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ニプロ(株)【8086】の掲示板 2018/05/19〜2018/07/10

>>308

今年も公演していたんですね。去年だか一昨年だかに同じ学会で講演していたのは聞きましたよ。多分内容もほとんど同じじゃないでしょうかね。
自分はニプロを応援していますが、これについては私見を交えながらできるだけ客観的に書かせて頂こうと思います。
当時の公演では骨盤(腸骨)の骨髄を採取してから体性幹細胞を分離し、それを静注することで脳や脊髄の神経を再生させる、といったことがテーマだったと思います。
公演ではモデル猿を中心に用いており、やや検証数は少ない感じがしたものの(猿高価だし)、脊髄損傷に対して劇的な改善が認められていました。すでに脊髄に関しては当時から治験が行われており、慢性期の脊髄損傷患者において一週間程度のスパンで劇的な改善をしたというものが動画付きで講演されていました。ともすれば捏造の可能性も考えられなくはないですが、企業と連携して商品化を目指している時点で当然企業も裏取りをしているでしょうし、自分としては確率は低いのではないかと思っています。
脳梗塞についてはまだまだ開始段階という感じでしたが、一応改善が認められたというデータは用意されていたように思います。
当然ながら投与経路として静注の他、脳室内投与や髄腔内投与も考えられたようですが、安全性、効果、簡便性などを考慮したところ静注が一番という結論だったみたいですね。恐らくこれはそのまま行くのではないかと思います。
原理としては、本来脳から神経根まで一本の神経細胞でできていますが、損傷後にこの体性幹細胞の投与が行われると、損傷部に介在ニューロンができ、三本の神経で伝達されるようになって情報伝達が正常化する、というようなものでした。会場からは幹細胞の常として「癌化のリスク」などの質問が飛び出していましたが、今の所そのような症状を疑う者はないとのことでした。
商品としての将来ですが、講演ではかなり高い確率の改善率を挙げていましたが、現在の所、脳梗塞や脊髄損傷などの中枢神経系は保存的加療に頼るしかなく、一方でいずれもQOLを大きく阻害します。なので、たとえ成功率10%でも希望する人は非常に多いでしょう。介護などのコストも考慮して安価なことがわかれば政府も保険適用などの補助を出す可能性さえあります。また、国内データを集めて世界的になればかなりの利益は見込めるでしょう。
ただ、骨髄から採取した体性幹細胞を利用するというのは、今回新しく開発されたものではありません。例えば京都府立医科大学の循環器内科は壊死しかけた下肢に対して、骨盤から採取した体性幹細胞を下肢の複数個所に局所注射し、下肢の血管再生を行うことで壊死しかけた足を改善させるという再生医療を行っており、かなり高い効果を上げています。ただし、これは病院内で全身麻酔下に骨髄を採取し、それを院内で精製し、そのまま局所投与しています。医療行為自体に特許はありませんので、こちらが早いし有効であり、安価ということになれば、そもそも商品化すら危ぶまれる可能性があります。一応ニプロは「採取した幹細胞を増やす」といったところから商品化を考えているようですが、そのプロセスが不要となればニプロの利鞘がなくなることになります。そもそもiPS細胞で同様の技術が開発され、数年でニプロの方法が駆逐される可能性もないわけではないでしょう。本望医師もニプロの利益より患者の利益を考えるでしょうから、そこら辺の商品化についてどのように考えているのか不透明なところはあります。下手したらどこかに利益をかっさらわれる可能性だってあるかもしれません。まあいずれの代替手法も実用化されるまで期間があるので、その間は独占状態でしょうが。

結論としては、大いに期待できるが、絶対利益になるとまでは断言できない、といったところでしょうか。
大分前の公演なので記憶違いや勘違いもあるかもしれませんので、その点はご容赦ください。以上をどう判断されるかは読む人にお任せいたします。ちなみに自分は医師免許はありますが経営や営業は門外漢です。また基本的に忙しいので質問などに回答できない可能性もありますのでご了承ください。