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SACキャピタル(92年設立)のスティーブン・コーエン氏は14年にファンドをファミリーオフィスに転換した。サブプライム住宅ローンの空売りで巨額の富を手にしたジョン・ポールソン氏も数年以内にファミリーオフィスへの転換を検討していることを明らかにした。著名投資家のデビッド・テッパー氏率いるアパルーサ・マネジメントもファンドの資産を投資家に返還する計画を表明している。

老舗ファンドが運用事業から撤退する背景には、上場投資信託(ETF)などのパッシブ運用との競争激化が背景にある。少しでも高利回りを求める投資家は、ETFが相場並みの運用利回りを出しているのなら、そちらに資金を振り向ける傾向が強い。ETFは運用手数料が低いのも投資家にとって魅力だ。

預かり資産の2%、成功報酬として利益を増やした分の20%を徴収する従来のヘッジファンドの報酬体系に対し、年金基金などの大手機関投資家は手数料引き下げ圧力を強めている。こうした傾向もファンド運用会社には重荷だ。

ヘッジファンドの運用資産総額はHFRによると今年6月末で3.2兆ドルと過去最高を記録した。しかし、ファンドの数は14年以降減少傾向となっている。

一方で、AI(人工知能)を使いオルタナティブ(代替)データを駆使する一部のAIヘッジファンドは良好な成績を維持している。この分野で著名なヘッジファンドのツーシグマは15人の数学オリンピックのメダリストを抱え、社員の6割は伝統的な金融分野の経歴を持っていない。運用資産は580億ドルに上る。

ヘッジファンド業界はカリスマの「勘」や「センス」に頼った運用スタイルで毎年勝ち続けることが難しくなっている。ファンド業界はAIによる運用の台頭で、銘柄選別のプロだった老舗ファンドが次々と姿を消し、カリスマ不在になっている。