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 Vテクの2020・3期1Q決算が発表された。
(特徴)
◎前期末の大きな注残のおかげで1Q売上高は対前年同期比+34億円(+22%)増加して、純利益は通期目標の29%を達成した。
◎しかし、受注は対前年同期比-64%の53億円(2015・3期と同じレベル)と急落して、注残も対前年同期比ー33%と大きく減少し2年前の2017・3期末とほぼ同じレベルまで低下し、2Q以降の決算に不安を残す結果となった。

そこで、今後の決算推移をシュミレーションソフトを使って予測してみた。

(1)FPD企業の最近の設備投資概況:
(A) BOE:
 2019年に世界FPD製造装置投資額の28%(約43億$)を占めるとDSCCで予測されている世界一のFPD投資企業BOEのOLED第一号工場の成都「B7」工場の歩留まりが徐々に上昇して生産に安定性が出てきている、更に、7月OLEDの出荷を開始した綿陽「B11」工場も生産が軌道に乗り出し生産能力に余裕が生じ、今後、この工場からフォルダブルスマホも供給できるとしている。そのため、スマホ市場の下落も反映してフォルダブルスマホを主力に生産する予定の投資が決定していた重慶「B12」の投資(465億元、設備投資2020年開始、フル稼働2021年計画)に続く福州市「B15」工場の投資(465億元)も先送りするとの情報がでてきている。
(B) SDC:
 2018年以降、モバイルOLEDは供給過剰でSDCの生産ライ「A2」及び「A3」工場の稼働率が低迷しており、収益悪化傾向にあるSDCは設備投資を以前控えている。次の投資と予定されていたQD-OLED8.5Gラインへの投資(2020年設備投資予定)にも日本の対韓輸出規制強化の開始が重なり慎重になっている。
(C) LGD:
 4~6月期に3四半期連続赤字だけでなく赤字幅も1~3月期に比べ拡大し
た。テレビ用液晶パネルの価格が供給過剰で下落したことが響き、営業赤字が予想以上に拡大した。そして、京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)のスマホ生産ラインの稼動中断決定を下した。一方で、当初液晶パネルをまず生産した後で有機ELにラインを転換する計画だったが、液晶パネル価格下落が続くことから LGDは坡州P10工場内の第10.5世代有機ELラインに3兆ウォンを追加投資すると明らかに表明したばかりだが、早くも市場では投資の先送りが検討課題に乗ってきたと報じている。また、自動車用OLEDの量産を始めて開始する計画の広州8.5世代の竣工式を開始する準備を始めている。しかし、当初計画では、2020年と言われていたが、米中貿易激化懸念で広州工場の設備投資追加時期は明らかにしていない。
(D)シャープ/フォックスコン:
 大型LCDのさえない世界需要に言及し、中国南部の広東省広州市で現在建設中の10.5世代大型液晶工場(88億$投資規模、2019~2020年設備投資計画)の売却に向け、銀行を選定するため協議を行っていると2日にロイター電が報じている。 米中貿易戦争が激化する中、同製品の需要が低下していることが背景にある。
このように、スマホ市場の下落、米中貿易戦争の激化、日韓貿易規制強化などが原因でVテク顧客企業の来年以降の中長期設備投資先送り懸念が生じている。
(2)2020・3期の2Q以降の今後の予測:
   2-1.2Q売上高予測から2020・3期売上高予測:
 2Qは1Qとあまり変わらずの受注60億円、下期受注増加を見込みDSCC
予測の2019年比29%減の2020・3期合計受注額を337億円{(2019・3期受注額)×0.71}を仮定すると、2020・3期売上高は664億円、注残は期末で589億円と予測される。下期受注頑張って223億円達成したとしても、上期の受注減により、今期売上高予算730億円達成は未達に終わると思われる。純利益未達は言うまでもない。EPSは670円/株ぐらいと予測する。

 なお、今期売上高は、過去の決算から計算できる定数γ=(今期売上高)/(前期注残+今期受注)を使用して予測した。
2―2.2021・3期決算予測:(受注はDSCCのFPD設備投資予測値使用)
 2021・3期の受注を7月のDSCCの予測通り対前年比36%増加することを考慮すると、2021・3期受注458億円となる。今期末注残589億円だから、2021・3期売上高は529億円が見込まれる。EPSを予想すると、約392±20円/株。今期会社予想の50%割れまで低下することになる見込み。

