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2024年9月13日
トランプ関税発動なら、スタグフレーションの懸念増大-テンプル氏
生活必需品やインフラなどディフェンシブ銘柄を推奨
米共和党大統領候補のトランプ前大統領が掲げる外国製品への包括的な関税発動は、インフレ高進と成長低迷のリスクを再燃させ、株価の脅威となる可能性がある。ラザードのチーフ株式ストラテジスト、ロナルド・テンプル氏はこうみている。
「トランプ氏が唱えている関税政策について真剣に受け止めないのは危険だ」と同氏はインタビューで指摘。「インフレ、成長、ドル、金利、米金融政策、企業利益への影響はいずれもかなり大きい。スタグフレーション(景気停滞下の物価上昇)のような環境に陥れば、株式市場が上昇するとは考えにくい」と続けた。
かねて保護主義的な通商政策を提唱するトランプ氏は、一律10%の輸入関税と中国製品への関税強化を公約に掲げている。
トランプ氏の新関税政策はまるで増税-エコノミストが警告
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト陣は、トランプ氏が返り咲きを果たした場合、関税がインフレを再燃させ、金利を130ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)押し上げる可能性が高いと分析している。
トランプ氏の関税案、FRBに5回追加利上げ促す可能性-ゴールドマン
テンプル氏は現在の経済状況を踏まえると、トランプ政権時代の経験を元に取引戦略を策定することは難しくなっていると話す。インフレは鈍化しているとはいえ、米金融当局の目標をなお上回っており、マクロ経済データの弱含みはリセッション(景気後退)懸念を高めている。
「トランプ政権1期目で、輸入品に適用された関税率は平均で1.5%から3%に上昇した。トランプ氏は目下、これを20%近くまで引き上げると話している。これは大きな問題だ」と述べる。
民主党大統領候補のハリス副大統領が勝利した場合については、経済への悪影響はおそらくないだろうとテンプル氏は予想。共和党が上院の主導権を握り、税制を中心にハリス氏が掲げる政策提案の多くを薄めるとみているためだ。
半面、トランプ氏の勝利なら、投資家は高関税下での投資戦略について練り直しが必要になるという。 -
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ハリス氏とトランプ氏の直接対決、米金融市場への影響は-Quicktake
Esha Dey
2024年9月10日 14:15 JST
From
テレビ討論会、日本時間11日午前に実施-選挙戦の重要局面
米金融市場に新たなボラティリティーをもたらす可能性がある
米大統領選の投票日まであと2カ月を切り、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領のテレビ討論会が米国時間の10日夜に行われる。今回の選挙戦で極めて重要な局面を迎える。
労働市場や金利、地政学を巡る不確実性で投資家の神経をとがらせている時期にあって、両者の直接対決が米金融市場にとって新たなボラティリティーをもたらす可能性がある。
税金や貿易、関税、移民に関する政策的洞察の観点から、投資家が今回の討論会で注目すべきこと、そしてその先にあるものを考えたい。 -
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投資家にとっての主な問題
税金
トランプ氏は法人税率を現行の21%から15%に引き下げると公約。共和党主導で2017年に成立した税制改革法の恒久化を表明し、同法の主要部分の更新を求めた。一方、ハリス氏は28%への法人税率引き上げを目指している。同氏の提案は40万ドル(約5700万円)未満の所得者には税率据え置き、高所得者は増税だ。
貿易と関税
トランプ氏は輸入品全般に関し約10%の関税率と中国製品に対する追加関税に言及。バイデン大統領は今年、半導体やバッテリー、太陽電池、重要鉱物、鉄鋼、アルミニウム、電気自動車(EV)などさまざまな中国からの輸入品に対し関税引き上げを発表した。
ハリス氏陣営のメッセージからは、同氏が中国に対し態度を軟化させることはないが、米中間の亀裂がこれ以上拡大することに利点はないとみていることがうかがえる。
