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https://finance.yahoo.co.jp/cm/message/1009744/a5aa5a4a5fa5ca5af
なぜブラック企業は「辞められない」のか? 本当の「対処術」を探る
今野晴貴 | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
ユニオン(労働組合)でも権利行使を実現できる
 では、権利を放棄せずに「辞める」いい方法はないのだろうか?
 上記では未払い賃金の請求や退職の交渉は弁護士以外がやることは違法だという話をしたが、実はユニオン(労働組合)であれば可能だ。
 ユニオン(労働組合)は、組合員になった労働者の労働条件の維持改善、受けた被害の回復のために、団体交渉(話し合い)を行うことができる。
 ユニオン自身が会社に対して要求や通告をすることができるので、「辞める」ということの通告はもちろん、同時に未払い賃金や違法行為に対する要求も可能になる。つまり、個人で会社と話し合ったり、裁判を起こしたりせずに、法的な交渉が可能なのである。
 そして、団体交渉で解決しなかった場合には、抗議活動も実施可能なのだ。もちろん、退職したあとでも組合員になることは可能で、未払い賃金の回収や退職妨害に関する損害賠償の請求もできる。
 労働組合は「労働組合法」によって根拠づけられている。違法行為や嫌がらせを行う企業に対して、いちいち労働者「個人」が裁判で争うことは現実的ではない。
 だから、先進国ではどこでも労働組合や職場委員制度が法的に整備され、個人に対する労働トラブルを法的に処理しているのである。日本の労働法の場合には、そのような法的な権限が、労働組合に集中しているといってよい。
 実際にユニオンを通じて、解決に至った事例があるので紹介しよう。
 仙台の介護事業所(デイサービス)で働いていたある看護師は、会社を退職した際に、離職票を発行してくれないという嫌がらせ被害にあっていた。離職票を出さないこと自体を取り締まる法律はなく、その「嫌がらせ」の被害は裁判で訴えるしかない。
 また、多額の残業代も未払いで、パワハラ被害にもあっていた。これらの件について、退職後に介護・保育ユニオンに相談して、組合に加入。団体交渉を行った結果、未払い賃金約50万円、退職妨害やパワハラについての慰謝料約30万円を支払わせることができた。