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大規模火災にドローン威力 奈良県広域消防、3機運用 情報収集に貢献
毎日新聞2021年1月17日 09時06分(最終更新 1月17日 09時06分)

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ドローンの訓練に励む奈良県広域消防組合の隊員=奈良県橿原市の県広域消防組合本部で2020年12月18日午後2時35分、小宅洋介撮影
 消防活動の現場で小型無人機「ドローン」を活用する消防本部が全国で増えるなか、奈良県広域消防組合は2018年7月から3機の運用を始めた。ドローンの特性を生かし、消火活動や不明者の捜索などに役立てている。【小宅洋介】

 「山が燃えています」。19年6月、奈良県十津川村で大規模な山林火災の119番通報を受け、消防隊員が現場へ急行した。山林火災では、地上の消火活動に加え、ヘリコプターで上空から散水する。燃える範囲が広い火災で活躍したのがドローンだった。


モニターに表示される赤外線カメラの映像。温度の低い部分はくっきりとした紫色で表示されている=奈良県橿原市の県広域消防組合で2020年12月18日午後2時32分、小宅洋介撮影
 備え付けの赤外線カメラを利用し、延焼範囲や散水の状況を一目で確認。小回りがきく特徴を生かして立木に回り込み、地上隊員の活動状況も素早く把握する。従来、指揮隊が現場の状況をつかむには、目視での確認や隊員からの無線連絡を集約するのが主だった。組合の植田和寛消防司令は「ドローンが上空から得る情報を活用すれば、火災の状況を一目でチェックできる。ヘリが給水に戻っている間にドローンを飛ばすことで、効率的な消防活動が可能になる」と話す。

 消防庁によると、20年6月現在、全国726の消防本部のうち、約43%の309本部がドローンを保有。19年同期と比べると、新たに108の消防本部が導入した。

 県広域消防組合では、本部の警防部警防課に2機、五條市や吉野町を管轄する南部方面隊に1機を配備。20年の1年間では、建物火災や水難事故など10件の現場でドローンを出動させた。

課題は人員確保
 今後の課題は、ドローンを扱える人材の育成とスムーズに運用するための人員確保だ。ドローンの運用には、機体の操縦だけでなく、カメラの操作、周囲の安全確認など必要な作業が多く、県広域消防では1機を職員3人で運用する。このため、現場の活動に人員が多く必要な場合はドローンを飛ばす余裕がなくなり、運用を断念することもあるという。植田消防司令は「活動人員が元々少ない本部では、ドローンに人を割いている余裕がそもそもなく、操縦をできる人員もいないのでは」と話す。

 消防庁は「ドローン人材」育成を目指し、19年度に「ドローン運用アドバイザー」制度を導入した。全国の消防本部などから、ドローン運用に携わる指導的立場にある職員を集めて合宿形式で研修を実施。福島県の研修施設で災害時のドローン運用などを学んだ後、アドバイザーとして各地の消防本部で指導にあたる。19年度からの5年間で約150人のアドバイザーを育成予定で、消防庁の担当者は「ドローンは大変有効な情報ツール。活用する本部は右肩上がりで増えている。これからは人材育成や普及啓発を手厚くしていかなければならない」と語っている。