(結論)
 いずれにしても、Vテクは2019・3期で売上高・利益ともにピークをつけて、受注減少と共に注残も減少し2020・3期及び2021・3期共に衰退時期に入ったと結論付けされる。縦型蒸着装置などの新製品開発の遅れで受注を継続増加させることができなかったことも主因。FPD分野よりも競争が激しく信頼性を重んじる半導体分野に進出することになっているが実受注を獲得するには相当な年月が必要だと懸念する。
(3)今後の課題:
3-1.FPD設備投資予測は7月に公開したDSCCの予測使用:
 最近7月のDSCCのFPD設備投資予測によると、2019年は29%減、2020年は36%増と予測されている。しかし、FPD設備投資予測は半年経過すれば相当変化する。スマホ市場下落傾向が続いており、上記(1)のようなFPD主要企業の最近の設備投資概況を考慮すると、2020年に本当に36%も設備投資が増大するのかこれも課題である。
3-2.今期下期の受注額増:
 下期BOEやLGDからの受注増加を見込んで下期対上期比2倍増の224億円と受注増加ができるかが課題。
3-3.上記の2021・3期決算予測に関して:
 2020・3期売上高予想として664億円とシュミレートした結果を使用したが、もし、2Q以降TATが短縮して生産効率が向上して今期予算通り730億円を達成した時は、今期末注残が更に66億円減少するので、来期2021・3期売上高・純利益共にさらに減少することが考えられることも課題。
3-4.広州建設中のフォックスコンの設備投資:
 フォックスコンが広州で建設中の10.5世代のLCD巨大工場で従来通り設備投資を行って稼働できるか否かが課題。

 以上、1Q決算発表の分析とごく最近のFPD主要企業の設備投資動向を加味しながら、2019年及び2020年の設備投資に関してはDSCCの7月公開の予想に基づき、今期決算予測、更に、2021・3期決算予測をシュミレーションしてみました。さて、2Q以降の売上高・営業利益率・受注・注残はどのような変化を生じるか注目すべきです。

(なお、決算シュミレーションソフトは投資仲間作成ソフトを使用。但し、Vテクの場合、製造装置と検査装置の相対的売上高占有比率によって営業利益率が大きく変化しますので一部ソフトを修正して使用)

  • >>231

    MOK…さんの予測、参考にさせていただきますが、ネガティブな面がかなり強調されている気がします。

    まず、FPD投資先情報から、CEC、CSOTが抜けていること。最新会社四季報の販売先の記載では、CEC、BOE、CSOTの順ですし、何よりブイ・テクノロジーは、CECグループのCHOTと合弁会社の設立を発表したところです。


    あと、DSCCのFPD設備投資予測 2020年36%増については、予測は変わるのでと一蹴。

    鴻海についても、ベトナム工場で液晶パネルを生産する話は俎上に上がっていません。


    (参考)
    株式会社ブイ・テクノロジーは、7月 30 日開催の取締役会にて、咸阳彩虹光电科技有限公司(中国陕西省咸阳市秦都区高科一路 1 号、董事長 陳忠国、以下、CHOT 社)との合弁会社「咸阳虹微新型显示技术有限公司、以下、咸阳虹微新型显示技术)の設立を決議いたしましたので、下記の通りご報告いたします。

    1. 合弁会社設立の目的・背景など
    当社および CHOT 社は、TV 用の新型ディスプレイならびに有機 EL 照明技術の開発、および有機 EL 照明の受託生産を目的とする「咸阳虹微新型显示技术」を共同で設立いたします。 咸阳虹微新型显示技术は、有機 EL 照明パネルの受託生産および新型ディスプレイ用の蒸着技術の開発や、電気的特性に優れしかも歩留りの改善が容易な TFT 技術の開発に取り組む予定です。 当社は、中国での有機 EL 照明の普及と市場拡大を目指し、その第一弾として咸阳虹微新型显示技术で有機 EL 照明パネルの現地生産に取り組みます。 また、これまで研究を重ねてきたレーザーアニール技術の他に、大型ガラス基板用の蒸着技術や有機材料開発で咸阳虹微新型显示技术の事業に貢献すると同時に、中国内での有機 EL 照明分野や、将来に向けて大型有機 EL ディスプレイ製造技術の分野で当社のプレゼンスを高めることを目指します。

    * CHOT 社は、陝西省咸陽市のハイテク工業地区に、同地区の関連産業および地域経済の発展の要となる基幹工場として、2015年11月13日に、中国电子信息集団(CEC)と中華系の大型ガラス基板メーカーである彩虹集団(Irico)の合弁で設立されました。 CHOT社の工場は、建築面積約60万㎡を誇り、2250mm×2610mmサイズの8.6世代ガラス基板を月に最大12万枚投入可能な、前工程から最終のモジュール工程まで一貫対応した最先端の大型液晶ディスプレイ製造ラインとして2017年より生産を開始しました。同社は、50インチ、58インチ、100インチサイズの高精細大型LCDの生産や、次世代大型TVとして期待される8Kテレビに対応する超高精細ディスプレイの生産にも対応しています。同社は、LCD 生産に加え、有機 EL の技術を用いた大型ディスプレイ等の量産に将来取り組む為、この度、当社と合弁会社「CHVT社」を設立いたしました。


    CEC(中国电⼦信息集団)グループ
    CEC(中国电⼦信息集団)は、18年売上が2170億RBM(円換算で約3兆4千億円)、電⼦・情報分野 で複数の事業グループを傘下に持つ、中国最⼤の国有企業の⼀つ。
     グループのFPD事業を担うグループ⼦会社に、CEC pandaグループ(南京/成都)、CHOT社(咸陽)、IRICO(FPDガラスメーカー)等がある。