治情勢について以下の展開を予想している。まず、世論の風向きだが、先に述べたように多くの国民が複雑な感情を抱くなかでオリンピックが開催されるが、盛り上がりに欠けるとの声も多く事前の期待値は低いだろう。

    だが実際にはオリンピックが始まれば、テレビなどは日本人選手を中心とした活躍を大きく伝えるので、これまでのオリンピック同様に相応に盛り上がるのではないか。すると、多くの国民が抱く釈然としない感情は、今後、当初の想定よりも容易に払拭されうる。

    菅政権は新型コロナやオリンピック対応で迷走している部分もあるが、内閣支持率は新型コロナ感染動向に大きく連動している部分が大きい。菅政権が注力するワクチン接種は他の先進国並みのペースにしっかり速まってきているし、緊急事態宣言など経済活動制限の効果もあり、新型コロナ感染者数は秋口にかけて落ち着くだろう。

    2021年末頃から日本経済が急回復する条件がそろう
    結局、菅政権が注力する、「オリンピックというイベントを無事終わらせる」「ワクチン接種を進める」という2つの課題をクリアすれば良い。これらが高いハードルであるかと言えば、筆者にはそうは見えない。このため、オリンピックにおいて、テロ発生などのかなりの想定外の出来事が起こらなければ、総選挙が近づく秋口にかけて経済活動の正常化期待が高まると予想される。

    また、オリンピックが多くの会場で無観客試合となったことが、経済活動の下押し効果を懸念する声もある。だが無観客試合のチケットが払い戻しされるだけなら、数百億円程度でマクロ的には影響はほぼない。もちろん、首都圏を中心に7月から経済活動制限が強化されたため、これによる経済的な下押し効果は続いている。また、これまで飲食店などの営業自粛に対する協力金が、東京都などから迅速に支給されなかったという対応の不手際が目立っていた。

    それでも7月以降については、先払いで飲食店への協力金支払いが行われ始めており、政府・自治体の対応は改善する方向にある。今後こうした対応を続けるなかで、秋口以降期待できる経済活動の本格化とともに、これまで執行されなかった財源を必要な歳出に回すなどで、効果的に大規模な財政政策を発動する余地がある。

    最終的には、官邸の判断次第ではあるが、財政政策の発動が経済正常化を後押しすれば、春先から夏場にかけてアメリカで見られた経済活動の急回復が、日本でも2021年末頃から始まるだろう。

    新型コロナが収束に向かえば、どの程度経済成長率は高まるか?日本人による国内旅行消費(2019年)は約21.8兆円(GDP比約4%)である。新型コロナで国内旅行消費は大きく落ち込んでおり、2020年4~6月以降の1年間では旅行消費は約8.3兆円へと半分以下に落ち込んでおり、この需要喪失はGDPの約2.5%に相当する。

    政府が目指すとおりに、今年の年末までにワクチン接種が進めば、抑制されていた日本人の旅行消費がかなり顕在化すると見られる。やや楽観的だが、2022年内に2019年の水準まで国内旅行消費が戻るとすれば、GDP成長率を約2%程度押し上げる効果が期待される。また、この需要顕在化は新型コロナ収束によって自然に発生するので、「Go Toトラベル」などの旅行需要刺激策は、現在想定されている予算で十分だろう。

    2022年の日本経済急回復シナリオにこれだけの根拠
    また、2022年に新型コロナリスクが低下すれば、現在ほとんど蒸発している海外からの訪日客の増加にも期待できる。新型コロナ禍前の海外旅行者による消費金額(2019年)は4.8兆円である(GDP比約1%)。もちろん、国内旅行消費ほど早期に海外旅行者が増える可能性は低いので、訪日外国人への大きな期待は難しい。それでも、訪日外国人が2019年の半分程度まで戻るだけで約2兆円の消費需要が現れる。

    これらの旅行需要が顕在化することに加えて、営業自粛を余儀なくされていた外食やレジャーなどの産業の売り上げも、国内旅行消費と同様に2022年にはかなり正常化するだろう。これらのサービス消費が増える時には、同時に他の消費需要が減るので、旅行需要などの顕在化が全てGDPの押し上げ効果にはならない。ただ、ワクチン接種が菅政権の想定する通りに進めば、2022年の日本経済の成長率はかなり高まるだろう。

    オリンピック後に菅政権が存続する政治情勢となり、上記のシナリオへの期待が強まるなかで、これまでの日本株の出遅れのかなりの部分が解消されると筆者は予想している。

  • 共同通信によると、日本勢が五輪で10個以上の金メダルを取れば、株価が上がる—。こんなリポートを三井住友DSアセットマネジメントがまとめた。過去の夏季五輪での金メダル獲得数と期間中の株価の動きを調べたところ、日本勢の活躍に呼応するように日経平均株価も上昇していたという。
    リポートでは、金メダルを11個獲得した1968年のメキシコ大会で平均株価が2.3%上昇したのを皮切りに、72年のミュンヘン(13個)、84年のロサンゼルス(10個)、2004年のアテネ(16個)、16年のリオデジャネイロ(12個)と軒並み株価が上昇した。市場関係者は日本選手が活躍することに期待を寄せている。

  • 世界一の大富豪イーロン・マスク、550万円のプレハブ住宅で生活中

    今年1月アマゾンのジェフ・ベゾスを抜いて世界一の大富豪だと報じられたイーロン・マスク。その時点での資産は1887億ドル(約20兆9372億円)! 当然大豪邸に住んでいると思いきや、意外にも質素。なんとプレハブ住宅に住んでいることが明らかになった。

    先月、マスク本人がTwitterに「今住んでいるのは5万ドル(約550万円)の家だ。ボカチカにあって『スペースX』から借りているんだ。とても素晴らしい家だよ」と投稿、注目を集めていた。「スペースX」はご存知の通りマスクがCEOを務める航空宇宙メーカー。テキサス州ボカチカには同社の開発&打ち上げ拠点がある。新聞「ニューヨークポスト」はその敷地内に折りたたみ式ユニットハウスが建てられていることを確認。マスクがここに住んでいると報じている。

    このユニットハウスを開発したのはアメリカのベンチャー企業「Boxabl」。マスクのファンサイトによると大きさは375平方フィート(34平方メートルで18畳)。リビングルームとトイレ、キッチンとベッドエリアで構成されている。マスクはここに1人で暮らしているよう。ユニット内の間取りを自由に変えベッドを2つ置くこともできるし、ユニットをいくつか組み合わせたり積み上げたりして広くすることもできるが、恋人のグライムスや彼女との間に生まれた男の子とは離れて暮らしていると見られている。

