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 今回の新工場建設に関係しての資金調達に関して、自己株減少によるディメリットばかりを強調する方が見受けられますが、この資金調達の使途によるメリット面も考慮して考えてみましょう。 

 企業の価値を決定づける時価総額は、
(時価総額)=(EPS)×(PER)×(発行株数)
によって表せます。PERは企業業績の成長性や業種や人気度によって左右され若干変化します。今回の資金調達では発行株数は変化がないので、時価総額に与える影響は企業のEPSが最も重要な指標だと思います。
そこで、今回の資金調達並びに上場市場への変更が今期のEPSに及ぼす影響について考えてみましょう。

(A)資金調達のEPSへの影響:
  (A-1)自己株式の減少による影響:
 金庫株減少(自己株式の減少:1237800株)による2018・3期会社予想EPSへの影響は635→562円/株(-73:-12%)。
  (A-2)調達資金の一部を今期運転資金に充当する影響:
 会社が調達資金の使途の中で表明している通り、調達資金の一部(3234百万円)を今期の運転資金(受注生産設備用の部品購入費)に充当することで原価率は3.6%減少して2018・3期会社予想のEPSへの影響は635→864円/株(+229:+36%)。

 それでは上記(A-1)と(A-2)を包含して2018・3期会社予想EPSへの影響を計算してみると、
635→764円/株(+129:+20%)となり、EPSに対しては、自己株式減少による悪影響よりも、調達資金の一部をコストダウンに充当する効果の方が大きいことが分かります。

 また、会社の今期(2018・3期)初回のEPS予想は昨年同様極めて保守的で今期の平田機工のEPSはこんな値に収束するとは到底思われません。有機ELD,半導体、EVなどの好調な市場成長性から考えての受注拡大予想によるものです。
 2017・3期の期別EPS推移は、有機ELを含む半導体生産設備事業や新規EVを含む自動車生産設備事業などの好調な受注(対前期比+55%)と大幅な生産性向上(対前期比+44%)によるコストダウンに支えられ、
1Q: 84円/株。
2Q:117円/株。
3Q:187円/株。
4Q:236円/株。
とEPS拡大傾向が継続しています。2018・3期もこの好調な推移が継続すると予想されます。
 
 有機ELを含む半導体生産設備事業並びにEV関連生産設備の市場拡大を背景に今期のEPSが対前期比僅か1.7%改善で収まるはずがありません。2017・3期と同じように、2018・3期2Q時決算発表を契機に2度の上方修正が待ち構えており最終的にはEPSは1000円/株を超えてくると予想します。

(B)上場市場への変更による影響:
 ジャスダックから上場市場への変更が実施されれば、取引先からの認知度や信頼性が向上して今後の受注拡大に繋がるだけでなく、金融機関から有利な融資条件を提案される、企業信頼性の向上による社債発行や借入金などの資金調達の容易性の向上、ADRを発行できる、投資信託ファンドに組み込まれる比率の増大など機関投資家の保有株式数が増大する、国内外で企業の知名度も上がり株式の流動性も好転し株価も上昇してPERは拡大する。

 また、詳細には触れなかったが、今回の資金調達により、有利子負債が減少(―20億円)してDEレシオ(負債資本倍率)が0.9以下に減少して財務基盤が一流企業と同じく盤石なものになることも忘れてはならない。

 総合的に言えることは、今回の資金調達とその使途及び上場市場への変更は短期的にも時価総額が拡大し、財務基盤が強化されると予想され、企業価値と信頼性の上昇に繋がり、メリットが大きいと結論付ける。

 よって、今回の資金調達とその使途計画と上場市場への変更は短期的でなく、中長期的にも平田機工の関連事業の市場の高度成長性(特に、有機ELディスプレイ市場、中国半導体市場、電気自動車の生産設備市場、有機EL照明市場など)を考慮すれば企業の更なる発展に繋がると言えるのは過言ではない。