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それから半世紀。日本のLNG消費量は世界最大となる年間8千万トンを超す。LNGは都市ガスにとどまらず、電力を支える主力エネルギー源に成長した。
半世紀前にアラスカ産LNGの輸入代行業務を請け負った三菱商事は最初の輸送船到着から1カ月後、ブルネイでのLNGの生産事業への出資を決めた。「失敗すれば三菱商事が3つつぶれる」。当時の資本金を上回る巨額投資に、契約書にサインした藤野忠次郎社長の手は震えたという。
米国ルイジアナ州で今月24日、キャメロンLNGプロジェクトが落成式を迎える。三菱商事が関与する12番目のLNG事業である。2020年には持ち分生産量が1200万トンとなり、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなどメジャー(国際石油資本)に準じる地位だ。
電力・ガス会社や商社だけでなく、液化プラントの建設や専用輸送船による輸送などLNGビジネス全体で日本企業の存在感は大きい。いち早くエネルギー転換の先頭に立った結果だ。
だが、LNGの国内消費量は今後、減少に向かう一方、中国の輸入量は遠からず日本を抜くだろう。00年当時に11カ国だった導入国は40カ国を超えた。売り手や買い手が多様化し、関連ビジネスも競争が激しさを増している。
日本の優位はいつまで続くのか。かぎは新たに導入する国々に日本の経験を伝授し、それを強みにすることだ。東京ガスはフィリピンでLNGの受け入れ基地の建設・運営計画を進める。三菱商事はバングラデシュやパキスタンで下流分野の需要掘り起こしに動く。「バリューチェーンの一歩先を粘り強く開拓する」(三菱商事の西沢淳常務執行役員)決意が、次の半世紀も欠かせない。