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予告で当て、結果で証明、この繰り返しをこのトピでの掲示板

時代見失ったセブンの失態(社説)
2019/12/15 日本経済新聞 朝刊 2ページ 781文字

 コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパンが、加盟店で働くアルバイトやパート従業員の残業手当の一部が未払いだったことを発表した。
 同社の記録が残っているだけで約3万人分、約4億9千万円の未払いが発生している。2001年に労働基準監督署から指摘されていたのに、当時はこの事実を公表していなかった。
 しかもそれ以前の残業代の未払い部分は支払わなかったほか、なぜこうした事態になったのかも不明という。意図的ではないとしても、あってはならないことだ。
 働く人々を軽視してきた会社と言われても仕方がない。「そこまでやるのか」と社内外に思われるぐらい徹底して、過去に遡って未払い分を支払うべきだ。
 今年はセブンイレブンの失態が相次いだ。24時間営業を巡る本部と大阪府東大阪市のオーナーとの対立、キャッシュレスサービスのセブンペイの不正利用問題、そして11月の本部社員によるおでん具材の無断発注問題だ。
 一連の問題はセブンイレブンの経営の土台に関わる。特に24時間営業と、ニーズに応じた品ぞろえを提供する商品発注力は成長の柱だった。それが揺らいでいるのは同社の成功体験が強く、従来型の経営を見直さなかったからだ。
 人手不足など時代の流れに応じて24時間営業を修正する議論が社内に生まれていれば、オーナーとのトラブルは起きなかった。
 商品発注はコンビニの根幹であり、本部社員が無断で発注することは店舗に経営を任せるフランチャイズビジネスの否定につながる。社員教育をおろそかにしていなければ、このような基本的な失敗も防げたはずだ。
 営業体制の見直しでは、ファミリーマートやローソンの対応が早く、セブンは後手に回る。セブンが成長したのは創業者の鈴木敏文氏の口癖でもあった「変化対応」が速かったからだ。業界トップのセブンが信頼回復を急がないと個人消費にも影響しかねない。