ゴールドマン・サックスのエコノミストによると、トランプが勝利した場合、中国からの輸入品と自動車に対する関税はすぐに導入され、実行関税率は3-4ポイント、個人消費支出(PCE)のコア価格指数はピーク時に30-40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇する可能性が高い。
移民問題
トランプ氏は、不法移民を強制送還するとシンプルな主張をしている。ハリス氏はメキシコ国境での追加的な壁建設を含め、移民問題について取引に応じる構えを示してきた。バイデン大統領はメキシコとの国境を越えてくる移民の亡命申請を制限する内容の大統領令を発表している。
JPモルガン・チェースのストラテジストによれば、移民制限に効果的な取り組みが大幅な労働力不足につながれば、インフレの潜在的な要因となり、成長が阻害される恐れがある。
両党に関係する取引戦略を追跡するゴールドマンの指数では、バイデン氏が大統領選から撤退しハリス氏支持を表明したころから、民主党の政策バスケット指数が共和党を上回り始めた。 -
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これまでの選挙年
選挙年は全般的に米国株式市場にとって良い年だった。S&P500種株価指数は1960年以降、ほぼ全ての選挙年に上昇。例外は2000年と08年で、それぞれインターネットバブル崩壊と世界的な金融危機に見舞われた。最近の選挙サイクルでは記録がさらに良好だ。08年以降の3つの選挙年(12年、16年、20年)でS&P500種は少なくとも10%上昇した。
選挙がある年の最後の7カ月間を見ても同様の結果が得られる。ストック・トレーダーズ・アルマナックのデータと分析によると、1950年以降では18回のうち16回で上昇。下落した年は、選挙結果判明が36日間遅れた2000年に加え、08年だった。
あまりにも多い不確定要因
ハリス氏は最近の世論調査で支持率が上昇しているが、マーケットの専門家は選挙日直前まで接戦が続き、確率は低いものの選挙が終わって数日間は結果が判明しない可能性があると警告する。
2000年大統領選でフロリダ州の再集計を巡る騒動があった時期にS&P500種は4%余り下落し、米10年債利回りは52bp低下。投資家が安全資産に逃避する中で金価格は急上昇した。
選挙が長引く対立を招き、もっとひどい場合は政治的暴力に発展した場合、投資家も対応を迫られる。とりわけ最終結果が不透明なら、マーケットは厳しい展開になると予想される。
「恐怖指数」が語るもの
ウォール街の「恐怖指数」とも呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)先物カーブは、11月5日の選挙日をきっかけに株式の変動性が高まるとの見方を示唆している。
選挙前後の株式に対するセンチメントを把握したい投資家はVIX先物に加え、投票日と重なる期間に連動するS&P500種オプションを直接確認することも現時点で可能だ。 -
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ハリス氏勝利の場合
ハリス氏が勝利すれば再生可能エネルギー企業やEVメーカー、さらには公益事業などさまざまな業界にとって追い風になりそうだ。ただもっと大局的な「ハリストレード」は中国との貿易戦争回避を見越した取引だ。トランプ氏が貿易や関税についてより過激な発言をしているのと対を成す。
米大統領選、投資家が迫られる戦略見直し-ハリス氏に勢いで景色一変
民主党のクリーンエネルギーに対する積極的な姿勢はテスラやリビアン・オートモーティブ、ルーシッド・グループなどのEVメーカー、チャージポイント・ホールディングスやビーム・グローバルといったEV充電ネットワーク事業者に加え、サプライヤーやバッテリーメーカーを含む業界全体にとって朗報になるだろう。
再生可能エネルギーに対する民主党の支持を踏まえると、ファースト・ソーラーやサンランなどソーラー関連株もハリス政権下では堅調に推移するだろう。
住宅建設株も同様に上昇する可能性がある。ハリス氏は初めて住宅を購入する人への住宅ローンの頭金支援として最大2万5000ドルの支援を提案し、スターターホーム、つまり最初の持ち家に適した住宅を手がける建設会社への税制優遇措置も提唱している。DRホートンやレナー、KBホームなどに注目しよう。