    マスクはカリフォルニアなどに所有していた土地や邸宅を昨年から売却処分している。これは以前から計画している火星への移住に力を注ぐため。昨年5月に「ほぼすべての有形資産を手放しているところだ。今後は家も持たない」とツイート、大規模な断捨離に取り組んでいることを明かしていた。これまでもユニークな言動でニュースを騒がせてきたマスク。ここまでして取り組む火星移住をどう実現するのか、注目したい。

  • >>22

     ジャシー氏をよく知る人々によると、「車輪」を使った会議には人の善意に頼ってはいけないというジャシー氏の考え方が良く表れているという。社員が会社の期待に応えるようにするには強制力が必要だとジャシー氏は考えている。「車輪」がなければ、準備をしてこない人が出てくる。AWSのある幹部は「彼は、会議室にいる全員が会社のサービスの細部に没頭できる状態でいることを望んでいた」と話す。

     事情に詳しい複数の関係者によると、ジャシー氏は幹部の退職に怒ったことがある。アマゾンはジャシー氏と非常に親しかった元幹部社員に対して競業禁止を巡って裁判を起こしたことがあるという。グーグルに転職した元社員を訴えた裁判について、ある元幹部は「(ジャシー氏が)莫大な労力と多くの人を使って大して重要ではないことを優先しようとするいい例だ」と話した。アマゾンの広報担当者は社員の退職にジャシー氏が腹を立てたことはないと述べた。

    By Aaron Tilley, Dana Mattioli and Kirsten Grind

  • アマゾン新CEO、ベゾス氏が築いた帝国守れるか

     アマゾンのクラウドコンピューティング事業「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」でアンディ・ジャシー氏がどのようなリーダーだったかは「the wheel(車輪)」と呼ばれる会議ツールに表れている。

     現・元社員によると、週に一度のスタッフ会議では、ジャシー氏ら幹部がこの「車輪」を使って無作為に社員を選び、事業についてプレゼンテーションをさせた。ジャシー氏らは熱心に耳を傾け――おそらく話を止めて間違いを正したりしただろう――、スタッフに次々と細かい質問をぶつけたという。

     ジャシー氏は5日、創業者のジェフ・ベゾス氏の後任としてアマゾンの最高経営責任者(CEO)に就任する。ジャシー氏の細部を重視する経営スタイルがアマゾン全体の経営に持ち込まれることになる。

     53歳のジャシー氏はアマゾンの生え抜きで、ベゾス氏のそばで仕事を学んだ。ベゾス氏と似たところもがあるが、ベゾス氏とは異なるタイプのリーダーだ。ジャシー氏と組んで仕事をしたことがある人々によると、ジャシー氏はベゾス氏と違って、穏やかな話し方をする、親しみやすい人だという。スポーツと音楽が好きで、ジーンズ姿で出社することを好み、シアトルの本社キャンパス周辺のレストランでときどき目撃されている。

     一部の元社員によれば、ベゾス氏――幹部が準備不足と思われるときは会議中に激怒することで知られている――と比べると、ジャシー氏の社員に対する態度は穏やかだが、集中力や競争心の面ではベゾス氏に劣らないという。一方で、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今年2月に報じたように、ベゾス氏はここ数年、細かいことには口を出さない経営スタイルを取ってきたが、複数の元社員によると、ジャシー氏はAWSの事業の細部まで徹底的に掘り下げることで知られており、部下が困惑することもあった。ジャシー氏は見込み客への売り込みから技術的な変更の方向付け、会社のイベントで流す音楽の選定、報道機関向けの発表文の編集など何でもやった。アマゾンの元幹部によると、ベゾス氏直属の幹部の中でジャシー氏ほど予定を押さえるのが難しい人はいなかった。

     「彼は驚くほど細部を重視している」と話すのは、アマゾンの副社長でジャシー氏と12年以上働いているジェームズ・ハミルトン氏だ。「あの細部への徹底したこだわりは比類がない」

     そうしたこだわりのおかげもあって、ジャシー氏はAWSをクラウドコンピューティング革命の先駆者に、さらには一大事業へと育て上げた。AWSは数万人の社員を擁し、昨年の売上高は450億ドル(約4兆9900億円)を超えた。独立した企業なら「フォーチュン500」ランキングでベストバイを僅差で下回る69位だ。昨年の営業利益は135億ドルで、アマゾン全体の6割近くを占めた。

     しかし親会社のアマゾンはそれよりはるかに大きい。社員数は130万人近くに上り、昨年の売上高は3860億ドルだった。

     ジャシー氏は今後、アマゾンなどを反トラスト法(独占禁止法)で取り締まろうとする議員や当局者との戦いも指揮しなければならない。連邦議会下院の司法委員会は先月、大手テクノロジー企業を標的にした複数の法案を可決。実質的にアマゾンを狙ったある法案は大手企業のオンラインプラットフォームとプラットフォーム上で販売する社内ブランドの切り離しを求めている。こうした動きに先立って、ジョー・バイデン大統領は主にアマゾンの競争戦術への批判で名を上げた弁護士のリナ・カーン氏を米連邦取引委員会(FTC)委員長に任命した。FTCは現在、アマゾンの商慣行について調査を進めている。

     AWSは反トラスト法をめぐる議論に巻き込まれていないため、ジャシー氏はこの問題にこれまでほとんど関わっていない。しかしアマゾン批判派は既にジャシー氏に照準を定めている。2月初旬、ジャシー氏がアマゾンCEOに就任すると発表された数時間後に、下院反トラスト小委員会で共和党トップを務めるコロラド州選出のケン・バック議員がツイッターに「ジャシー氏にいくつか聞きたいことがある」と投稿した。

     アマゾンはジャシー氏に対するコメント要請に応じなかった。同社はこれまでに、事業は顧客の利益になるように公正に運営している、提案されている法案は同社のプラットフォーム上で販売する企業だけでなく、買い物をする何億人という消費者にも損害を与える、との見解を示している。

    「一番アマゾンらしい」

     ジャシー氏は著名な企業弁護士の息子で、ニューヨーク州スカーズデールで育った。学校ではサッカーとテニスの選手だった。ハーバード大学を卒業し、経営学修士号(MBA)も同大で取得した。アマゾンに入社したのは1997年。ベゾス氏が自宅のガレージでオンライン書店としてアマゾンを立ち上げてから数年しかたっていなかった。ジャシー氏はテクニカルアドバイザーなど複数の役割を担った。

