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安楽死「作業はシンプル」嘱託殺人容疑の医師、SNSで被害女性に
読売2020/07/25

 筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した女性を殺害したとして、嘱託殺人容疑で逮捕された元厚生労働省技官の医師大久保愉一(よしかず42)が、事件の11か月前から女性とSNSでやり取りし自殺の方法も提案していた。詳細なやり取りは第三者に見られないメッセージなどを使っていた。京都府警が確認を進めている。

 死亡したのは、当時51歳の女性。事件では、京都市中京区の女性宅で昨年11月30日、女性の依頼で薬物を投与し殺害したとして、大久保容疑者と医師山本直樹容疑者(43)が23日に逮捕された。2人は主治医ではなくSNSを通じて女性と知り合った。

 女性は眼球の動きで操作できるパソコンを使い、2018年春から安楽死を希望する思いをツイッターやブログで発信。18年12月28日、ツイッターに「私達、神経難病の患者も壊れていく体と心、来たるべき死の苦しみの恐怖と日々戦っています」と投稿した。

 すると、大久保容疑者が他人の投稿にコメントをつける機能で、「当事者でない外野がかきまわすので、それを封じる手立てが必要」と反応した。これが最初の接触とみられる。

 6日後も、女性の「作業は簡単だろうからカリスマ医者じゃなくてもいいです」との書き込みに、大久保容疑者は「作業はシンプルです。訴追されないならお手伝いしたいのですが」と返信。女性は「嬉うれしくて泣けてきました」と返した。

 やり取りは具体的な自殺方法にも及んだ。事件3か月前の昨年8月25日、女性が「餓死しかないか」「まだ暑いから熱中症で死ねるかな」と書いた際には、大久保容疑者は「強制的に助けられてしまうという悪条件と理解しています。栄養を減らしたり、室温を上げたりする方法を提案した。

 最後は昨年11月9日。「自筆できない人間はどうやって遺言書をつくったらいいのか」と書いた女性に対し、大久保容疑者は「代筆だとあとで揉もめることも」と返信。女性は、大久保容疑者とともに逮捕された山本容疑者の口座に百数十万円を振り込んでいた。

 女性のツイッターなどに振り込みや事件の詳しい記述はなく、京都府警は、第三者に見られない「ダイレクトメッセージ」という機能を使ったとみている。父親によると、女性は建築の勉強のため海外留学したことがあり、2001年には一緒に米国を旅行した。女性は働き出してからは東京で一人暮らしをしていたが、ALS発症後に京都に戻り、約3年間一緒に暮らした。

 安楽死の願望について「親に死にたいなんて言う娘はいない。一度も聞いたことはなかった」と語った。女性に投与されたのは、海外の自殺ほう助団体で使われる睡眠薬だったことが取材でわかった。チューブで栄養を胃に直接入れる「胃ろう」から投与したとみられ、京都府警は入手経路を調べる。

 薬物は、バルビツール酸系睡眠薬と判明。国内では数十年前から不眠症やてんかんなどの治療に使われているが、毒性と依存性が高く、不眠症には別の睡眠薬が使われることが多い。国内では向精神薬に指定され、市販はされていないが、難病患者らの自殺ほう助が合法とされるスイスの自殺ほう助団体などが使用している。府警は24日、大久保、山本両容疑者を嘱託殺人容疑で京都地検に送検。