また大麻関連銘柄も民主党政権下では概して好調だ。ティルレイ・ブランズやキャノピー・グロースなどに着目したい。
一方、ハリス政権が規制強化を継続する見通しから、金融セクターはさえないかもしれない。バンク・オブ・アメリカ(BofA)やJPモルガン・チェース、ゴールドマンなど銀行に対する自己資本規制を強化し、クレジットカード手数料収入に対する厳しい姿勢は続く見通しだ。
ハリス氏は処方薬の自己負担額を年間最大2000ドルとすることを提案しており、医薬品メーカーに対しても規制面で風当たりが強いかもしれない。 -
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トランプ氏勝利の場合
貿易摩擦が激化した場合、中国への売上高エクスポージャーが高い企業は混乱する恐れがある。エヌビディアやブロードコム、クアルコムなどの半導体メーカー、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズといった素材メーカー、テスラを含む自動車メーカー、オーチス・ワールドワイドなどの工業製品メーカーなどがその代表格だ。
トランプ氏は国内石油生産規制の撤回を表明しており、石油や天然ガス、伝統的なエネルギー企業は恩恵を受けそうだ。注目銘柄はベーカー・ヒューズやエクソンモービル、コノコフィリップス、オクシデンタル・ペトロリアム、ウィリアムズなどだ。
バイデン氏主導で成立したインフレ抑制法(IRA)の恩恵を受けてきたクリーンエネルギーやEV企業はトランプ政権下では厳しい状況に直面する見通しだ。
トランプ氏はバイデン政権下で導入されたEV政策を全面的に覆すとしている。トランプ氏がEV購入に伴う税額控除を撤回した場合、テスラやリビアン、ルーシッドのほかバッテリーや部品メーカーもリスクにさらされる。
共和党が勝利した場合、国防費が同党の優先課題になるとの予想から、国防関連銘柄は好調に推移すると考えられる。注目銘柄は、ロッキード・マーチンやノースロップ・グラマン、RTXなど。
厳しい移民政策が収容・矯正施設運営事業に利益をもたらす可能性があり、ジオ・グループなど刑務所関連株も上昇する可能性がある。スミス&ウェッソン・ブランズを含む銃器メーカーも共和党勝利で買われる傾向がある。 -
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株式市場に優しい金融政策を行う1990年代
この時代は、市場との対話を重視するFRBグリーンスパン議長の緩やかな金融政策によって、株価が大きく上昇した時代でもあります。
注目は90年代後半の株の動きです。90年代後半は世界の景気は、アジア通貨危機など荒れた状況にありましたが、アメリカだけは順調に景気の拡大を続けていました。しかし、不況のシグナルの逆イールド現象が再び発生したことを知ったグリーンスパン議長は、アメリカの景気が好調にも関わらず、3回の利下げを実行します。
この結果、アメリカは景気後退までの期間を数年間延長し、その間ドットコムバブルと呼ばれるIT企業の株の急騰を引き起こしたと言われています。
なお、2019年のパウエル議長が3回利下げして、打ち止めにしたのはグリーンスパン議長の時代のFRBの政策の成功体験を踏まえているとの声があります。その結果、1990年後半同様、2019年は歴代最高値を更新しています。
市場との対話を重視するFRBの対応で、株価が拡大した時代。
不景気になる前に、早急に利下げに動いて株高を引き起こすことに成功したアラン・グリーンスパンFRB議長の事例は、2019年のパウエル議長も参考にしていると言われる。 -
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[8日 ロイター] - 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)とシエナ大学が8日公表した全米の世論調査によると、大統領選の共和党候補トランプ前大統領と民主党候補ハリス副大統領の支持率がほぼ拮抗(きっこう)している。
トランプ氏の支持率は48%、ハリス氏は47%。トランプ氏のリードはわずか1%ポイントと、調査の誤差3ポイントの範囲内となっている。
トランプ陣営は、7月に民主党のバイデン大統領が選挙戦から撤退した後、比較的不安定な時期に直面したが、最新の調査はトランプ氏が支持基盤の中核を失っていないことを示している。