     2000年から2003年にかけてジャシー氏と社内のチームはのちにAWSとなる事業について計画を立て始めた。アマゾンは既に自社の小売事業に必要な低コストの巨大なコンピューターインフラを管理する高い技術を獲得しており、AWSはその専門技術を外部に販売するルートになった。2006年、アマゾンはジャシー氏をトップに据えてAWSを立ち上げた。

     アマゾンに15年以上勤務し、エンターテインメント事業のトップを務めたビル・カー氏はジャシー氏について、昔からベゾス氏と気が合っていたという。カー氏によると、社内には「Amazonian(アマゾンらしい)」という表現があり、「アンディはジェフの直属の部下の中で一番アマゾンらしかった」。カー氏は2014年に退社した。

     元同僚によれば、ジャシー氏は自分が重要だと思えば細部のさらに細かいところに莫大な時間をかけた。2019年に始めた音楽フェスティバルに参加するアーティストを時間をかけて選び、2012年に新たなデータ分析製品を発表した際には4週間かけて名称を検討し、発表前日に「レッドシフト」に落ち着いた。

     前出のハミルトン氏によると、バージニア州にあるAWSのデータセンターで大規模障害が発生したときは、ジャシー氏が自ら問題の把握に乗り出した。技術者が発電機を確認しているときにドアが偶然、スイッチにぶつかって発電機が止まったことが分かり、ジャシー氏は詳細に調査して、担当チームに発電機の設計を変更するよう求めた。

     ジャシー氏の昨年の報酬は17万5000ドルの基本給と株式付与を含めると3580万ドルだった。アマゾンの個人株主としてはベソス氏と同氏の元妻マッケンジー・スコット氏に次ぐ3位に名を連ねている。アマゾンの2日の発表によると、ジャシー氏には5日に6万1000株が付与される。権利は10年で確定する。2日の終値で計算すると、付与される株の価値は約2億1400万ドルに上る。新たに付与される株と5月時点で保有していた約8万8000株を合わせると、ジャシー氏の持ち分は全体の約0.03%だ。

     これだけの資産があるにもかかわらず、ジャシー氏は一部で倹約家として知られている。元同僚の一人によると、ジャシー氏はプライベートジェットを使うように提案されるとためらったという。知人の一人はジャシー氏がおんぼろの古いジープ・チェロキーに乗り込むのを見て驚いたと話した。

    返信メールに「Nice!」

     ジャシー氏はベゾス氏より控えめで、現・元社員によると、会議では自分以外の人が発言するのを待って質問をする。多くの幹部はベゾス氏が気に入らないプレゼンに下す厳しい評価を恐れているが、ジャシー氏は不満を表すときも慎重だという。「(ジャシー氏が)穏やかなではない話し方をするのを見たことがない」とカー氏は言う。

     アマゾンの幹部はベゾス氏から送られてくるクエスチョンマーク付きのメールにおびえているが、ジャシー氏はメールに「いいね(Nice!)」と返信することが多い。この返事があまりにも有名になり、AWSでは「Nice!」という吹き出し付きでジャシー氏の顔のステッカーを作った社員もいる。

     「私たちは働くために生まれたわけではない」。AWSのある幹部によれば、全員参加の会議でジャシー氏はこう言ったという。

     しかし仕事に対する要求は厳しい。「車輪」を使った週に一度の会議では、ジャシー氏ら幹部がマネージャーやチームのメンバーに鋭い、突っ込んだ質問を投げかけた(当初はボードゲームやゲーム番組で使われているような手作りの円盤が使われていたが、参加する部門が増えたため、のちにコンピューターアルゴリズムを使うようになった)。社員の中には会議を「銃殺隊」や「死の車輪」と呼ぶ人もいた。アマゾンの広報担当者はこの会議が一般的にそのように呼ばれているわけではないと述べた。

     社員の一人によると、ジャシー氏は社員に不満があるときには非常に辛辣な意見を述べることがあるが、メールでフォローすることが多いという。ジャシー氏は会議で大声を上げることはないものの、問題を真剣に受け止めていない人間がいると感じたときは特に、非常に辛辣(しんらつ)な批評をすることがある。ある元幹部は「(ジャシー氏には)これまでに見たことのない緊迫感がある」と話した。

  • ドル円「異変」で、いよいよ「ワクチン相場の“賞味期限”」がやってくる…!

    「ワクチン相場」のリアル

     過去の本欄への寄稿では金融市場、とりわけ為替市場ではワクチン接種率の序列がそのまま通貨の強弱に反映されているのではないかという、いわゆる「ワクチン相場」の現実を議論した。

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    関連記事→『ドル高・円安に「死角」はないか…為替市場、2021年「上半期&下半期」の“重要テーマ”がわかった! 』
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     ワクチン接種を打開策として、米国を筆頭とする海外の経済・金融情勢が好転する展開を踏まえれば、内外金利差の拡大が円売り・ドル買いを促すはずというシナリオは現時点でも相応に有効だとは思われる。

     確かに4~6月期の米金利低下とドル安は誤算だが、あくまでも1~3月期の米金利上昇とドル高が性急過ぎたというだけの話だろう。6月21日時点でドルの名目実効相場(BIS公表値)は年初来で+1.0%と上昇し、米金利も年初来で見れば50bps以上も上昇している。

     基本的に「内外金利差の拡大が円売り・ドル買いを促す」という見立ては何も間違っていない。

     どう足掻いてもコロナ禍の出口戦略はワクチンしかない以上、ワクチンの調達と接種に秀でる国の経済や通貨が評価されるのは不思議なことではないし、実際に過去半年間はそうだった。

     こうした状況はいわゆる「ワクチン相場」として総括されるものであり、これが2021年上半期を総括する肝であったことは間違いない。4月に公表されたIMF世界経済見通しも似たようなロジックで成長率の多寡を説明している。

    ワクチン相場は「秋頃」には終わる…?

