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スルガ銀行(株)【8358】の掲示板 2018/09/27

経済気象台)金融行政の転換とスルガ銀

2018年9月26日5時0分 朝日新聞

 スルガ銀行の不正融資の実態が第三者委員会の報告書で明らかにされた。独自の経営戦略による高い収益力を誇り、小粒でもキラリと光る優等生という評価が広まっていただけに、組織ぐるみの資料改ざんやブラック企業さながらの恫喝(どうかつ)の横行には、目を疑った人も多いのではないか。

 本件では、同行への監視の目が届かなかったどころか、ことあるごとに持ち上げてきた金融庁の責任を問う声も少なくない。この点を掘り下げてみたい。

 問題は、なぜ行政当局が特定の銀行を持ち上げる必要があったのか、だ。背景にあるのは「処分から育成へ」という金融行政の重点シフトである。長らく続いた不良債権問題の収束を経て、金融庁は業界の審判役からコーチ役に踏み出した。そして地域銀行を集めては、このまま融資量の拡大を目指して金利引き下げ競争を続けてもジリ貧になるだけだ、もっと創意工夫をこらして持続可能なビジネスモデルを見つけ出せと、さかんに尻たたきしてきた。頭取たちは、収益が上がらないのはマイナス金利など外部環境のせいだと反発したが、そういう彼らを説得する際に、よく引き合いに出されるのがスルガ銀行だったのだ。

 しかしコーチが選手の育成にのめり込めば、審判としての監視機能はどうしても弱まる。間の悪いことに金融庁は、方針転換を象徴的に示すため、今年の組織改正で、わざわざ検査局の看板をはずしたところだった。

 こうした流れの中で不正発見が遅れた。それは、たまたまひいきが裏目に出たということでは済まされない。預金者保護のためとはいえ、当局がどこまで民間企業の経営戦略に肩入れすべきか。金融行政の一番難しい問いがそこにある。

 (遼)

 ◆この欄は、第一線で活躍している経済人、学者ら社外筆者が執筆しています。


↑ 金融庁は、批判を真摯に受け止め、前代未聞の不祥事に対応する相当な処分を下すべきだ。