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(株)タダノ【6395】の掲示板 2025/08/29〜

 以前、ドイツでは労働者の権利が厳しく守られ、定時退社と長期休暇が当たり前だと書いた。ここで疑問なのが、「短い労働時間で、どうやって高い品質と生産性を維持しているのか」という点である。その秘密は、ドイツの徹底した職業教育、特にマイスター制度という社会的な構造にあるというのが私の見解である。

1. 「職人」を育てる教育システム
 ドイツでは、日本のように全員が大学を目指すわけではない。10代前半で将来の進路を選択し、多くの若者が「デュアルシステム」と呼ばれる職人育成の道に進む。
• 企業と学校の共同訓練:  訓練生は週に数日を企業での実務訓練に、残りを職業学校での理論学習に費やす。実践と理論を並行して学ぶことで、即戦力となる高度な専門技術を身につける。
• 国家資格としての「マイスター」:  この訓練を経て熟練工(ゲゼレ)となった後、ここで重要なのは経営に対する知識や、後進の指導のための知識をきちんと学び、それによって国家資格であるマイスター(親方・匠)の資格を取得できる。
2. 高い専門性が生む「効率」
• 短時間で質の高い仕事: マイスターは単なる熟練工ではない。その分野の最高峰の技術と知識を持っている。彼らが指導する現場では、無駄な作業がなく、一発で正確な作業が完了。これが長時間労働せずとも高い生産性が維持できる最大の理由。
• 品質の保証と技術の継承: 彼らは技術指導権も持ち、工場全体の技術レベルを底上げし、製品の高い品質を安定的に保証している。
 要するに、ドイツの労働時間は「短い」のではない。「技術力が圧倒的に高いため、短時間で済む」ということ。ドイツ工場は、この優秀なマイスターと高度な技能を持つ労働者集団に支えられ、効率的な経営を実現している。
 このマイスター制度と、日本の5S,6S、シックスシグマとの共通点は、どちらも欠陥を許容せず、高い水準の製品・サービスを提供することを目指している点である。アプローチは異なるが、両者を比較研究することで、何か新たな展開ができるのではないか。ぜひ日独ハイブリッド版のタダノ・システムを構築して、京セラのアメーバ経営のコンサル事業のように収益化してほしいと願っている。
 ついでにタダノの広報に言いたいのは、単に業績だけでなく、グローバル企業「ワン・タダノ」を標榜するのであれば、世界各地の拠点における「強みの根源」を、具体的な制度や文化(例:ドイツのマイスター制度)に踏み込んで取材して発信すべきである。現地文化の強みを事業戦略と結びつけることこそが、海外展開のリアリティと説得力を増すからだ。この手の情報発信こそ、投資家に対して企業の競争優位性(「短時間で高品質」という見えない資産)を明確に伝え、ESG(E:環境、S:社会)への配慮を示すことにも繋がる。期待しています!

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