     しかし、ワクチン相場の賞味期限は永遠ではない。

     株にしろ、為替にしろ、ワクチン相場という考え方が機能するのは接種率やそれにともなう行動制限解除の度合いに格差があるからである。

     日本に限って言えば、1回以上のワクチン接種を済ませた人の割合は20%程度であり、G7の中でもまだ群を抜いて低い。それが景況感や金利の格差となって予見され、円売り・ドル買いの背中を押すというシナリオはまだ使えるものだと筆者は考える。

     だが、日本でも10~11月には希望者全員に接種が完了する方針が政府より示されている。一方、接種率が高い欧米の様子を見る限り、40~60%の水準に及ぶとペースの鈍化が見受けられる(以下図)。

     タイミングは前後しようが、欧米諸国のワクチン接種水準は頭打ちが近いと考えるべきだろう。

     結果、日本と諸外国の格差は縮小が既定路線であり、ワクチン相場のロジックも秋頃には使えなくなる公算が大きい。

    「ワクチン相場」から「金融政策相場」へ
    米国は金融正常化へ動き出す photo/gettyimages

     もっとも、そうであったとしても拡大する格差の対象が「ワクチン接種率」から「金融政策」になるだけだろう。

     ワクチン接種とセットで社会の正常化も同時に進んだことで、米国は金融政策の正常化にいち早く着手する。

     足許の接種ペースを前提とすれば英国やドイツは9月、米国は11月に集団免疫獲得と言われている。欧米主要国でそのような流れが見えてくれば、日常生活では大規模イベントの開催可否やマスク着用義務の処遇などが注目されるだろうし、金融政策ではテーパリング実施は自明の前提として利上げ時期の模索も始まりかねない。

     今後、日本も接種率の上昇が予見されるが、海外と比較すれば霞んでしまうものだと予想される。為替市場はあくまで相対比較の世界なので、日本のワクチン接種が進んでもそれだけでは材料視されにくい。

     FRBについて言えば、もはや8月のジャクソンホール経済シンポジウムでは、かねてより目されていた「テーパリングの示唆」ではなく「利上げの道筋」が語られる可能性すら出ている(テーパリングは既に6月FOMCで示唆されてしまった)。

     かかる状況下、ワクチン相場の賞味期限は秋口に切れるとしても、その後は金融政策格差を映じたドル高(円安)相場が現れる公算が大きいと筆者は考えている。

    「重大リスク」はなにか
     この点、日々の勉強会やウェビナーでは頻繁に「円安・ドル高シナリオが大きく崩れるとしたらどのようなケースか」と尋ねられる。

     4月以降、ドル安になっても円高がほとんど進まない状況にどこか居心地の悪さを覚える気持ちはよくわかる。こうした質問に対しては「ワクチンが無効化されたケース」としか言いようがない。

     円高になりやすい地合いは需給が評価される地合いである。そして需給が評価される地合いは市場参加者が「確実な手がかり」に依存しようとする地合いであり、大抵の場合は悲観的なムードが支配している状況だ。

     悲観的なムードが強まり、昨年のように各国間の金利差が概ね消滅している地合いならば、さらに需給がクローズアップされやすい。コロナショックが直撃した昨年、人民元、ユーロそして円が対ドルで大きく上昇したのは偶然ではないと筆者は考えている。これらは世界3大経常黒字大国の通貨である。

     では、目先において悲観ムードの高まりを警戒すべき芽はあるのか。これはある、と言わざるを得ない。

     ここにきてインドで発見された変異株ウイルス(デルタ株)が感染を拡げていることから、ワクチン接種率で先頭に立っていたイスラエルでマスク着用義務が復活し、英国で行動制限の解除が見送られている状況には強い警戒を要する。

     もちろん、イスラエルにしても英国にしても「接種していない層が変異株の感染に見舞われた」という状況であり、死者や重症者は制御されているようだ(もちろん続報を待つ必要はある)。

     だが、こうした「ワクチン接種先進国のつまずき」は今年のメインシナリオとしてほとんどの市場参加者が織り込んでいないものであり、とりわけ気温が下がり、感染症が流行しやすいと考えられる10~12月期、1~3月期の重大なリスクとして念頭に置くべきものだろう。

    「180度」違うシナリオ
     そもそもワクチン接種先進国の成功をアテにして進んできたのが上半期のワクチン相場なのだから、「ワクチンがあってもやっぱり駄目だった」という帰結になれば、金融市場のシナリオも180度違うもの(米金利低下・ドル安)にならざるを得ない。

     例えばニューヨークで再びロックダウンが必要になるような事態になれば、金融市場がそれを冷静に受け止めることはできないだろう。

     もちろん、先行きの感染症の行方がどうなるかなど、エコノミストとして合理的に想定できる論点を逸脱しており、あくまでメインシナリオへのリスクという認識にとどめざるを得ないが、見通しを語る上では触れておくのが真摯な姿勢だと考える。

    唐鎌 大輔(みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

  • 乱高下するビットコイン テスラ株との相関を“単純化”する投資心理

     史上最高値更新に沸いてきた米国株をはじめ主要な株式市場を見ていくと、大きな潮目の変化が見て取れるようになった。これまで、新型コロナウイルスの感染拡大でIT関連企業をはじめとする「グロース株(成長株)」中心の相場が続いてきたが、ここにきて「バリュー株(割安株)」相場へとシフトする“グレート・ローテーション”が起こっている。

     大きな要因は、米長期金利の上昇である。金利が上がると、総じて割高なグロース株よりも、少しでも安定的な収益を得られる債券に資金がシフトするため、成長性の高い株は売り込まれてしまう。世界でワクチン接種が広がるなか、景気回復期待から金利が上昇するのに伴って、これまで隆盛を誇ってきたグロース株の魅力が薄れてきているのだ。

     これまでのグロース株相場の象徴的存在が、EV(電気自動車)で名を馳せてきたテスラだろう。同社の株価は昨年3月の100ドル前後から今年1月には一時800ドルを超え、時価総額はトヨタ自動車を大きく引き離すほどにまで膨張した。株価急騰によって創業者のイーロン・マスク氏の保有資産額も大きく膨れ上がり、一時は世界一の富豪とされる米アマゾン・ドット・コムCEO(最高経営責任者)のジェフ・ベゾス氏の資産を上回った。

     テスラ株の急騰を支えてきたのは、コロナ対策のため各国の中央銀行がこぞって進めてきた大規模な金融緩和で、市場に資金が大量に流入したことによる「低金利」と「カネ余り(過剰流動性)」にほかならない。そして、テスラと同様に、世界的なカネ余りを背景に膨張してきたのが暗号資産(仮想通貨)の代表格である「ビットコイン」である。

    世界中に溢れた資金は、株式市場のみならず暗号資産にも大量流入。奇しくもビットコインにバブルをもたらしたのはテスラだった。今年2月、テスラが15億ドルものビットコインを保有していることが明らかになると、ビットコイン価格が急騰。ビットコインを大量保有するマスク氏のTwitterでの発言が度々注目を集め、“ビットコインが上がるからテスラ株も上がる”というサイクルが作り出された。米国の金融市場では、「ツーといえばカー」と言わんばかりに、「イーロン・マスク→テスラ→ビットコイン」という連想ゲームが定着していったのだ。

