IDでもっと便利に新規取得

ログイン


ここから本文です

ソフトバンク、5GとAI融合狙う 米携帯2社統合
2017/10/14 21:26 日本経済新聞 電子版

 ソフトバンクグループは傘下で米携帯電話4位のスプリントと、同3位のTモバイルUSを経営統合する方向でTモバイル親会社の独ドイツテレコムと大筋合意した。超高速通信「第5世代(5G)」時代を見据えて顧客基盤やインフラを広げ、先行する米2強と競う狙いだ。高速通信網を軸に人工知能(AI)などを融合した新サービスを提供する孫正義会長兼社長の構想も動き出す。

 早ければ今月中にもまとまる可能性がある。統合新会社へのソフトバンクとドイツテレコムの出資比率が今後の焦点だ。ソフトバンクは新会社で一定の影響力を維持する意向を持つ。

 米ストラテジー・アナリティクスの調査によると、3月末時点でTモバイルとスプリントの契約者数は合計で1億3134万人。統合が実現すればベライゾン・コミュニケーションズ、AT&Tの米携帯2強に迫る規模となる。

 孫会長兼社長は米携帯市場を「成長のエンジン」と位置づけてきた。2013年にスプリントを買収した際は脆弱なネットワークで顧客が流出していたが、ビッグデータ解析などの手法で立て直し、17年4~6月期決算は3年ぶりに黒字に転換した。

 それでも規模が小さければ米2強と戦えない。通信サービスが届くエリアで2強に及ばなければ顧客へのアピール力に劣り、投資力も高まらない悪循環に陥る。Tモバイルにも同様の懸念があったもようだ。

 再編を急ぐもう一つの背景が迫る5G時代。世界の携帯市場は20年ごろから5Gの実用化が始まる。5Gはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の重要な通信基盤として欠かせない。ただ、設備投資がかさむ上、各社が値下げなどで競えば消耗戦になりかねない。統合により顧客基盤を固め、ネットワーク投資などを効率的に進める。

 孫氏はIoT時代の到来やAIを意識して事業を拡大している。5月にサウジアラビア政府などと共同で10兆円規模の投資ファンドを立ち上げ、情報革命を進めるベンチャーを発掘している。

 世界のライドシェア各社にも積極投資しており、米最大手のウーバーテクノロジーズにも出資する方向だ。AIが深く関わる自動運転の分野では10兆円ファンドを通じて画像処理半導体の米エヌビディアに投資している。データ通信網や5Gはこうした事業拡大に不可欠なインフラとなる。

 スプリントとTモバイルの統合が実現した後に待ち構えるのはサービスの競争だ。米国ではAT&Tが米放送大手タイムワーナーの買収で合意するなど大型再編が進んでいる。ソフトバンクは通信とサービスの融合を見据え、スプリントと米CATV2位のチャーター・コミュニケーションズの提携も検討している。
 ソフトバンクは13年に総額約2兆円でスプリントを買収して米携帯市場に参入した。14年にはTモバイルの実質的な買収でいったん合意したが、米連邦通信委員会(FCC)の反対で頓挫した経緯がある。規制緩和に前向きとされる米共和党政権が誕生したことで再編機運が高まったが、スプリントとTモバイルUSの統合は当局の判断次第で実現が難航する可能性も残る。統合承認に向けた審査には1年程度はかかるとみられている。