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シャープ(株)【6753】の掲示板 2019/10/18〜2019/11/01

足元では今期の業績予想を引き下げる企業が相次ぎ、パナソニックも売上高見通しを下方修正した。それでもシャープが強気なのはなぜか。

「顧客動向の回復を取り込み、デバイスやディスプレーは大幅に回復する見通しだ」。同日の記者会見で野村勝明副社長はこう説明、通期予想の達成に自信をみせた。売上高は前期比10%増の2兆6500億円、営業利益は19%増の1千億円を見込む。上期実績が当初予想を下回り、下期は上期よりもそれぞれ4000億円以上、250億円以上積み増す必要がある。

現地仕様にあわせた白物家電の海外販売といった施策のなかで、大きく寄与しそうなのが米アップル向けの復調だ。液晶パネルやカメラ部品などを供給するiPhoneの新モデル「11」の販売が堅調で、来春は廉価版「SE」の後継モデルの投入も見込まれている。

だがアップルビジネスはシャープにとってもろ刃の剣だ。19年3月期は下期のカメラ部品などデバイス関連の急減速をうけ、営業利益が前の期比7%減だった。台湾の鴻海精密工業傘下で初めての減益の元凶は新型iPhoneの販売不振だった。前期だけではない。「5」の不発で5千億円超の最終赤字となり危機に陥った13年3月期など"iPhoneショック"は何度もシャープの経営を揺るがしてきた。

好不調の波の大きさだけではない。液晶を搭載する「11」は好調だが、これまでアップルは旗艦モデルに有機ELパネルの採用を増やしてきた。液晶が得意のシャープには供給する新モデルがなくなる懸念がつきまとう。ここ数年はアップルへの販売比率をじりじりと下げてきたが、今期は再び反転しかねない。

手は打ってきた。戴正呉会長兼社長が立ち上げを急いできたのが、高精細の映像技術「8K」や、人工知能(AI)とあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など新たな事業基盤の創出だ。だが世界的なテレビ価格の下落もあり、高価格帯で勝負する8Kテレビの販売は伸び悩む。売れ筋が比較的高い国内でも競合が注力する有機ELで後塵(こうじん)を拝する。

「従来にない新商材も投入する」(野村副社長)とカメラやモニターなど法人需要を開拓するが、急成長は期待しにくい。IoT戦略も緒についたばかり。10月に有料課金サービスや、自社のIoTプラットフォームを貸し出す事業などを手がける2子会社を新設したが「収益を生むには時間がかかる」(幹部)。

戴氏は10月下旬、社員向けメッセージで「既存事業の多くは市場が成熟期を迎えている」とし、「成長力強化が急務だ」と改めて新事業の創出を訴えた。8KやIoT、次世代通信技術「5G」を軸とする成長戦略で、独自の事業モデルを立ち上げ、アップルに依存しない収益基盤をいかに構築するか。来期から始まる新たな中期経営計画の最大の課題は明らかだ。