     行動経済学では、このように「ざっくりと物事をつかみ」、「直感的に物事を理解」して意思決定することを「ヒューリスティック(heuristic)」と言う。ビットコインとテスラの連関性は、まさにヒューリスティックの極みと言えるだろう。

    揺らぎつつあるテスラの優位性
     しかし、単純化された「ヒューリスティック」はいつまでも続かない。ビットコインは4月14日に一時700万円台まで上昇したが、テスラがビットコインによるEVの購入停止を発表すると暴落。その後1か月足らずで300万円台まで価値を半減させている。テスラ株も一時の勢いを失い、現在は600ドル台で推移している。

     なぜこうなったのか。ごく簡単に言えば、テスラ株もビットコインも実体とかけはなれて「高すぎた」のである。冷静に考えてみると、そもそも実体のないビットコインもさることながら、テスラの実績PER(株価収益率)は800倍を超え、異常なほど割高である。

     確かに、世界的な「脱炭素」の流れからEVの注目度はますます高まっているが、だからといってEVはテスラが独占しているわけではない。トヨタやVW(フォルクスワーゲン)、BMWやメルセデス・ベンツなど、世界の名だたる自動車メーカーがEVの普及を本格化しており、中国でもBYD(比亜迪)などのEVメーカーをはじめ、車載用電池最大手のCATL(寧徳時代新能源科技)などが台頭している。とりわけ世界最大の自動車大国となっている中国では、既にテスラ車の販売が頭打ちとなりつつあり、その優位性も揺らいでいる。

    そのためここは「ヒューリスティック」ではなく、冷静に考える必要があるのではないか。そもそも、テスラやビットコインの躍進を支えてきた世界的な金融緩和の流れは、インフレや金利上昇、景気回復に伴って、いずれは反転する。既に回復基調が強まっている米国では、早晩、テーパリング(緩和縮小)の議論も高まってくるに違いない。そう考えていけば、世界的な金融緩和の“あだ花”として大きく花開いたテスラ、そしてビットコインの隆盛はもはや風前の灯と言えるかもしれない。

    真壁昭夫(まかべ・あきお)

  • 日経平均株価が上がりにくくても下がらないワケ
    再度浮上するのは、一体いつごろになるのか

    先週末「世界の資金運用のベンチマーク」たるアメリカのS&P500指数は、正常な日常を取り戻しつつある経済を織り込むかのように、連日史上最高値を更新した。

    ジョー・バイデン大統領の音頭取りではあるが、同国は7月4日の独立記念日を「新型コロナウイルスからの独立記念日」にしようともくろんでいる。

    日本の株価が一見割安なのに上昇しないワケ
    片や、日本では東京五輪・パラリンピックが、まるで新型コロナウイルス感染拡大をもたらす疫病神のような扱いを受けている。2013年(約8年前)の決定時にはあれだけ「国威発揚の祭典」として盛り上がったことがうそのように、「主催者はIOC(国際オリンピック委員会)であり、日本はあくまで競技の場所を提供しているだけ」などと言う関係者もいて、まるで第三者的な立場で実施の可否を議論しているありさまだ。

    日本を除けば、S&P500指数だけでなく、欧州の優等生ドイツの代表的指数フランクフルトDAXも、このところ史上最高値を更新中だ。またフランスでも、パリCAC40指数は、2000年9月のITバブルの異常値があるため史上最高値はさすが無理だが、やはり近年の高値を更新した。

    これら主要国の指数と予想PER(株価収益率、予想1株当たり利益÷株価で算出)との関係を比較すると、アメリカ約22倍、ドイツ約16倍、フランス21倍に対し、日経平均株価は約14倍と「出遅れ」が目立つ。

    世界一慎重な日本の投資家からすると、ソフトバンクグループとトヨタ自動車の巨額利益が発表される直前の5月12日には約16.7倍だったので、2社の利益で全体の利益が増えPERの値が低くなっても、あまり響かないようだ。「今の2万9000円は世界から見ても割安ではなく、妥当な水準だ」という評価をしているのだろう。

    前回の本欄「日経平均の潮目が変わったと言える『明確な証拠』」では、日本における需給(流動性)相場の象徴であるマネーストックM3の4月の数字は、前月比18.6兆円増の1508.2兆円(平残)と過去最高の残高となり、いわゆる「お金の流れ」もまったく変わっていなかったことに触れた。

    では直近はどうか。その後発表された5月の数字も、同7兆円増の1515兆2000億円と「記録」は更新された。

    また、日本銀行の「資金循環統計」で見ても、株式へのお金の流れが期待できそうだ。平成バブル崩壊以降、「失われた30年」の中で日本は多くのものを失ったが、その間、個人金融資産は着実に増え続けた。6月25日8時50分に発表予定の最新の「資金循環統計(1~3月期)」では、1990年の2倍の約2000兆円が予想される。

    株への流れは続くが、一気の強気は禁物
    「資金循環統計」の大きな流れだけ見ると、株式等・投信への投資比率は年々低下して約14%に低下し、多くの個人投資家が市場から離れたように見える。しかし、最近の個人投資家の新規参入はすさまじく、証券口座の増え方から見ても、明らかに逆流している。大きな地殻変動が控えているような気がしてならない。

    ただし、これも前回書いたことだが、ここで一気の強気も禁物だ。ほんの少し前は日経平均で2万8000円の攻防だったのである。それが2万9000円前後のモミ合いになったのだから、まずは十分だと考えよう。大きな相場は、まだまだ先なのだ。

    簡単にいえば、買い勢力と売り勢力の攻防戦の「勝ち負け」は、短期では25日移動平均線、中期では75日移動平均線を意識して決まる。

    短期戦では、日経平均は5月28日の前日比600円高で25日移動平均を抜けたことで勝ちを収めている。だが、中期線のターニングポイントである75日移動平均(6月11日現在2万9133円)は、まだ抜けないでいる。

    つまり、中期での負け(株価の移動平均線からの下方乖離)状態は5月11日以降ずっと続いていることになる。ではその原因は何か。ズバリ、企業業績の回復具合だ。

    世界から出遅れていたワクチン接種が急速に進み、2021年度の企業業績は、増益が確実視されている。だが、4~6月期の回復においては、なお不透明感が残っている。

    それを占う意味で非常に重要だったのが、先週発表された4~6月期の「法人企業景気予測調査」である。

    景気回復が遅れても株価が下がらないワケ
    このうち、大企業全産業の景況判断指数はマイナス4.7と、1~3月期のマイナス圏から脱出できなかった。回復著しい製造業ですらマイナス1.4、コロナの影響が厳しい非製造業はマイナス6.2となっており、業種別では半導体不足で減産した自動車がマイナス16.0、外出自粛の宿泊・飲食がマイナス32.3と大きく落ち込んだままだった。

