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千代田化工建設(株)【6366】の掲示板 2019/05/12〜2019/06/04

三菱商事、千代田化工を「宝」と呼ぶ理由

債務超過に陥ったプラント大手の千代田化工建設に対し、三菱商事は三菱UFJ銀行と総額1800億円の投融資による支援を決めた。9日の会見で、三菱商事の垣内威彦社長は経営幹部ら約30人もの社員を同社に送り込む不退転の決意を示すとともに「(千代建は)日本の宝。再生できれば三菱商事としても会社冥利に尽きる」と熱弁を振るった。

同社への支援は1990年代後半、2008年に続き今回が3回目となる。三菱商事にとって19年3月期に800億円超もの一過性損失の原因となった企業を「宝」と呼んで、再度手をさしのべた。

支援に対する市場の回答は「ノー」だった。同時に3000億円を上限とする自社株買いを公表したにもかかわらず、翌10日の株式相場では三菱商事株は一時6%安と下げ、年初来安値に沈んだ。格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは「仮に千代建の業績が再び悪化した場合に、同社にさらなる財務負担が発生する可能性は従来よりも高まった」などと、三菱商事の財務にネガティブな影響があると判断した。

三菱商事の自信と、市場の疑念には大きな溝がある。自信の根拠を探るうえで、参考になるのが資源開発最大手、国際石油開発帝石の液化天然ガス(LNG)事業だ。

国際石開帝石の19年3月期決算では、連結純利益が前期比2.4倍の961億円になった。そのうち約400億円を稼ぎ出したのが、オーストラリア北部で手掛けるLNG事業「イクシス」だ。事業総額は4兆円にのぼり、国際石開帝石は6割超の権益を保有する。フル生産体制が整えば純利益で年間1000億円の貢献となる計算だ。長期的な同社の屋台骨となる道が見えてきた。

生産までの道のりは決して順調では無かった。国際石開帝石が投資を最終決定したのは12年1月。海底ガス田を掘削し、液化して日本などに輸出する複雑なプロジェクトだったため、生産開始は当初予定の16年末から遅れ、昨年ようやく出荷にこぎ着けた。

イクシスの減損リスクを抱え、国際石開帝石の株価も長らく低迷してきた。LNG事業は投資決定から収益が安定するまでに5年以上かかりトンネルは長い。比較的短期で成果を求める株式市場とは時間軸が食い違う。