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東芝の半導体売却、WDと協議 月内決着へ機構と連携

2017/8/23 2:00日本経済新聞 

東芝が半導体メモリー事業の売却を巡り、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)と月内決着に向けて協議に入ったことが22日明らかになった。WDは官民ファンドの産業革新機構などと買収連合をつくる。東芝は法廷で争うWDを取り込み、膠着していた売却交渉を前進させる。合意すればWDは売却差し止めを求めた裁判所への申し立てを取り下げる。

 WDは東芝との合意に基づき半導体メモリー事業の資産査定に入っており、来週にも作業を終える。東芝は月内の取締役会で承認を得た上で最終契約を結ぶ計画だ。ただ、WD陣営との協議が不調に終わった場合、東芝は新たな資本増強を含めた再建策の練り直しを検討することになる。

 WDは産業革新機構のほか、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、日本政策投資銀行などと連合を組み、約1兆9000億円の買収案を提示した。WD首脳は今月に入り、協議で合意できれば国際仲裁裁判所への申し立てを取り下げる考えを東芝首脳に伝えた。

 東芝首脳は8月中旬に銀行団に対しWD・KKR連合への売却交渉を優先していると伝えた。WDの交渉担当幹部も今週に入り来日し、東芝や陣営関係者と交渉に入っている。東芝は売却の条件として技術者など従業員の雇用維持を求める。

 経済産業省の意向もあり、革新機構や政投銀は早期に売却できる陣営を優先する見通し。東芝とWDが合意した場合、革新機構と政投銀は米投資ファンドのベインキャピタル主導の日米韓連合からWD・KKR連合に乗り換える方向だ。

 メモリー事業で協業するWDは東芝が2月に売却表明した直後から第三者への事業売却に強硬に反対し、5月には国際仲裁裁判所に売却手続きの停止を申し立てた。東芝側もWDを提訴し両社の関係は悪化、東芝はWDの主張を認めず売却交渉を進めていた。

 ただ、裁判所がWDの主張を認めて売却差し止めの判断を下す可能性があることから、優先交渉先とした日米韓連合との協議は暗礁に乗り上げていた。WDも東芝と協業している半導体事業に影響が出始めており、両社とも和解の道を探ることになった。

 売却先の決定後に控える各国の独占禁止法の審査には6~9カ月かかるとされる。東芝はメモリー事業の売却を2018年3月末までに完了することで債務超過を解消し上場を維持したい考えだ。

 WDは議決権のない社債などの形で数千億円規模の資金を拠出し、各国の独占禁止法審査を終えた後に2割未満の議決権を取得する計画だ。

 ただ、東芝とWDが買収額や出資比率などの条件で折り合えない場合、売却交渉が再び膠着する可能性は残る。その際は日米韓連合と交渉を進めるほか、増資など新たな債務超過の解消策を迫られそうだ。