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三桜工業(株)【6584】の掲示板 2021/03/16〜2021/03/22

  • >>65

    東工大ニュースから(東工大ホームページ)

    地熱や工場廃熱などの熱源に置くだけ埋めるだけ! 熱エネルギーで直接発電する“増感型熱利用発電”を開発
    石油資源に依存せず、天候にも左右されにくい電気エネルギー生成方法で、エネルギー問題の解決に向け一歩前進

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    研究

    公開日:2019.07.18

    概要
    東京工業大学 物質理工学院 材料系の松下祥子准教授および三櫻工業株式会社は、熱源に置いておけば発電し、発電終了後そのまま熱源に放置すれば発電能力が復活する、増感型熱利用電池の開発に成功した。

    太陽電池では光エネルギーにより生成した電子を利用するが、この電池では熱エネルギーにより生成した電子を利用する。通常、熱により生成した電子だけでは発電は生じない。熱だけの場合、半導体の中で電子は安定し、電子は移動せず電流生成に至らない。そこで、松下准教授は、熱により生成した電子と、酸化還元の化学反応を組み合わせることで発電させることに成功した。さらに、熱下でのイオンの移動を電解質内で制御することで、発電終了後そのまま熱を与え続けるだけで発電能力を復活させることができた。すなわち、本発電装置によって、熱源に埋めて、回路のスイッチをオンオフするだけで、熱エネルギーにより直接発電することが可能となった。

    特に、今回、半導体として狭いバンドギャップを持つゲルマニウム(トーニック製)を使用することで、発電温度を80℃以下にまで下げることに成功。発電は40℃~80℃と身近にあふれる温度で確認されており、今後IoTセンサ用電池からクリーンで安全な地熱利用発電所の構築、そしてCO2排出量の削減、エネルギー問題の解決などに資する成果である。この成果は、2019年6月20日に英国の科学誌「Journal of Materials Chemistry A」オンライン版に掲載された。

    背景
    安全・安心でクリーンな熱エネルギーの有効利用が強く望まれている。中でも我が国の年間排出量76%を占める200℃以下の排熱(NEDO 2019年3月「産業分野の排熱実態調査 報告書」表8より)の有効利用は我が国の急務と言える。

    通常、熱を使った発電では、地下水を水蒸気化しタービンを回す地熱発電や温度差を利用して発電するゼーベック型熱電などで発電していた。その際、エネルギー変換効率向上が課題となっており、熱エネルギーで、そのまま直接発電が可能となる技術開発が待たれていた。

    研究の経緯
    松下祥子准教授は、色素増感型太陽電池と呼ばれる化学系太陽電池[用語1]に着目した。色素増感型太陽電池は、色素内の光励起電荷[用語2]により電解液のイオンを酸化・還元して発電する、薄くて軽いシート状の太陽電池である。この色素内の光励起電荷を半導体の熱励起電荷に変えれば、温めるだけで発電する電池ができると予想した。また、このような熱エネルギー変換が可能ならば、冷却部不要で、熱源にデバイスを埋めて電気を得る、新しい熱エネルギー変換系の構築が可能ではないかと思いつき、熱励起電荷によるイオンの酸化・還元反応を確認した(特願2015-175037, Mater. Horiz., 2017, 4, 649–656 )。ただしこの時、発電温度は600℃であり、発電がどのように終了するのかも不明であった。

    今回、松下祥子准教授ならびに三櫻工業株式会社は、半導体として狭いバンドギャップを持つゲルマニウム(トーニック製)を使用することで発電温度を80℃まで下げることに成功し、発電終了のメカニズムを明らかにした。さらには熱エネルギーにより電解質内でイオンが拡散することを利用し、発電能力を復活させることに成功した。

    研究成果
    今回作製した電池(サイズ約2 cm×1.5 cm、2 mm厚、重さ1.6 g、図1a)を80℃に設定した恒温槽中に設置すると、開放電圧0.37 V 、短絡電流3 μA/cm2の発電が確認された(図1b)。本電池を直列につなぐと液晶ディスプレイが点灯した。短絡電流値は高温ほど大きくなった。

    80℃内での100 nAの連続放電テストでは、70時間以上の継続放電が確認された。放電終了後、そのまま80℃の恒温槽に10時間ほど放置しておくと発電性能が復活し、再び数時間程度発電した(図2)。この再放電時間は、放置時間が長くなるほど伸びた。このような放電終了・再放電サイクルは少なくとも25回以上安定して確認された。