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日立造船、全固体電池を量産化 新エネルギー分野で「第三の創業」
日立造船が次世代電池や洋上風力発電など新エネルギー分野に成長の舵(かじ)を切り始めた。年内にも従来のリチウムイオン電池に比べて安全性が高く充電時間が短い全固体電池の量産を始める計画だ。2002年に撤退した造船業で培った技術をもとに事業分野を拡大し、ごみ焼却・発電所など環境プラントを手掛ける世界最大手に変身。だが環境プラントの国内需要が一巡する中、「第三の創業」が求められている。
スマートフォンなどに使う一般的なリチウムイオン電池は中身の「電解質」が液体で、漏れた時に発火のリスクを伴う。一方、全固体電池は固体のため、液漏れの恐れがなく性能面でも充電時間が短いなどの特長がある。
日立造船は子会社で手掛ける自動車プレス機器などで培ったノウハウを応用し、粉末状の「電解質」を押し固める技術を確立した。電池メーカーなどが研究開発を進める全固体電池は液体物質の乾燥を繰り返して固体化する。手間のかかる工程を省けるため、生産コストを抑えられるという。
19年中に築港工場(大阪市)で自動生産の設備を稼働する。生産数量などは現時点では未定だが、まずは宇宙・航空分野など特殊な用途向けに売り出す。30年をめどに自動車分野にも参入する計画で、ホンダなど自動車メーカーと協力して開発を進める。
「どんな用途に使えるのか」。2月末に都内で開催された新エネ関連の展示会では、説明パネルと実際の全固体電池を置くだけという簡素な展示にも関わらず、日立造船のブースに3日間で約3000人が訪れた。中でも韓国・中国企業の関心が高かったという。
日立造船は環境プラントや橋梁など基本的に受注生産で手掛ける製品が多く、量産のノウハウは持たない。大規模な生産体制を求められる自動車向け全固体電池を手掛ける場合は、「他社との協業やライセンス供与など様々な形を検討する」(同社)という。
今後の成長の鍵を握る新分野では全固体電池以外にも有望な事業がある。海外で成長が期待される水関連もその一つ。17年に買収したオーストラリア子会社オスモフローを中心に海水淡水化プラントや水処理施設の建設を増やす。洋上風力発電は国内で実施している実証実験のうち半分以上を日立造船が手掛ける。