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もう一つの誤算が、温泉テーマパーク「箱根小涌園ユネッサン」の集客だ。一部の施設を天悠に転用したため面積が狭くなった。さらに正月の箱根駅伝のルートにありテレビ中継でも有名になった、ファミリー向けの「ホテル小涌園」が今年1月に閉館。「ホテルとユネッサンの両方を訪れていた人数分は利用者が減ると見込んでいたが、落ち込みはそれを大きく上回った」(瀬川社長)。
 周辺では15年に大涌谷の噴火で観光客数が落ち込んだものの、直近では噴火前の水準を回復した。にもかかわらずユネッサンは噴火前の年60万人強から、18年は30万人台半ばまで落ち込む見通しだ。
 こうした結果、今期のリゾート事業の営業赤字は従来の4億5000万円から9億2000万円(前期は6億8800万円の赤字)に広がる。藤田観光はワシントンホテルなどビジネスホテル部門が全体を支えているものの、婚礼事業も振るわない。経営計画では19年12月期に連結営業利益27億円を目指すとしていたが「改めて見直す」(瀬川社長)必要に迫られている。
 同社は、天悠については交流サイト(SNS)の口コミなどで徐々に認知度が上がり、コストがかからない自社サイトなどでの予約が増えていくとみる。ユネッサンは周囲のホテルなどと、セット割引などを増やしててこ入れする方針だ。さらにホテル小涌園の跡地での「再開発スケジュールの前倒しも検討している」(瀬川社長)。20年代前半の開業に向け準備しているようだ。
 株価は10月30日に年初来安値(2944円)を付け、直近でも3000円前後で推移している。株式市場では「小涌園は箱根の中でも一等地にありながら、その立地を生かし切れていない」(SBI証券の田中俊シニアアナリスト)との指摘がある。これから動き出す再開発は、藤田観光株を大きく左右することになる。
(佐藤俊簡)