調査では、有権者の28%がハリス氏についてさらなる情報が必要と答えたのに対し、トランプ氏に関する同様の回答はわずか9%だった。
10日の候補者討論会が勝敗を左右する重要な機会となる可能性がある。
7月下旬に公表されたNYTとシエナ大学の前回の同様の調査でも、トランプ氏が1%ポイントリードしていた。
激戦7州の調査でも、接戦となることが一貫して示されている。 -
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米労働省が6日発表した8月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増で予想を下回った。
7月の非農業部門雇用者数は11万4000人増から8万9000人増に下方改定され、6・7月分の雇用者数は計8万6000人減少した。
MDBキャピタルのチーフ市場ストラテジスト、ルー・バセニーズ氏は、
雇用統計について、FRBが今月利下げしなければならないことを意味するが、
同時に経済がソフトランディングを達成するには 遅すぎる可能性も示唆していると指摘した。
いわゆる「マグニフィセント・セブン」を含む主力の大型成長株の下落が指数を押し下げた。 -
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更新日時 2024年9月5日
8月の米雇用統計(6日発表)が弱い数字となった場合、株式市場は調整に向かう可能性があるとゴールドマン・サックス・グループのグローバルマーケッツ・マネジングディレクター、戦術スペシャリストのスコット・ルーブナー氏が指摘した。
ルーブナー氏は4日のリポートで、9月後半の株価について、ネガティブなテクニカル設定に顧客は既に備えていると説明し、16日にリスクオフの動きが始まると予想。「6日の雇用統計が弱ければ、それをきっかけに市場の調整に弾みがつくかもしれない」と見解を示した。
米雇用統計、9月より先の利下げ判断を左右か「81.8万人改定」影響も
9月終盤の2週間は歴史的に見て、S&P500種株価指数のパフォーマンスが年間で最も悪い。今回はトレンドフォロー型のシステマティックファンドに株式エクスポージャーを増やす余裕はほとんどなく、企業も決算発表を終えるまでの自社株買いブラックアウト期間に入ろうとしており、株式市場の需要は一層減ることになる。
ゴールドマンのバイバックチームは、ブラックアウト期間が13日に広く始まるまでの間、このグループからのパッシブ需要を約66億ドル(約9470億円)と見積もっている。
「米企業は株式市場の最大の買い手であり、クローズドウインドーの期間に需要が35%減少すると予想される。今週が企業にとってオープンウインドーのピークになる」という。
ポジショニングにも警告サインが既に点滅している。広範な商品に分散投資し運用を行う商品投資顧問業者コモディティー・トレーディング・アドバイザー(CTA)のようなシステマティックファンドは、
今後1カ月の非対称の傾斜が下向きになっている。
CTAの米国株の売りは横ばいトレンドで170億ドル余り、
上昇トレンドで37億ドルまで可能だが、
下落トレンドでは650億ドルを上回る。
さらにヘッジファンドを中心とするグローバルアクティブ投資家は、
過去6回の選挙サイクルと比べ米国株のリスクが高い状態で9月を迎えており、
大統領選が近づく過程で売りに動く余地が一段と大きい状況がうかがえる。
ルーブナー氏によると、資金が潤沢な年金基金は、
大統領選を前に株式リスクを減らしている。 -
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7月の雇用統計
統計調査の週にはハリケーン「ベリル」の影響でテキサス州やルイジアナ州で停電があり、これが予想を下回る雇用増につながった可能性がある。
家計調査によると、7月は悪天候のため43万6000人が出勤できなかった。
7月としては過去最多となる。週平均労働時間は34.2時間と、6月の34.3時間から減少しており、ハリケーン「ベリル」の影響とみられる。 -
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天候が悪かったため、150万人以上の労働者が影響を受けました。ただし、これらの人々が失業者としてカウントされたわけではありません。仕事に行けなかったとしても、名簿上には残っているため、雇用者数としてはカウントされています。
