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(株)キトー【6409】の掲示板 2019/08/15〜2022/03/31

楽観をつかれた原油市場 一転して綱渡りに
Nikkei Views 編集委員 志田富雄
2019/9/16 19:52
1318文字
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サウジアラビア東部で石油施設から上がる煙(14日)=ソーシャルメディアより、ロイター
今年に入り原油市場は世界経済が減速し、相場に下げ圧力が増すシナリオを描いていた。欧米の先物市場では先高を読む買い残が減り、逆に相場下落にかける売り残がじわじわ増えていた。そこには中東情勢は緊迫しても、供給が激減するような事態にはならないだろう、との楽観論があった。
だからこそ、6月に日本などのタンカーがホルムズ海峡付近で攻撃を受けても、原油相場は昨年10月の高値を抜くことはなかった。その市場の楽観をサウジアラビアに対する無人機攻撃が粉砕した。
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言うまでもなく、サウジは米国、ロシアと並ぶ世界最大級の原油生産国だ。さらに原油市場にとって意味が大きいのは、世界の余剰生産能力(スペアキャパシティー)の大半をサウジが握っていることにある。国際エネルギー機関(IEA)の8月時点の推計によれば、制裁下のイランを除く主要産油国の余剰生産能力は日量約320万バレル。その7割にあたる230万バレル弱をサウジが占める。
現行の協調減産のけん引役はサウジであり、いざという時にすぐ増産できるのもサウジしかない。そのサウジの生産が日量500万バレル以上も減った現実は、世界の余剰生産能力をフル回転しても石油需要を満たせないことを意味する。
16日のアジア市場の時間帯で、欧米の原油先物は一時15~19%も急騰した。先安にかけて売りを仕掛けていた投機家が一斉に買い戻しを迫られたからだ。その後、上げ幅が縮小した理由は米国が戦略備蓄を放出し、サウジの原油生産も早期に回復するのではないか、といった楽観論が再び台頭したからだ。