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今夜、フラ・ショーを観ていたら、或るフラガールが花冠を髪に載せ、水色のレイを首にかけて踊っていた。他のフラガールはいつも通りの恰好。引退するフラガールと判った。僕の好きなフラガールだった。踊りが巧く、同期の仲間から抜きんでて、抜擢されていたフラガールであった。将来、必ず、ソロダンサーになると僕は思っていた。引退の理由は判らないが、残念。ショーの最後で、ソロダンサーが、「ゴー」と掛け声をかけると、後ろのダンサー全員が「フラガール」と唱和するのが恒例であるが、今夜は、「フラガール」の代わりに、そのフラガールの名前を唱和していた。そして、そのフラガールがステージを去ろうとした時、ソロを務めたキャプテンがそのフラガールのところに歩み寄り、手を引いて、舞台奥の雛壇に連れて行った。手を繋いで、観客に会釈し、雛壇から去って行った。キャプテンの粋な計らいと優しさ、最後の最後に、憧れの雛壇から満員の観客を眺めた景色を彼女はいつまでも、忘れないであろう。幸多かれ、と祈る。