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私と経済の掲示板

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英新政権、対米協調に揺らぎ 米英FTAに壁

トランプ米大統領への接近を図ってきた英国のジョンソン首相の対米協調姿勢に揺らぎが生じている。15日には英領当局が拿捕(だほ)していたイランタンカーの解放を決め、米国側の拘束延長の要請を断った。欧州連合(EU)離脱後の孤立を避けたい英にとって米との関係強化は不可欠だが、個別の政策課題では見解の食い違いが多い。

ジョンソン氏は24日からフランスで開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)の場で、トランプ氏と初の首脳会談に臨む見通しだ。

ジョンソン政権は7月24日の発足以降、「特別な関係」とする同盟国、米国への接近を鮮明にしてきた。背景には、EU離脱後の米英自由貿易協定(FTA)の交渉入りを確実にしたいとの思惑がある。

「合意なき離脱も辞さない」とEUと距離を置くジョンソン氏にとって、米英FTAは離脱後の経済政策の生命線だ。メイ政権の方針を一転し、ホルムズ海峡での米主導の有志連合参加を決めたのも「米国シフト」の一環といえる。

ただ、英国が米国一辺倒を貫くのは難しい。「EUと米国の対イラン制裁が違うため、米の要求に応えられない」。英領ジブラルタル自治政府は18日、米国の要請があっても、イランタンカーの拘束を延長しなかった理由を説明した。

判断の背景には、双方のタンカー拿捕で急速に悪化したイランとの関係改善を望む産業界の存在もあったとされる。とはいえ、イランが警戒する米主導の有志連合に参加を表明しながら、米の拘束延長などの要求を断った判断は方向感が定まっていない。

米英間にはメイ前政権からの政策の食い違いも残っている。米国は安全保障上の懸念を理由に中国の華為技術(ファーウェイ)を次世代通信規格「5G」の通信網から排除するよう同盟国に呼びかけているが、英は応じていない。