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安田倉庫(株)【9324】の掲示板 2015/04/29〜2020/02/26

中東の緊張「ドル買い」より「リスク回避の円買い」
経済部 安西明秀

2019/7/19 13:09
900文字
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月末に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が再び強まり、円相場を動かしている。19日の東京外国為替市場で円は1ドル=107円50銭近辺で推移している。18日夕方と比べて25銭ほどの円高水準だ。米連邦準備理事会(FRB)高官の利下げに前向きな発言を受けて円高が進んだ。市場では米利下げ観測の強まりや中東情勢の緊張を受け、徐々に円高が進んでいくとの見方が強まっている。
「景気悪化の最初のサインが出た時点で、速やかに利下げすべきだ」。18日のニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の講演での発言を受け、日本時間19日未明、1ドル=107円25銭程度まで円高が進んだ。外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は「FRB高官の前向きな発言が続き、市場全体に米利下げの織り込みを与えた」と指摘する。利下げ観測の強まりでドル安が進んだ。
その後、ニューヨーク連銀の広報担当者が、総裁の発言は学術的なもので、7月のFOMCでの政策決定に関するものではないとコメントしたと伝わり、円安方向に動いたが、戻りは限定的だ。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「3歩進んで2歩下がるというように、徐々に円高が進んでいく」と話す。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物から市場の予想する利下げ確率を算出する「フェド・ウオッチ」によると、7月のFOMCでの利下げ幅が「0.50%」との予想は5割近くに高まっている。今月上旬には堅調な米雇用統計を受けて、約5%の予想だったが急速に高まった。「0.25%」を含めて市場は7月の利下げを確実視している。
地政学リスクの強まりも円高方向に働きそうだ。米トランプ大統領は18日、イランの小型無人機を撃墜したことを明らかにした。中東の緊張が高まると、過去は「有事のドル買い」となる場面も多かった。米利下げ観測の分、「リスク回避の円買い」が「有事のドル買い」を上回り、円高が進んでいる。
三菱UFJ銀行の内田稔氏は「米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱など、世界情勢の悪化要因は多い。これらの動向次第で来週に1ドル=107円を割り込む展開がありうる」と指摘しており、円高圧力は続きそうだ。