新機能のお知らせ
各銘柄ページに新設された「適時開示」タブより、最新の適時開示情報を簡単にご覧いただけるようになりました。
ぜひご利用ください。
【新機能】適時開示情報が閲覧可能に!
ここから本文です
投稿一覧に戻る

私と経済の掲示板

>>13064

旗を降ろせない量的緩和

「1円でも増えていればいい」。マネタリーベース(資金供給量)の拡大が鈍っていることについて、日銀幹部がよく口にする言葉だ。国債の買い入れを減らさないと過度な金利低下を抑えられない現実がある一方で、異次元緩和の柱であるマネタリーベースの拡大という旗は降ろせない。日銀はその板挟みにある。

9月の日銀のマネタリーベース拡大は前年同月比3%にとどまった。2013年4月に異次元緩和を始めた当時の伸び率(約20%)を大きく下回る。国債の保有残高の年間増加額が「80兆円をめど」としつつも、足元では20兆円程度にまで減っていることが最大の理由だ。現状の買い入れペースでは来年には10兆円を割るとの試算もある。

日銀は金利の過度な低下を抑えるために国債買い入れオペ(公開市場操作)を減らしており、10月のオペ計画では25年より長い年限の超長期債のオペを実施しない可能性も示唆した。「場合によってはマネタリーベースがそれほど増えなくてもよいというメッセージの発信」(日銀幹部)だ。

市場では「量の拡大と金利調節の併存は諦めるべきだ」との声も聞かれ、日銀内では黒田東彦総裁が掲げる追加緩和の4つの選択肢のうち「『量の拡大ペースの加速』はもはや選択肢ではない」との声もあがる。

それでも日銀が量拡大の旗を降ろさないのはなぜか。日銀は消費者物価指数の上昇率が「安定的に2%を超えるまで」マネタリーベースの拡大方針を続けるとしている。いわゆる「オーバーシュート型コミットメント」だ。マネタリーベース拡大方針を転換すれば「インフレ目標に対するコミットメントを覆すのかという話につながるため、単純な議論ではない」とある日銀幹部は話す。

実は国債の純増ペースが鈍っている理由はもうひとつある。13年に異次元緩和を始めてから長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を導入した16年9月まで「爆買い」した国債の大量償還だ。買い入れ額の減少に大量償還が重なり、拡大ペースが目立って鈍ってきている。

私と経済 旗を降ろせない量的緩和    「1円でも増えていればいい」。マネタリーベース(資金供給量)の拡大が鈍っていることについて、日銀幹部がよく口にする言葉だ。国債の買い入れを減らさないと過度な金利低下を抑えられない現実がある一方で、異次元緩和の柱であるマネタリーベースの拡大という旗は降ろせない。日銀はその板挟みにある。  9月の日銀のマネタリーベース拡大は前年同月比3%にとどまった。2013年4月に異次元緩和を始めた当時の伸び率(約20%)を大きく下回る。国債の保有残高の年間増加額が「80兆円をめど」としつつも、足元では20兆円程度にまで減っていることが最大の理由だ。現状の買い入れペースでは来年には10兆円を割るとの試算もある。   日銀は金利の過度な低下を抑えるために国債買い入れオペ(公開市場操作)を減らしており、10月のオペ計画では25年より長い年限の超長期債のオペを実施しない可能性も示唆した。「場合によってはマネタリーベースがそれほど増えなくてもよいというメッセージの発信」(日銀幹部)だ。   市場では「量の拡大と金利調節の併存は諦めるべきだ」との声も聞かれ、日銀内では黒田東彦総裁が掲げる追加緩和の4つの選択肢のうち「『量の拡大ペースの加速』はもはや選択肢ではない」との声もあがる。  それでも日銀が量拡大の旗を降ろさないのはなぜか。日銀は消費者物価指数の上昇率が「安定的に2%を超えるまで」マネタリーベースの拡大方針を続けるとしている。いわゆる「オーバーシュート型コミットメント」だ。マネタリーベース拡大方針を転換すれば「インフレ目標に対するコミットメントを覆すのかという話につながるため、単純な議論ではない」とある日銀幹部は話す。   実は国債の純増ペースが鈍っている理由はもうひとつある。13年に異次元緩和を始めてから長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)を導入した16年9月まで「爆買い」した国債の大量償還だ。買い入れ額の減少に大量償還が重なり、拡大ペースが目立って鈍ってきている。