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目標2%達成には物価観の変容必要、現行政策の継続が重要=日銀主な意見
ロイター編集

[東京 26日 ロイター] - 日銀が17―18日に開いた金融政策決定会合で、2%の物価目標の達成には企業や家計の物価観の変容が必要であり、そのために現行の金融政策を粘り強く継続していくことが重要だとの指摘が政策委員から出ていたことが明らかになった。ある委員は、実績値で2%インフレの定着を確認するまで緩和を続けるのが「最も確実だ」と述べた。また、現在の金融緩和を継続することを対外的にしっかり説明するよう求める意見が複数あった。

1月26日、日銀が17―18日に開いた金融政策決定会合で、2%の物価安定目標の達成には企業や家計の物価観の変容が必要であり、そのために現行の金融政策を粘り強く継続していくことが重要だとの指摘が政策委員から出ていたことが明らかになった。

<丁寧な情報発信求める声>

日銀が26日、決定会合の「主な意見」を発表した。決定会合では「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」が議論され、2022年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の見通しが従来の前年度比プラス0.9%からプラス1.1%に引き上げられた。物価見通しに対するリスクは「おおむね上下にバランスしている」とし、2014年10月から使用してきた「下振れリスクの方が大きい」との表現から修正した。

会合では委員から「4月以降、携帯電話通信料の引き下げ要因が剥落し、それに諸要素が重なれば、消費者物価の前年比は瞬間風速的に2%に近い水準まで上昇する可能性がある」との指摘が出た。

ある委員は「安定的な2%の実現にはなお時間が掛かる状況だ」と指摘。「現行の強力な金融緩和の継続が適当との基本的な考え方に変わりはなく、軸をぶらさず、その方針をしっかりと情報発信していくことが重要だ」と述べた。物価目標を安定的かつ持続的に達成するまで金融緩和を続けるという日銀の政策意図を「誤解がないように対外的によく伝えるべきだ」との意見もみられた。

このほか、金融緩和の継続方針を「日銀が考える望ましい物価上昇のあり方と合わせてしっかりと対外的に説明する必要がある」との指摘もあった。

黒田東彦総裁は18日、決定会合後の記者会見で、コアCPIが23年度にかけて前年比1%程度の上昇率にとどまると予想される中、「現在の金融緩和を修正する必要は全くない」と強調した。

ある委員は「物価目標達成に向けて中長期インフレ予想をアンカーする(定着させる)には、実績値で2%のインフレ定着が確認されるまで緩和を行うのが最も確実だろう」と述べた。

<2%実現へ、鍵は「賃金と中長期インフレ予想」>

会合では、2%目標の実現にはどのような要素が必要か議論が展開された。ある委員は、物価上昇のモメンタムが維持されて2%に近づき、安定的に推移するかは「賃金上昇率と中長期インフレ予想の動向、つまるところ需要の強さによる」と指摘した。

別の委員は「企業による有形・無形資産投資の持続的な増加を通じた資金循環の拡大を伴う持続的な経済成長が必要だ」と述べた。

企業の賃上げについて、ある委員は「需給ギャップが改善し、価格転嫁が可能な状況となれば、政府が賃上げを推進するもとで賃金上昇率が高まっていく」と期待感を示した。

別の委員からは「来年度以降の物価上昇が硬直的とされるサービス価格にも広がっていくのか、さらには賃金や所得の上昇を伴った持続的なものとなっていくのか、物価の基調をしっかりと見極めていくことが重要だ」との指摘も出ていた。

<中国での感染拡大に警戒感>

決定会合は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染が国内外で急拡大する中で開催された。委員からは「まん延防止等重点措置の適用地域が増える見込みの中、自主的な行動制限の動きがある程度広がることは避け難く、実質GDP(国内総生産)が感染症拡大前の水準に復する時期はいくぶん後ずれする可能性がある」といった指摘があった。

また、中国の感染拡大と公衆衛生上の措置について「海外需要の下押しと供給制約の悪化を通じて、日本経済に悪影響を及ぼすリスクに注意が必要だ」との声も聞かれた。

(和田崇彦 編集:石田仁志、田中志保)