しかし、確かにその影響で労働時間は減少しました。この減少は次の報告で回復する可能性が高いのです。集計された労働時間というのは、何人が働いていて、どれくらいの時間働いているかの指標です。7月はこれが減少しましたが、8月にはおそらく新たな最高値に戻るでしょう。
雇用自体が減少したわけではありません。雇用者数は11万4,000人増加しています。過去3カ月の平均は17万人でした。データは修正されることがあるので、3カ月平均を見る方がいいでしょう。この平均値は、パンデミック前の2018年から2019年に見られた水準に戻っています。
私たちは、労働市場が弱まっているのではなく、正常化していると主張しています。過去数年間は異常な状態でしたが、今は正常に戻りつつあります。 -
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尾河眞樹ソニーフィナンシャルグループ執行役員
7月の米雇用統計は確かに弱かったが、州別のデータから見ると、ハリケーンと自動車工場閉鎖の影響が大きく、一時的な悪化の可能性はある。
また、米コンファレンスボードが公表している「家計による雇用環境判断DI(「仕事が潤沢」-「職探しが困難」)」を見ると、
直近7月のデータはプラスの18.1と、
緩やかに減速はしているものの「仕事が潤沢」に大きく傾いていることが分かる。
もちろん、労働市場については様々な指標を複合的に確認する必要があるものの、失業率上昇の要因は、単に労働市場の需要が減少しているだけでなく、移民などの要因で労働力の供給が増えていることが影響している可能性もある。
市場では年末までに約1.0%もの利下げが織り込まれているが、ソニーフィナンシャルグループは、米国経済についてソフトランディングを予想しており、
年内は0.25%ずつ3回の利下げにとどまるとみている。 -
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米大統領選2020年の大統領選で自分が勝利したとの虚偽の主張を繰り返してきたトランプ氏に、ハリス氏がどのように対峙するかも、注目されるポイントだ。
民主党のストラテジスト、ジェームズ・カービル氏は4日、ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、「ハリス氏は自分についてトランプ氏に語らせるべきだ。語らせるだけでなく、トランプ氏が前回大統領選を巡る正気の沙汰ではない陰謀論を持ち出すよう駆り立てるべきだ」と主張した。 -
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[ロンドン 4日 ロイター] - ゴールドマン・サックスは、11月の米大統領選で民主党候補ハリス副大統領が勝利し、連邦議会選でも民主党が上下両院を制した場合、米経済に最も大きな恩恵があると予想した。
共和党が圧勝、もしくは同党候補のトランプ前大統領が当選し、議会でねじれが生じた場合、主に輸入関税引き上げと移民政策厳格化により、経済は来年に打撃を受けるという。
雇用の伸びも、民主党が政権を握った方が高くなると予想した。
ゴールドマンは3日付のリサーチノートで、「トランプ氏が勝利し、共和党が議会を制した場合やねじれ議会となった場合、関税と移民政策の強化による経済への打撃が財政へのプラス効果を上回る」と指摘。「成長率への打撃は2025年下期にマイナス0.5%ポイントのピークに達し、26年に緩和する見込みだ」とした。
また「民主党が圧勝した場合、新規支出と中間所得層の税額控除拡大が法人税率引き上げによる投資減少を辛うじて補い、25─26年に成長率をやや押し上げる」と予想した。
雇用の伸びはハリス氏が勝利すれば、トランプ氏が勝利し議会でねじれが生じた場合に比べて月1万人、共和党が圧勝した場合に比べて3万人多くなるという。 -
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円ショックの再来を予想-予言的中したティー・ロウのフセイン氏
2024年9月3日
ティー・ロウ・プライスの債券部門責任者、アリフ・フセイン氏は昨年、日本の金利上昇について早期に警鐘を鳴らし、世界の金融界に大地震を引き起こし得る 「サンアンドレアス断層 」と表現した。
日銀の政策修正、巨大衝撃波の震源とティー・ロウ-資金の国内回帰で
