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中国で今年最大級のデフォルトか、債務危機が深刻化

By Frances Yoon and Stella Yifan Xie
2019 年 7 月 20 日 04:34 JST 更新

 中国の複合企業が債務危機の深みにはまっている。保険や不動産、航空機リース業などを手掛ける中国民生投資集団(中民投、CMIG)は19日、8月2日に償還を迎える5億ドル(約540億円)の3年債について、元本や利子の支払いができないことを明らかにした。中国企業のドル建て債デフォルト(債務不履行)としては今年に入り最大規模となる。

 中民投は表面利率3.8%の3年債を海外子会社のブーム・アップ・インベストメントを通じて発行した。香港のトレーダーによると、19日の取引で価格が3割近く下落し、額面1ドル当たり50セントとなった。これはデフォルトに陥る可能性が高いことを示している。

 2014年創業の同社は、中国の経済発展および広域経済圏構想「一帯一路」の関連投資に軸足を置く「世界有数の投資グループ」と自称している。バミューダ諸島に登記された不動産・損害保険のシリウス・インターナショナル・インシュランス・グループの大株主でもある。

 中民投の株主には多数の中国民間企業が名を連ねる。

 経営難に陥った理由については不明点が多いものの、元従業員によると同社は長期資産を支える資金を短期の借り入れで賄い、資金繰りが苦しくなっていた。

 中国の格付け会社、上海新世紀資信評估投資服務(上海ブリリアンス)は昨年10月のリポートで、中民投の2018年1-6月期売上高が144億元に半減し、純利益は77%減の12億6000万元に落ち込んだと指摘。昨年6月末時点の債務残高は134%増の2321億元に達する一方、資産総額は3096億元だと述べていた。

 S&Pグローバルの6月2日付リポートによると、同社が本土市場(オンショア)で発行した社債のうち総額23億5000万元分が今年に入りデフォルトとなった。4月には、債権者が元建て融資の即時返済を要求する可能性を表明し、オフショア市場のドル建て債でクロスデフォルト条項が発動された。

 格付け会社フィッチ・レーティングスは同月、中民投の「債務および流動性の危機が深まっている」として、保険子会社シリウス・インターナショナルに悪影響を及ぼしていると指摘した。

 中民投は2020年償還のドル建て債も3億ドル発行している。この社債を保証していたのは国有の中国建設銀行の香港支店だ。同行は6月、元本と未払い利息を支払い、債権者の損失を補てんした。

 中国企業の社債デフォルトは増加傾向にある。S&Pによると、本土市場では今年これまでに二十数社が合計約330億元の社債でデフォルトに陥った。中国経済が冷え込む中、下半期にはデフォルト率が一段と高まるとS&Pはみている。