ここから本文です

三菱電機、忍び寄る「バランス経営」の転機 (2)

しかし、今期は営業利益率が2ケタの産業メカトロニクス部門が苦戦し、電子デバイスは赤字の一歩手前だ。重電や家電など他の部門の利益率も5%台以下にとどまっており、収益力や今後の成長を象徴するような事業とはいいづらくなった。昨年末のネットキャッシュ(現預金―有利子負債)は約1500億円と健全性に大きな揺らぎはないが、バランス経営に徐々に陰りが出てきたといえる。
もちろん、三菱電も手をこまぬいてはいない。今期は設備投資と研究開発で合わせて5000億円近くを投じ、自動車の電動化対応などを急ぐ。杉山武史社長は「資金的には余裕があるので、将来を見据えて成長に向けた投資を積極的にやっていく」と意欲をみせる。
株式市場では、こうした姿勢に対し否定的な声もある。ゴールドマン・サックス証券の松橋郁夫氏は「費用増を許容する姿勢を転換しておらず、売上高が下振れすると限界利益の減少以上に収益が切り下がる可能性がある」と警戒する。FAなどの減速が長期化するリスクを考えれば、実を結ぶかわからない投資よりも追加のコスト削減などを優先すべきだとの見方もできるからだ。
ただ、杉山社長が拡大投資ばかりに目を向けているわけでもなさそうだ。「(事業のあり方について)これまで利益が出ているか出ていないかで選別していたが、今後は株主が期待しているリターン(=資本コスト)を考慮していく」と話す。一部の投資家は三菱電の資本コストを6%程度と想定しているもよう。利益率の高い産業メカトロ部門以外に投資家の期待を満たす事業がない、という可能性も出てくる。
杉山社長は「いずれ、採算の低い事業をやめる必要があるかもしれない」とも話し、今後のリストラに含みを持たせる。FAなどが苦戦し世界の景気減速懸念も強まるなか、これまでの延長で企業価値を高めていくのは難しいと肌で感じているようだ。
バランス経営を掲げたのは、02年3月期に営業赤字に転落したのがきっかけだった。当時に比べれば業績減速は緩やかではあるが、構造改革に踏み出す時が再び迫っているのかもしれない。

6503 - 三菱電機(株) 三菱電機、忍び寄る「バランス経営」の転機 (2)  しかし、今期は営業利益率が2ケタの産業メカトロニ