日本の金利上昇が市場に衝撃を与えるという同氏の予想は、正しかったことが証明された。日本銀行の7月の利上げは円キャリートレードの急激な反転を引き起こした。
フセイン氏はこれについて「断層の最初のずれに過ぎない。ずれは今後も起こる」と、カリフォルニア州で大地震を引き起こしてきたサンアンドレアス断層を引き合いに出して語った。
タカ派的な日銀と米国の成長鈍化への懸念が、8月5日の旺盛な円買いを後押しした一方で、投資家は株式、通貨、債券に連鎖した世界的な動揺のさらに根底にあるものを無視しているかもしれないと同氏は言う。
そこには、日本の金利がますます上昇し、海外に投資された巨額の日本の資金が本国に還流するリスクが含まれる。
「円キャリートレードをスケープゴートにすることは、より大きく深いトレンドの始まりを無視している。日銀の金融引き締めと、それが世界の資金の流れに与える影響は単純なものではなく、今後数年にわたって大きな影響を与えるだろう」とフセイン氏は述べた。 -
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低金利で調達した円を売ってより利回りの高い資産に投資する円キャリートレードが突然巻き戻されたことで、日経平均株価は1987年以降で最大の下落を演じ、株式市場のボラティリティーを示すVIX指数は急上昇した。
エコノミストらは短期間だが、米連邦準備制度が0.5ポイント利下げを実施するか、次の米連邦公開市場委員会(FOMC)を待たず緊急利下げをすることを迫られると予想した。
円相場は対ドルで145円を挟んだ取引レンジに落ち着いたが、ボラティリティーは依然として高い。想定される米利下げと日銀のさらなる引き締めは、どちらかと言えば早期に市場を再び揺さぶる可能性がある。
30年近い投資経験を持つフセイン氏は、日本の利回りが上昇するにつれて資金が日本に戻ってくる可能性が高いとの見方から、日本国債にオーバーウエートの配分を選好。同時に米国債のアンダーウエートポジションも選好している。
日本の金融機関が米国から自国へ資金を移すにつれて、米国債が圧力を受ける可能性があると同氏はみている。
日本の10年国債利回りは3日に1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し0.915%と、8月6日以来の高水準となった。
「日本の利回り上昇はある時点で、生命保険会社や年金基金の巨額資金を、他の質の高い国債から日本国債へと呼び戻す可能性がある。これは事実上、世界市場の需要を再編成することになる」と同氏は述べた。 -
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トレーダーの足をすくう9月、火種は尽きず-慎重さがかじ取りの鍵
2024年9月2日
9月は伝統的にトレーダーにとって難しい月だが、米連邦準備制度の利下げが見込まれる今年の9月は特に難しくなるリスクがある。
夏休み明けのトレーダーがポートフォリオを見直す9月は、債券、株式、金が例年下落する。S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均の1950年以降の下落率最大は9月に起こった。債券は過去10回の9月のうち8回で下落し、金は2017年以降毎年値下がりしている。
米金融当局の今後の利下げ幅と頻度を占う米雇用統計などの不確定要素に直面し、投資家は今回も荒天に備える必要があるだろう。
株価は過去最高値付近にあり、米国債は過去3年間で最長の月間ベースの連騰を記録している。衝撃的なデータや米大統領選を巡るサプライズには弱そうだ。
みずほ銀行の経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は「秋には下落がつきものだ。市場が米利下げを織り込み過ぎ、人々が『ゴルディロックス』シナリオを追いかけている今はなおさらだ」と指摘。「市場は通常よりも神経質になるだろう」と述べた。
短期間ではあったが世界的な株安に見舞われた8月が終わった今、
投資家は9月6日に発表される米雇用統計に注目している。
年内に4回もの利下げが織り込まれているため、
FOMCが18日の会合で予想ほど緩和的でなければ、
市場が乱高下するリスクは高い。
BNYメロンの市場戦略・洞察責任者、ボブ・サベージ氏はリポートで
「9月の季節性には波瀾(はらん)万丈の実績があり、リスクオフは珍しいことではないが、選挙の年はより劇的だ」と説明。
