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旅客輸送や物流は無人運転で大きく変わる。人手不足の解消に加え、タクシーの場合はコストの7割を占めるとされる人件費の負担が軽くなり、料金水準が下がる可能性もある。ネット通販の宅配サービスなどでも無人運転のトラックが活躍する余地は大きい。
 DeNAの本業は大勢のユーザーが一緒に遊ぶモバイルゲーム。短時間にアクセスが集中してもネットワークの安定を維持し、快適に遊び続けてもらうためのノウハウを積み上げてきた。
 無人運転のタクシーの配車管理にはネット経由でやり取りする渋滞や路面の状況といった大量の情報をリアルタイムで分析する必要がある。モバイルゲームで培った様々な知見が生きる分野だ。こうした技術はトラックを使った宅配などにも応用できるとみて、基幹技術の確立を急ぐ。
 実験を通じ、今後の課題となるのはセンサーや状況を判断する人工知能(AI)といった自動運転に関わる技術の開発・精度向上だ。サービスを運営するためには一定数の専用車両をそろえるのも必要になる。大きなコスト負担が強いられるだけに「クルマをつくるところでは自動車メーカーと協力する」(ZMPの谷口恒社長)ことが不可欠になる。
 日本では現在、無人運転のクルマが公道を走ることはできない。運転手の存在を前提とする「道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)」を批准しているためだ。
 政府は20年までに自動運転のクルマに公道利用を解禁する方針を掲げている。今回の実験も神奈川県と取り組む国家戦略特区の事業として実現した。法整備の流れにスムーズに合流できるかが問われる。(新田祐司、香月夏子)