    このように、数字で見ると企業業績の回復が後ずれしていることが明らかになり、7月の決算発表を期待していた投資家にかなりの失望感を与えた。本格回復が7~9月期にずれ込むとしたら、それが確認される秋以降を待たなければならないからだ。このままでいくと「回復は10~12月期にさらに後ずれする」との見方もある。

    では、株価はなぜ下がらないのか。株は、上がらなければ必ず下がるものだ。下がらないのは、やはり理由があるからだ。前述のように、中期攻防戦では負け状態が続いているとしたが、実はその「勝敗ライン」はすぐ越せる目の前にあるのである。

    また、200日移動平均線を基準とした長期攻防戦に至っては、上方乖離をしており、勝っているため、資金的に余裕の筋も多い。海外のアクティブファンドなどは先を見据えて「アフターコロナ」を買っている。

    例えば、各種のREIT(不動産投資信託)や不動産株が強いのは、その現れの1つだ。またハイテク株も、金利がさほど上昇しないと見て、押し目は買われている。

    さて、最後に目先の株価はどうなるだろうか。先週は先物とオプションの清算値が決まる「メジャーSQ(特別清算指数)」を通過したが、日経平均のSQ値は2万9046円で、これはほどよい結果だった。

    このSQ通過から流れが変わると見る向きもある。今週は国内では日銀金融政策決定があるが、それよりもマーケットのカギを握るのは、やはり日本時間17日に結果が発表されるFOMC(連邦公開市場委員会)と、その後のジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見だ。

    また、FOMCの前にはアメリカの景気指標(5月PPI、5月小売売上高、6月NY連銀製造業景況指数、5月鉱工業生産指数・設備稼働率、4月企業在庫、6月全米住宅建設業協会<NAHB>住宅市場指数、4月対米証券投資)などが怒濤のごとく発表される。今後の市場がますます面白くなってきた。

  • >>14

    それでもすでに起こった未来は貴重な指針だ
     しかしそれでも未来に対する「見通し」は大事だ。

     ドラッカーが述べる「すでに起こった未来」をベースに、バフェット流の「備え」を怠らずに前へ進むのが王道と言えよう。

     世の中が、我々の予想(望み)通りになることはあまりない。しかし、それでも我々は生きていかなければならない。

     重要なのは、「市場は常に正しい」が、「人間の行動は常に合理的ではない」ということだ。人々が「非合理的な行動で市場を動かしたとき」が、収益を生むチャンスである。バフェットは「人間の行動は非合理的」で市場に思わぬ影響を与えることを想定して準備を怠らない。

     そしてその人間の気まぐれで起こった「歪み」に投資を行って、「正常」になるまで忍耐強く待つのがバフェット流の重要な戦略だ。。

     「市場は常に正しい」が「人間は常に合理的とは限らない」ということが、我々が未来に対処するためのキーワードだと言える。

    大原 浩(国際投資アナリスト)

  • 投資で事故っても生き残るための神様バフェットの教え「安全余裕率」

    世の中はいつも「正しい」方向に進むわけではない

     相場格言に「市場は常に正しい」というものがある。この言葉は大変深い意味を含んでおり、投資に関わる市場だけではなく、ありとあらゆる市場経済、さらには「社会という市場」についても同じことが言える。

     「市場は常に正しい」ということが意味するのは「あなたが間違っている」ということである。よく、トレーダーや投資家で「この市場はおかしい」という人物がいる。しかし、「市場は常に正しい」のだから、損をしても利益を得ても市場のせいではなく「あなた次第」であるということだ。「自己責任」の大切さをこの格言は示している。

     市場というものは「人間の意思の総和」であるから、何らかの形で自分が関与できるような気がする。しかし、市場をパソコンやスマホだと考えれば、この「市場は常に正しい」という言葉の意味が分かると思う。

     例えば、自分が電卓をたたいて計算した結果とエクセルの自動計算の結果が異なっていたときに、(自分の計算が間違っているのではなく)「エクセルのソフトに不具合がある」と自信を持って主張することができる人は稀であろう。

     また、申請書のフォーマットに入力している際に、エラー表示が出れば、「自分が入力を間違った」と考えるのが自然である。

     要するに、市場をスマホやパソコンのように「常に正しい」ものだと考えることが「投資成功の秘訣」なのだ。

     また、「市場は常に正しい」ということは、どのような「異常に思える」あるいは「予想外」のことが起こることも正しいということである。だから、人間の極めて浅はかな考えで予想した通りの、(市場の)未来はやってこないであろうということでもある。

     マネジメントの権威であるピータードラッカーや投資の神様・バフェットが「未来は予想できない」と繰り返し述べるのも、「市場は常に正しい」から、浅知恵で未来予想などできないという意味である。

     ただし、ドラッカーもバフェットも、まったく未来について語らないわけではない。ドラッカーは、「未来を窓からのぞく手がかり」について語っているし、バフェットが大成功したのは、「未来は予想できないが備えることはできる」という考え方のおかげだ。

    予想できる未来とは
     ドラッカーは、未来を「予測可能なもの」と「予測できないもの」の2つに分ける。

     「予測可能なもの」の代表例が、人口動態である。

     例えば、日本の15歳以下の人口が1500万人であるとする。事故や病気による死亡や外国人の流入を考えても、20年後の20歳から35歳までの人口が1500万人近辺であることは容易に想像がつく。

     もちろん、朝香豊氏の5月19日の記事「中国政府が『インチキ人口統計』の公表を1ヵ月も先延ばしにした事情」のように、統計そのものがあてにならなければどうしようもない。しかし、日本の統計は信頼性が高く、だからこそ「これからやってくる少子高齢化社会」が「予想可能な未来」として我々に恐怖を与えるのである。

     ドラッカーが強く主張するのは、未来を知りたいのであれば、このような「予想可能な未来」を足掛かりにすべきだということである。

     ただし、未来は我々が「思いつくことが可能なもの」だけではない。例えば、AとBのどちらかという選択をしたとしても、思いもつかなかったCという結果になることがある。

     例えば、1980年代の未来予測には「インターネット」という概念すら登場していなかったはずだ。しかし「インターネット」抜きでは、現在の経済・社会は語れない。

     また、人口動態にも落とし穴がある。例えば、スペイン風邪(中国起源説も根強い)の死者は1億人以上との推計があるが、当時20億人に満たなかったと考えられる世界人口に対する比率を現在の80億人に当てはめれば、4億人以上というとてつもない数字である。

