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ソフトバンクグループ(株)【9984】の掲示板 2019/06/20


ソフトバンクグループ(SBG)が2018年3月期に巨額の税務上の欠損金を計上し、日本国内で法人税を支払っていなかったことが明らかになった。国税当局は欠損金の一部について計上時期の誤りを指摘する一方、欠損金の計上自体は問題はないと認めた。会計上の純利益が1兆円を超える巨大企業が税務上は赤字企業となっている。
SBGは18年3月期、16年に買収した英アーム・ホールディングス株の一部を「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)に現物出資の形で移管した。そのうえで同期の税務申告で、アーム株の取得価格と時価評価額の差額分などで2兆円超の税務上の欠損金が発生したとした。
欠損金は「税務上の赤字」を意味し、SBGは18年3月期、法人税を納めていなかった。
東京国税局は税務調査の結果、欠損金計上は税法にのっとった処理だと認めた。約4千億円については18年3月期に計上できないと指摘し、SBGも修正申告に応じたが、なお巨額の欠損金が残るため、追徴課税は発生しなかった。
税務上、欠損金(赤字)が発生した場合、企業は翌年度以降、10年間にわたって繰り越し、黒字(所得)から差し引いて税負担を軽くすることができる。
例えば大企業(資本金1億円超)が税務申告で、300億円の赤字を出した翌期に黒字が100億円だったとすると、黒字の半分、50億円まで繰越欠損金を取り崩せる。課税所得が半分となり納税額も減る。
SBGが18年3月期に計上した巨額の欠損金は、今後も同社に税務上の恩恵をもたらすことになる。
19日にあったSBGの株主総会で、孫正義会長兼社長は株主の質問に答える形で「世界の投資家は世界のルールのなかで色々な節税を合法的にやっている。合法的な範囲のなかである程度節税をはかっていく」と話した。
税理士や弁護士などはSBGについて「税をコストとして考える日本企業としては非常に珍しい会社だ」と評する。
SBGの子会社、ヤフーは09年の子会社の買収を巡って東京国税局から追徴課税を受けた。ヤフーは約178億円の課税処分の取り消しを求める訴訟を起こして最高裁まで争ったが、同社の敗訴が確定した。
今回の欠損金を巡る税務処理は計上時期の誤りを除けば国税も「適正」と認める形で決着した。「合法的な節税」を図るSBGと国税当局のせめぎ合いは今後も続いていきそうだ