ここから本文です
現在位置:
  • 8(最新)

    blu***** 11月30日 17:56

    連載ばなしを楽しみにこれまでこっそり読んでくださっている読者の皆様へ

    連載ばなしはこれまで6回を掲載してまいりましたが、最終話である7回目を何度投稿しようとしても、yahoo掲示板のご意向により、投稿を拒否されつづけております。

    私は毎日少しずつ表現を変えながら、問題ない内容と確信して投稿を続けておりますが、いまだ最終回を掲載し完結することがかないません。

    読者の皆様には大変なご迷惑とご心配をおかけいたしておりますが、何卒ご理解の上今しばらくお待ちいただきますようよろしくお願い申し上げます。

  • 連載ばなし 「神様の愛」

    ~6~

    秋風が吹き始めたある日、男はいつものように、ちょっとだけ外出するような素振りで女の部屋を出て行きました。女は直ぐに帰ってくるものと信じ待ちました。

    数時間が丸一日となり、三日となり、一週間となり、一か月となり、いつしか半年が過ぎていました。その頃にはさすがの女も、男は自分の元を去って行ったのだと考えるようになりました。それでもやはり、優しかった男の言葉や微笑んだ顔を思い出せば、自分が捨てられたのだとは信じられませんでした。いいえ、信じたくはなかったのです。

    悲しさと寂しさは口惜しさと苦しさに変わり、やがて懐かしさと感謝に変わり、そしてまだ男を愛しているのだという確信と諦めに変わって行きました。

    しかし、女にはどうしても分らないことがありました。

    男は女を愛してはいませんでした。

    もともと神に対する畏敬の念も崇拝の心も持ち合わせていない女に怒りを覚えると、恋心は一瞬にして憎しみへと変わり、それがこれまでのような天界の掟破りの行動へと向かわせたのです。

    確かに、女と暮らすようになってからは、甲斐甲斐しく自分の世話をし、自分のことを心から愛している女をいじらしいと思ったこともありました。

    しかし、男にはどうしても受け入れられないことがあったのです。

    どんなに忘れようとしても忘れられない以上、いつかきっとここへ帰ってくると信じて、いつまでも待とう、女はいつしかそう考えるようになりました。ただ、どうしてもわからないことを引きずったまま、いつしか歳月が過ぎて行きました。

    続く・・・

  • 連載ばなし 「神様の愛」

    ~5~

    「あのう、すみません」

    男は何度か繰り返し声をかけ、女は何度目かにようやく反応しました。

    「はい」

    「財布のお礼にご迷惑でなければ、食事でもいかがですか」

    「はい」

    女はそう応えるのがやっとでした。それからというもの、どこをどう歩いたのか、どんな店にどうやって辿り着き、どんな席に着き、どんな話をし、何をどのように食べたのか、ほとんど覚えてはいませんでした。

    男は席に着き、テーブルをはさんで女と話をしながら、初めて女の目の大きさ、鼻の高さ、唇の形、輪郭、肌の質感、髪の色や艶、首の太さ、肩のライン、胸の形まで、その一つ一つを確かめていました。

    女は美しくはありませんでした。中肉中背でどこにでもいるような何の魅力もない普通の女でした。ただ一つだけ、まるで天使のような甘く清らかな声の持ち主だったのです。

    男は教養高く知的で話題が豊富、優しく紳士的、ユーモアがあって行動的、おまけに女が一目惚れするくらいのルックスの持ち主でした。

    何度か会うたびに、女はますます男に夢中になり、男はそれが十分に分っていました。

    それから間もなく、どちらから言い出すわけでもなく、男は女の部屋で一緒に暮らすようになりました。女にとって夢のような時間が過ぎて行きました。

    しかし、男、いや神様が天界に戻らなければならない期限が刻々と近づいていました。

    続く・・・

  • 連載ばなし 「神様の愛」

    ~4~

    そんなことなど露とも知らぬ女はと言うと、偶に町で見かけるだけの男、何の接点もなく会話はもちろん声さえ聞いたことのない男、名前も住んでいる場所も職業もわからない男、恋人や妻があるかどうかも全く知らない男。そんな男に一方的に恋い焦がれ、何年も想い続けていたのです。友達も身寄りもなく、相変わらず話し相手は猫だけの寂しい女でした。

    そうしているうちに、その猫も遠く旅立って行きました。唯一の話し相手を失ってしまうと、いよいよ寂しくて心細くて、孤独に気が狂いそうな夜を過ごすこともありました。そんなある日、それは突然にやってきたのです。

    女が仕事帰り、いつもの道を歩いていると、道の真ん中に財布が落ちていました。もちろん、女はすぐにしかるべき処へ届けました。名前も名乗らず立ち去ろうとした正にその時です。財布を落としたという男が息を切らし飛び込んで来たのです。