     さらに、そのパンデミックと重なり合う部分がある第1次世界大戦でも多くの人命が失われている。これらの出来事が、人口動態に思いもかけぬ影響を与えたのは言うまでもない。

     結局、金融業界で「ブラックスワン」と呼ばれる「思いもしなかった大事件」が、「予測可能な未来」にさえ大きな影響を与えてしまう世界では、「未来は予測できない」と考えるべきなのである。

    バフェットも投資の誤り
     バフェットは120%の確信を持たなければ投資を行わない。「投資家のすべきことは、ほぼすべて投資を始める前に終わっている」という通り、バフェットの事前の調査・研究は徹底している。IBMに投資を始める前にはおおよそ50年間もウォッチしていた。

     しかし、2011年に投資を開始したものの、2018年にほぼすべてのIBM株を売却して「撤退」している。

     投資の神様が50年かけて選んでも、「失敗」はありえるのである。しかし、バフェットがすごいのは、投資の神様と呼ばれるほどの偉大な実績を持ちながらも「自分は間違える」ということを謙虚に認めることである。

     有名な「バフェットからの手紙」でも、ことさら失敗事例を強調する。徳川家康が、三方ヶ原戦の戦いで恐怖のあまり脱糞したともいわれる惨敗を喫した後に、自らの戒めのために、そのみじめな姿を「しかみ像」として描かせたことに通じるような気がする。

     失敗しないようにすることはもちろん大事だが、「自分は失敗することが(これからも)ある」と言うことを胸に刻むことも重要だ。

    安全余裕率とは何か
     バフェットが、師匠であるベンジャミン・グレアムから学んだ2つの重要事項の1つが「安全余裕率」である。ちなみに、もう1つは「ミスターマーケット」と擬人化して呼ばれる市場に翻弄されないことである。

     昨年10月28日公開の「パンデミックで委縮した社会を打破する鍵は『遊び』だ」の2ページ目、「2つの遊び」で安全余裕率は車のハンドルなどの「遊び」に近い概念であることを述べた。

     どのようなことにも「ブレ」が存在する。余裕を持たないと、ただの「ブレ」ですべてが崩壊するリスクを背負う。例えば信用取引で多額の取引を行うと、わずかな値動きで大損をして破産してしまうことを考えれば良い。

     損をしてもバフェットのように全体として大儲けをすることはできるが、破産してしまうとリカバリーは簡単ではない。

     また、この安全余裕率に関連して「現金準備比率」も重要視している。総資産の10%以上がバフェットの最低基準だが、通常はもっと多い(念のため、この現金にはすぐに換金できる債券なども含まれる)。

     現在、バフェット率いるバークシャーの現金比率が高いことは注目に値する。「何が起こるかわからないが、何かが起こった時」に、現金というのは「ほぼ万能な兵器」として大いに役立つからだ。

     ただし、現金の保有をするだけでは、20%程度というバークシャーの運用利回りは到底達成できないから、「有事の備え」に万全を期しながらも、良いアイディアを見つけて「チャレンジ」するという難しい作業が必要だ。

     目先の利益のために「防災」を軽視すれば、大惨事の際に命を落とすしかない。これが、バフェットが師匠のベンジャミン・グレアムから教わった「安全余裕率」の核心部分である。

    世の中は複雑系だが意思を持った人間が動かしている
     私の子供の頃の天気予報は「外れるのが当たり前」で、下駄を蹴上げて表から裏かで判断したほうが確かだと陰口をたたかれたものだ。

     ところが現在の天気予報の精度は驚くほどだ。例えば、お日様が照っていて雲一つないのに、午後2時ごろから降水確率が高まるという予報があると、実際に午後2時頃に突然雨雲が広がり雨が降るというような感じである。

     今のところ精度が高いのは、地域限定なおかつ近い将来の天気予報だけだ。広い範囲や長期予報の精度はそれほど上がっていない。南の島の蝶の羽ばたきが台風を起こすという「バタフライ効果」で有名な「複雑系」の「予測不能性」は、広い範囲や長い期間では高まるからだ。

     しかし、それでも天気予報の精度向上はこれからも期待できる。

     それでは、「人間が関わる市場」ではどうであろうか? 大きな違いは、「天気には自分の意思が無い」が「人間は意思を持った存在」であるということだ。

     つまり、「天気予報」を聞いた天気が自らの行動を変えることはあり得ないが、「市場や経済の予測」を聞いた人間は、その予測によって自らの行動を変えるということである。

     市場の暴騰や暴落がその端的な例であろう。市場が下落すると「早く売らないと危ないぞ」という予測を聞いた人々が、我先にと売るから暴落する。逆も真である。

     つまり、金融・経済市場は「予測を聞いた人間」が大きな影響を与えるが、人間の行動の予測はかなり難しい。だから、バブルや暴落がいつまで続くのかの予想が困難なのだ。

     結局、天気そのものが天気予報を見てその裏を書いてやろうなどとは考えない。しかし、人間はそのようなことが日常茶飯事だから、予想そのものが予想精度を低くしているとも言える。

  • 出遅れ日本株は相場の移行期、秋口から上昇へ
    りそなAMエコノミスト・黒瀬浩一氏の市場予測

    https://toyokeizai.net/articles/-/433739

  • Congratulations on the new thread!

    株は「金融緩和縮小の開始」で下落に転じるのか?
    「イマイチ」の日本株の先行きはどうなるのか

    村上 尚己 : エコノミスト

    FRBが金融緩和縮小に向けて本格的に動き出すのはいつなのか?
    日本株にも大きな影響がありそうだ

    6月4日にアメリカで発表された5月非農業部門雇用者数は前月差プラス55万9000人と市場予想をやや下回った。「ネガティブサプライズ」となった前月のプラス27万8000人からリバウンドしたものの、アメリカの雇用の伸びは緩やかだった。

    アメリカが好景気でも労働市場の回復が緩やかな理由
    アメリカではワクチン接種が広がった3月から経済活動制限が緩和され、現金給付の後押しもあり経済成長加速が始まった。2021年1~3月期のGDP(国内総生産)成長率は前期比年率プラス6.4%だったが、4~6月期はほぼ2桁の伸びに加速する高成長となっていると試算される。

