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私と経済の掲示板

>>11723

ifoの調査は日本の景気変動を高い確度で先読みしてきた実績がある。アベノミクス以前の20年を振り返ると、現状・先行き指数がともに2ケタのマイナスになったケースは4回で、そのすべてで平均1年後に国内景気は「底」へと落ち込んでいる。

直近の19年4~6月期は現状がマイナス10.7(前期はプラス6.9)、先行きがマイナス42.9(同マイナス41.4)にそれぞれ悪化。景気不安を強く示唆する「現状・先行き指数がともに2ケタのマイナス」の状態になってしまった。アベノミクスが本格的にスタートした13年以降では初めて。「不況」ゾーンに入るのも11四半期ぶりのことだ。

その半面、海外の景況感は総じて改善した。19年4~6月期に米欧では先行き指数のマイナス幅が縮小し、中国も「回復」ゾーンに大きく接近した。中国の景気減速の影響が世界に広がる一方で、米欧は金融政策を「ハト派」に転じ、中国も大規模な経済対策を打っているためだ。

そうした海外景気の動きに日本が見劣りするのにはいくつか理由がある。地理的・ビジネス的に近い中国景気の影響を受けやすいうえ、金融政策も強い緩和が続き、緩和の度合いを強めにくい面がある。10月予定の消費増税も不安要因だ。

本質的なのは「潜在成長率」の違いだ。循環的な要因を除いた経済の「地力」を意味し、人口動態や技術革新で左右される。米国やドイツは年2%弱とされるのに対し、日本は1%程度と内閣府は推計する。経済の地力が弱いので、外需の追い風がやむと簡単に景気が悪化してしまう構図だ。

中国の経済対策が効果をあげ、日本の「景気悪化」が杞憂(きゆう)に終わる可能性はもちろんある。その一方で、金融政策だけでなく、政府債務が積み上がって財政政策も自由度は落ちている。雇用関連の規制緩和や社会保障改革なども含め、これまでとは異なる踏み込んだ経済活性化策が求められている。