    女はその男の顔を見た瞬間、気が遠のいて行く初めての感覚に襲われました。何年もの間恋い焦がれ続けていた男の顔がすぐ目の前にあるではありませんか。手を伸ばせばその手で触れることもできるくらいすぐ近くに。

    周りの景色は消え、その男の顔だけがスポットライトを浴びたように浮かび上がり、その動きはスローモーションのように流れ、しかし、女の鼓動は早鐘のように高鳴り、頭と体は分離し、息をすることも忘れていました。

    続く・・・

  • 連載ばなし 「神様の愛」

    ~3~

    この様子を天界からずっと眺めていた神様は、ひどく落胆してしまいました。男への想いも叶わぬまま、貧しい生活と独りぼっちの寂しさに耐えかねて、女はきっと神の力にすがってくると考えていたからです。

    その時こそ、女の前に姿を現すことができる唯一のチャンスだと考えていたのでした。神の姿を目の当たりにした女は、恐れおののき跪くに違いない。そして、神の言葉に、人の道に外れた願望を抱いていた己が身の不浄さを恥じ、顔を赤らめ身をよじって許しを請うに違いないと。

    その時神様が女を許し、強く抱きすくめれば、女は畏敬の念をもって神を崇め奉り崇拝するようになるに違いない。ああ、女の心は永遠に自分のものになると。

    ところが、どうでしょう。女は神にすがるどころか、どこの誰ともわからぬ男への想いをますます募らせ健気に生きていたのです。

    神様の女への恋心はいつしか怒りへと変わって行きました。そして、とうとう女の想い人である男を二度と逢うことも叶わぬ遠く離れた場所に追い払ってしまいました。もう神様の暴走は止まりませんでした。この男の姿を借り、下界に降りて行ったのです。

    続く・・・

  • 連載ばなし 「神様の愛」

    ~2~

    神様が天界と下界の境界を越えて恋をすることなど、許されるはずがありません。天界にも厳しい掟が存在します。たとえ神であれ全てが許されるわけではないのです。

    神様の下界の人間に対して許される行為は、教えや導きを与えることと見返りを求めない愛を与えることだけなのです。そう、神様の人間に対する愛は「無償の愛」しかないのです。

    ところが、天界の掟も自分の立場も忘れてしまうほど、下界の女に心を奪われてしまった神様は、自分の存在に気付いてほしい、この気持ちに気付いてほしい、女の気持ちを自分に向かわせたいと、恋の炎をますます燃え上がらせて行くのでした。

    いつしかその想いは抑えがたいものとなり、とうとう女と夫を引き離してしまったのです。夫と別れた女は生きていくために働かなくてはなりませんでした。それまで働いたことのなかった女にとって、それは辛く厳しいものでした。

    ところが、秘かに他の男を想い続けていることの後ろめたさや夫の束縛から解放されたせいなのでしょうか、毎日へとへとになるまで働いて疲れていても貧しくても、女はなぜか以前より美しく輝いて見えました。

    続く・・・

  • 連載ばなし 「神様の愛」

    ~1~

    昔々あるところに独り身の神様がおりました。いつものように覗き穴から下界を覗いていると、一人の女が泣いているのが見えました。女の傍には一匹の猫が寄り添っています。

    神様はどうして泣いているのか気になって暫く様子を見ることにしました。

    女はどうやら夫のある身でありながら別の男に恋をしているらしいのです。神様はこの女の恋の行方が気になって、来る日も来る日も覗き穴から様子を窺っていました。

    女は泣きながら傍らの猫に自分の苦しい気持ちを聞いてもらう日々を送っていました。女が想いを寄せている男は、この女の存在にすら気づいておらず、女は自分の気持ちを伝える術もなく、ただただ毎日何もせず泣いているだけでした。当然のように夫との関係は最悪のものでした。

    神様はこの様子を見ているうちに、どうにかしてやりたいという気持ちになり、次第に女にはわからないように色々な方法で手を差し伸べるようになって行きました。

    そうするうちに、女は自然と窓の外に目を向けるようになり、長い間気づきもしなかった空の太陽や月や星、風や雲、木や花や草、そこに集まる鳥や虫や動物たち、人々の泣き笑い、この世のあらゆるものの存在の尊さに改めて驚き心動かされ、慰められ、愛でる心を持つようになって行きました。

    そして、泣いてばかりいた自分を改め前向きに生きようと心に決め、一歩ずつ踏み出して行きました。

    ところが、毎日毎日この様子を見ていた神様は、いつしか神という立場を忘れ、あろうことかこの女に恋をしてしまったのです。

    続く・・・

読み込みエラーが発生しました

再読み込み