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☆せんちめんたる・じゃーにー☆の掲示板

本「慟哭(どうこく)の谷」

 近ごろ「熊」が住宅街にまで平然と出没しているというニュースを見る。落語に「八っつあん、熊さん」という、すっとぼけた人物が出てくるし、粘菌学者の南方熊楠(みなかた くまぐす)、特攻隊の生き残り、岩井忠熊さん(97歳・存命)など名前に「熊」の付く人たちを思い出していたが、穏やかな人たちばかり。

 それに比べ本家の「羆(ひぐま)」は人を襲い噛み殺す。昨日、多摩動物公園で「サイ」に襲われ、飼育員の男性が死亡というニュースを見たばかり。

「慟哭の谷」に出てくるのは、1915年(大正4年)12月9日から12月14日にかけて、北海道苫前郡苫前村三毛別で実際に発生した、クマの獣害としては日本史上最悪の被害を出した「三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)」が書かれている。

 こんな事件を私は全く知らなかったが、8/1(木)ダークサイドミステリーという番組で初めて見た。昨年だったか別の番組で、1970(昭和45)7月に日高山脈で起きた「福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件」の再現ドラマも見た。こちらは大学生でありながら、あまりにも知識に乏しく、熊に出会ったらすぐに一目散で下山していれば、命が助かったはずと残念に思えてならない。山の途中で出会ったほかの大学生は、熊が出たと聞いて躊躇なく下山したため助かっている。

 熊が一度あさった荷物を取りに戻ったり、身近で熊を見てるのに登山を続けようとした福岡大学の学生は5人中、3人も熊に襲われ亡くなった。熊は非常に執着心が強いので、狙った荷物を取りに戻って来る。この判断で明暗を分けたようである。

 木村盛武さんが書いた「慟哭の谷」は番組の中で紹介され、さっそく書店に行ったら文庫本(610円+税)があった。事件そのものは古いが、2015年に文庫の第一刷が発行され比較的新しいので、書店にあったのかもしれない。本が売れない時代と言われて久しいが、商売敵が次々いなくなったら、京都市内では「大垣書店」が逆に書店を増やしている。私はパソコンで本の有無や棚番を確認して行くので、すぐに探せる。

 その本が売れるとパソコンからすぐに「無」と出るが、何冊もあると売れるまでパソコンに残っている。この本が売れたらどうしょうと一目散に行ったが、今でも検索すると在庫にあるので書店にある。