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SAPの業績悪化から考えられる市場へのヒントは2つある。第1は各国政府の財政支援効果が薄れ、企業の財務悪化が進んでいる点。とりわけSAPの顧客の8割とされる中小企業の業況悪化が大きいとみられる。

第2は、そうした企業のバランスシートの悪化が株式市場の変動率(ボラティリティー)を高めるという点だ。東京都立大学が26日開いたオンラインセミナーで、米リッチモンド連銀の桜井悠司シニア・ファイナンシャル・エコノミストは「コロナ禍で上場企業が固定費払いのため現金支出が増え、借金がかさむと、ボラティリティーが上昇する」と指摘した。米S&P500種株価指数の変動率を示すVIXは26日の終値で32.46と前週末比17.8%上昇し、9月3日以来の水準を付けた。

6月中旬以降、欧州は新規感染者数がほぼ一貫して増えているのに対し、北米は7月下旬から9月上旬にいったん伸びが鈍化し、足元で再び増えている。株価は3月下旬以降、終値ベースの高値がSAPは8月26日だったのに対し、オラクルは1カ月半ほど遅い10月12日。米国株は夏場に「寛解期」があった分、高値が後ずれした形だ。業績改善のピークの時期も欧州が4~6月期に対し、米国は7~9月期となる可能性が意識されている。

DAXとダウ平均の株価チャートは高値のタイミングこそ異なるが、上昇トレンドの終わりを示唆する「Wトップ(2点天井)」の形に近づいている。投資家は「暗い冬」(米大統領選民主党候補のバイデン前副大統領)が連れてくる「Wの悲劇」に身構えている

  • >>513

    コロナ拡大、市場動揺 独SAPが示す「Wの悲劇」
    日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一
    2020/10/27 9:541075文字[有料会員限定]

    26日の欧米株式相場が大幅に下落した。新型コロナウイルス感染の第2波が勢いを増し、企業業績や投資家心理に影を落とし始めた。日本の感染状況は比較的、落ち着いているが楽観はできない。東証マザーズ市場など過熱感の強い銘柄には売り圧力が強まる可能性が高い。

    26日はドイツ株式指数(DAX)が前週末比3.7%、米ダウ工業株30種平均が2.3%、米ナスダック総合株価指数が1.6%とそれぞれ下落した。DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の有力企業で、コロナ時代の先導役といえる欧州ソフトウエア最大手の独SAPの業績悪化が市場に動揺をもたらした。

    2020年7~9月期の売上高は4~6月期に比べ3%減少。粗利益率は1.2ポイント上昇の71.1%と、伸びは4~6月期(1.6ポイント)から鈍化した。企業の設備投資意欲の減退が背景だ。

    SAP株は26日、22%急落し、時価総額は1日で4兆円吹き飛んだ。同業の米オラクルも連想売りを浴び、4%下落。時価総額は7600億円減少した。

    独SAP株は26日、22%急落した=ロイター