    そして、アメリカの長期金利が上昇していた3月までは、経済の高成長とともに、労働市場も急ピッチに回復するとの期待が金融市場で強まっていた。コロナ克服とともに労働市場が顕著に回復すれば、FRB(米連邦準備制度理事会)が早期に金融緩和の見直しに着手する可能性が高まるためだ。

    実際には、前月雇用統計発表直後の5月13日のコラム「『米国株高はもう終了』と見るのはまだ早すぎる」でも指摘したが、新型コロナ克服によって経済が高成長となるなかで、労働市場の回復は緩やかにとどまるとの筆者の見立てどおりの展開となっている。

    冒頭で紹介した5月の雇用統計の数字を踏まえると、3月からの雇用者の伸びは平均でプラス50万人程度と緩やかに雇用が回復している。もちろん、労働市場が回復しているのは確かで、その意味ではポジティブに評価できるし、失業率は4月の6.1%から5月には5.8%まで改善している。

    ただ、月平均プラス50万人で今後雇用が増えると仮定すると、コロナ禍前までに雇用水準が戻るには2022年後半まで時間がかかることになる。多くのFRBメンバーは、それよりはもう少し早いペースでの雇用改善を期待しているのではないか?

    また、5月は失業率が低下するいっぽうで、労働市場から退出する人が増えたので労働参加率が再び低下した。緩やかな雇用増と含めて、今の労働市場に内在する制約によって、回復がスムーズに進んでいない兆候が散見される。つまり、経済活動再開とともに労働市場も回復に転じているが、緩やかにとどまっているとみられる。

    なお、筆者は、コロナ禍後の回復局面において広範囲にビジネスの淘汰が起きるなど、労働市場の需給のミスマッチ拡大が強まるので、労働需要が急速に伸びるのは難しいと見ている。このため、2022年半ばまでは拡張的な財政政策の後押しで、アメリカ経済の高成長が続くと予想しているが、労働市場の回復は緩やかにとどまると引き続き考えている。

    ところで、最近のFRBの要人発言を見てみると、テーパリング(金融緩和縮小)に関して5月の初旬までは「議論する段階ではない」といったコメントが目立っていた。ただ、タカ派のメンバーに加えて、5月末からFOMC(米連邦公開市場委員会)の中心メンバーであるリチャード・クラリダ副議長が、FOMCでのテーパリングの議論開始の必要性について言及した。

    これらの発言は、コロナリスク低下によって経済成長率が上向くなかで、今後の経済、インフレ動向次第だが、FRBがテーパリングの議論を年央のいずれかに開始することを意味する。4月のCPI(消費者物価指数)が大きく上振れたのは一部品目の価格上昇でほぼ説明できるが、一方でFRBが懸念していた「デフレリスク」が大きく後退したことを示す。デフレ回避のための強力な金融緩和をどの程度続けるべきかをテーマに、今後FOMCの議論が行われるとみられる。

    なぜテーパリング開始を急がないのか
    コロナ禍からの経済復調局面における、局所的とはいえインフレ率の大幅な上昇、財セクターにおける供給制約の強まり、原材料価格の上昇、などがそろって起きているのは、1990年代後半以降で初めての現象と言えるだろう。

    現在のインフレの動きが、今後の「持続的なインフレ加速」をもたらすとの見方が、FRBの中でも増え始めている可能性がある。FRBのオピニオンリーダーの1人と目される、ジェームズ・ブラード・セントルイス連銀総裁が6月1日に「労働市場が非常に逼迫している」と発言したことは注目に値する。

    ただ、現在のアメリカでのインフレ上昇は、コロナ後の財部門に特化した経済回復という「特殊な経済環境」故に起きていると筆者は考えている。このため、FRBの中で、インフレに対して警戒的な見方がこれから増える可能性はあるが、インフレ率の短期的な上振れを容認しながら、趨勢的な2%インフレの上昇経路への早期回帰を目指すFRBの基本方針は揺るがないだろう。

    以上をふまえると、コロナリスク低下と経済成長加速そして労働市場の回復継続を確認して、7~9月中にはテーパリング議論を開始するとみられる。そのうえで、量的緩和縮小を始める市場とのコミュニケーションを慎重に進めるだろう。FRBはテーパリング開始を急ぐ可能性は低く、時間をかけてテーパリングに着手するだろう。このため、テーパリング開始は、早くても2022年1~3月と筆者は現時点で予想している。

    ところで、4月からアメリカの長期金利上昇が止まり、そしてSell in May(5月に売り逃げろ)が過ぎても、アメリカ株市場が最高値圏を維持している。これは、FRBによる金融緩和が徹底されるという、筆者と同様の市場の期待が強いことが一因だろう。そして、FRBの金融政策への期待は、為替市場にも現れているとみられる。

    ドル円市場だけ見ていると、年初の1ドル=103円台から6月には109円前後まで「ドル高円安」となっており、アメリカの一人勝ちによってドル高が進んでいるように見える。ただ、対ユーロ、人民元ではドル安基調が続いており、6月にFRBが算出するドル指数は年初来安値を更新している。

    2021年のドル安を想定していた筆者にとって、ドル円が反転してここまで上昇しているのは正直想定外だった。ただ、ドル円以外で見ると、「アメリカの一人勝ち」の中にあってドル安が続いている現状は、ほぼ想定どおりの展開である。リスク資産の上昇が続き、FRBの金融緩和徹底への信認が、アメリカのインフレ期待上昇とドル安をもたらしていると筆者は解釈している。

    出遅れの日本株にも上振れ余地が出る政策とは
    これは、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和が2022年早々に引き締めに転じるとの思惑、中国では不動産価格抑制が経済政策として重視されていることも大きい。ヨーロッパ・中国とアメリカとの金融経済政策の姿勢の差が、対ドルでのユーロ・人民元高をもたらしているだろう。

    一方、ドル円だけはドル高円安になっているが、まずは日本がコロナ禍からの回復に遅れており、2021年の経済成長率が下振れていることが影響している。さらに、より重要な円安要因として日本銀行の金融緩和政策が、FRBよりも強力に行われていることが円安を促している、と筆者は見ている。

    仮に、菅義偉政権の財政政策が、アメリカ同様に拡張方向に一段と踏み出せば、日銀の金融緩和が強まり、さらなるドル高円安も想定される。そうなれば、遅れている日本経済は急ピッチに回復するし、米欧に対して依然アンダーパフォーマンスしている日本株にも上振れ余地がでてくる。コロナ収束とともに秋口の総選挙を挟んで、菅政権の財政政策姿勢が変わるかどうかに筆者は引き続き注目している。

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