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私と経済の掲示板

>>17412

――そもそも物価は下がったほうがいいのでは。

買い物をする際はそうでしょうが、デフレで企業の利益がマイナスになれば給料が減り、失業が増える恐れもあります。経済全体を考えればデフレは望ましくありません。

むしろ物価は一定程度プラスのほうが安心感があるとされます。中銀は金利引き上げは事実上無限にできますが、下げることには限度があり、物価が上がるインフレよりデフレを退治するほうが難しいからです。物価統計には実際の価格より高めに出るクセがあり、ゼロを目標にすると物価下落を目指すことになってしまう事情もあります。

――とはいっても、2%は高すぎませんか。

専門家も指摘している点です。物価が上がりにくい現象は欧米でも起きていて、2%になっていません。問題は、それでも目標を引き下げない点です。むしろ米連邦準備理事会(FRB)は8月、いったん2%を超える物価上昇率を目指すという新政策を決めました。物価押し上げに向け、より大胆な緩和姿勢を印象付けようとしているようです。もっとも、日本と同様、効果的な追加金融緩和策の手段は豊富には残っていないといえます。

2%目標にこだわるあまり金利を極めて低い水準に抑える政策を長期化させれば、銀行の収益悪化で金融システムが揺らいだり、年金や保険の資産運用の足を引っ張ったりする副作用が深刻化するとの指摘もあります。いずれは欧米も2%目標維持の問題点に気付き、修正に向けた具体的な動きが出てくるかもしれません。仮にそうなれば、日本も目標を下げやすくなるでしょう。

■ちょっとウンチク 物価と失業率の関係変化

物価2%の「早期実現」が当初ほど重視されなくなった背景には、物価がそれほど上がらないもとでも雇用環境が改善したことがある。2%目標が導入された13年1月以降、未達成が続く中、完全失業率は4%台前半から一時2%台前半に大きく下がったのだ。

物価が上がるのは景気がいい証拠だから失業率は下がる――。そんな考え方などを背景に物価上昇を目指すことには意味があるとみられてきたのだが、実際には物価があまり上がらなくても失業率は低下した。理由についての分析は様々だが、いずれにせよ2%の「早期実現」の政治的価値は下がったようだ。