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自社株買い枠、4~9月48%減
ソフトバンクGが大半、株価影響も限定的
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上場企業の自社株買いが低水準だ。2020年4~9月に企業が設定した買い入れ枠の累計は最大2兆7732億円と、前年同期比で48%減った。コロナ禍の長期化に備え、企業が手元資金の確保を優先する動きが続いている。4~6月の8割減に比べれば落ち込み幅が縮小したようにみえるが、実際はソフトバンクグループによる2兆円の枠設定の影響が大きい。

日本経済新聞が4月から9月15日までの状況を集計した。枠設定の件数についても233件と前年同期(439件)に比べ47%減った。全体の7割をソフトバンクGが占めた。同社は3月、資産売却と絡めて計2兆5000億円の自社株買い実施計画を表明。取締役会の決議では4~9月の設定額は2兆円に達する。
ソフトバンクGを除いた4~9月の枠設定をみると、85%減の7732億円と依然厳しい。経済活動の停滞を受けて、金融機関からの借り入れや社債発行なども含めて手元資金の確保を優先するなか、自社株買いに慎重な経営者が多い。
前年同期に巨額の枠を設定したNTTやトヨタ自動車、三菱商事なども、今のところ枠を設定していない。
こうしたなかでも、東ソーは5月に初の自社株買いを発表。実質無借金の財務基盤を誇り、20年4~9月期は減収減益を見込むが、最大100億円の枠を設けた。信越化学工業も8月に107億円の枠を設定した。今期に投資有価証券の売却益を計上する三菱倉庫や、自動車事故の減少で増益見通しのSOMPOホールディングスなども自社株買いを表明した。ただ自社株買いに対する投資家の受け止め方は様々なようだ。取得枠設定を発表した後の株価をみると、SOMPOは1週間で13%上昇したが、ソニーや伊藤忠商事など株価への影響が限定的だった銘柄も少なくない。昨年までであれば、自社株買いは株主重視の表れとして好感される傾向があった。
野村証券の村上昭博チーフクオンツストラテジストは「事業環境が悪いなか、自社株買いで手元のキャッシュが減少する点への懸念を抱く向きもあり、ひとしく株高につながるわけではない」と指摘する。