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ナノキャリアのスレッドに、まるで DDS が液体のりに負けたかのような書き込みを繰り返している売り煽りがいますが......

そもそも、ホウ素中性子捕捉療法に使用されるホウ素製剤は、現時点で二種類あります。

一つは今回東工大が使用した BPA(ホウ素フェニルアラニン)はアミノ酸フェニルアラニンに1個のホウ素が結合したホウ素アミノ酸誘導体です。もう一つはホウ素12個からなる正20面体構造を有するホウ素立体分子BSH(Na2B12H11SH)です。

当然ながら、ホウ素原子を 12倍の数含む BSH の方が、中性子放射による殺細胞効率は高い訳ですが、では何故 BPA の方が後から開発され、現在治験で使用されているかというと、BSH には単独で細胞膜を通過する力がなく、従ってがん細胞内への取り込み効率が著しく低いという大きな弱点があるからです。

BPA は腫瘍細胞にフェニルアラニンの取り込みを行うアミノ酸トランスポーターLAT1によって、がん細胞への取り込みを可能としています。ただ、がん細胞内での必要濃度の維持に難点があったのですが、今回の液体のりはその弱点の解消につながるものである訳ですね。

さて、3-D Matrix の DDS である A6K は、殺細胞効率が高い BSH をがん細胞内に高い特異性をもって取り込むだけでなく、長時間必要濃度を維持するという役割を果たしています。これにより、がん細胞以外におけるホウ素の減少を待ってから中性子照射が可能となりますので、がん細胞だけを破壊するという BNCT の長所を最大化する事が可能となります。

また高い殺細胞効率により、中性子放射の線量の軽減、さらには BNCT 後のガン再発の可能性の低減等も期待できます。

これらは全て DDS が細胞膜透過性を持たない BSH を細胞内にデリバリーする事で達成される事です。

液体のりで代替できる事ではありません。