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メモリー高値売却に懸ける 東芝、時間との戦い
2017/2/25 2:00日本経済新聞 電子版

 東芝は24日、4月1日付で半導体メモリー事業を分社すると発表した。新会社の株式の過半を売却する方針で、2017年度の早期に売却先を決める。メモリー事業を高値で売却できるかどうかは、米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)による巨額損失の処理にも影響する。生き残りのため欠かせない自己資本の増強に向けて、時間との戦いになる。
NAND型フラッシュメモリーは東芝が開発し、モバイル端末に欠かせない部品として浸透した。世界シェアは2位で虎の子の事業だが、巨額の損失を補填するためカレンダーをにらみながら出資を検討する各社と綱引きが続く。3月末時点の自己資本は現状のままでは1500億円のマイナスと債務超過になる見通し。この時点までに手続きを完了して売却益を計上するシナリオは事実上不可能になっている。
 3月30日にはメモリー分社などの承認を得る臨時株主総会を開く。株式を売却する手続きの完了が年度をまたげば3月末時点での債務超過が濃厚だ。その場合、8月1日時点で東証1部から2部への指定替えとなる、時間をかけて提案する各社に競わせれば売却額を引き上げられると読む。
 原子力事業は16年4~12月期に7125億円の損失を計上する見込み。これとは別に親会社としてWHの債務を保証しており、有価証券報告書によると16年3月末時点で7934億円ある。WHについては出資比率の引き下げに加え米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請も再建案の選択肢として排除せず検討を進める。

 今後は損失による現金流出に加え、場合によっては債務保証の一部の支払いに備えなければならない。このため自己資本増強だけでなく、現金の調達面でも新会社の株式の高値売却が欠かせなくなる。東芝は出資候補各社に新会社の事業価値を2兆円以上と見積もるよう求めた。得られる現金は売却比率によるが、原子力事業の損失による支払いを賄いたい考えだ。

 6月下旬の定時株主総会までには売却先を決めるとみられる。ただ売却作業を急げば足元を見られかねない。スケジュールをにらみながら、売却益の最大化を狙う微妙なかじ取りを迫られる。