市場は今週発表の「米雇用統計が今年の行方を左右すると感じている」とも指摘した。
もう一つの変動要因は、
来週行われるハリス米副大統領とトランプ前大統領の初のテレビ討論会だ。
選挙戦が最終局面に入ってのこのイベントは両候補の勢いを決めるものになるとみられている。
大きな賭けになるだけに、ストラテジストたちは慎重さが市場のかじ取りの鍵になると言う。
IGマーケッツのアナリスト、ヘベ・チェン氏は、「シートベルトを締めて、通常以上のプロテクションを確実にすることだ」と語った。 -
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ヘッジファンドなど高いレバレッジを利かせた市場参加者が、マージンコール(追加担保の差し入れ要求)への対応に苦慮したのだ。こうしたことは今後も十分に起こり得る。
こうした値動きは先ほど指摘したマージンコールで説明できる。
まず、ヘッジファンドのレバレッジが高まっていた。米国のヘッジファンドの負債を示す指標は、パンデミック前の水準まで急上昇していた。
また、円などの低金利通貨を借り入れ、メキシコペソなどの高金利通貨建ての資産に投資するキャリー取引も膨らんでいた。BISの研究者はこうした取引の規模の特定を何度か試み、株価急落前の時点で2500億ドルだったという「大まかな概算の中間値」をはじき出した。これはおそらく低めに見積もった数字と考えられるという。
ヘッジファンドなどの市場参加者は、デリバティブを通じてこうした戦略を実行することが多い。ポジションに損失が発生したり、市場のボラティリティーが高まった場合、ディーラーや清算機関はリスクを減らすため、通常マージンコールを通知する。そうなると、ヘッジファンドなどの市場参加者は、往々にしてパニックのさなかにキャッシュが必要になり、損失が発生したポジションとは無関係のポジションを解消して追加担保を差し入れることになる。キャリー取引と米国株が巻き込まれたのはこのためだ。
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ちょっとしたボラティリティーがマージンコールを招き、それが広範な資産の売却と一段のボラティリティー上昇につながった。2020年3月と22年9月にも同様の自己増幅的なサイクルが米国債市場と英国債市場に影響を及ぼし、中央銀行が価格急落を抑制するため資産の購入を迫られた。
規制当局は繰り返し発生するこうした問題を警戒しているが、この問題はリスクを銀行から市場に移す08年以降の取り組みに関連したものだ。
バーゼル銀行監督委員会、決済・市場インフラ委員会、証券監督者国際機構(IOSCO)理事会の3機関は1月、清算機関のマージンコールの予測可能性を高めるさまざまな措置を勧告した。
透明性は有益だが、それで根本的な力学が変わるとは思えない。マージンコールは市場をかく乱しており、それが終わる気配はない。 -
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市場では現在、景気がほぼ唯一の関心事だ。
今週は米国の製造業に関するデータや新規失業保険申請件数なども発表され、
それぞれがセンチメントに影響を及ぼす可能性がある。
8月の混乱から教訓を得るとすれば、
人工知能(AI)関連へのロングポジションや
円安を利用した取引など、
コンセンサスに対する賭けは突如として巻き戻される可能性があるということだ。
思い起こしてほしい。フェデラルファンド(FF)金利先物が織り込んでいた年内の米利下げ回数は、インフレ懸念が弱まっていた年初にはおよそ6回で、
3月にも最初の利下げがあるとみられていた。
思っていたよりインフレが根強いことが分かってからはそうした見方は後退し、
4月までには年内利下げはわずか1回との予想に変わった。
そして現在のコンセンサスは、
9月に利下げが開始され、
年内計1ポイントの引き下げがあるというものだ。
オーシャン・パーク・アセット・マネジメントのジェームズ・セント・オービン最高投資責任者(CIO)は
「FOMC 参加者自身が示す ドットプロット(金利予測分布図)、
および市場の予想は どちらも常に間違っているのが現実だ」
と指摘した。
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okabe 2023年12月22日 09:35
日米ストラジスト