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楽天グループ(株)【4755】の掲示板 2021/03/23

2021.03.17

■「角の先を見る」のが本当の実業家

――4月からは「楽天グループ」に社名を変更します。1997年、わずか13店舗で「楽天市場」を始めた楽天という会社が、ここまでのグループ企業になることは想像していましたか。

全然イメージしていなかったです。いまでも、将来はどうなるか分からないですが、「何となくあっちの方向に行けばいいよね」って走っている感じでしょうか。
「旧態依然とした日本を変革したい」というところが、ぼくのそもそもの起業の動機としてあって、その一つの手段として「楽天グループ」という会社があるという風に思っているし、日本にとどまらず、世界にいい形で貢献できるような企業グループになったらいいと思ってやっている。お金もうけがしたいとか、そういうことは最初から目的ではない。だからこそ続いているという感じがします。

――97年のインターネットショッピングモールも、その後の金融事業やプロ野球など、どの事業に対しても、「無理だ」「無謀だ」などと言われてきました。それを突破する力の源泉は、どこにあるのでしょうか。

突破できたものと、突破できなかったものが両方ありますけどね。でも、自分たちには実行に向けたプランとか戦略といったものがあるのです。英語で言うと、See around the cornerでしょうか、「角の先を見ろ」ですね。それが本当の意味でのアントレプレナー(起業家)だと思っています。やはり他人に見えないものを見ることって大事だと思いますね。それはイーロン(米テスラCEOのイーロン・マスク氏)もそうだし、ジェフ(米アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏)もそうだと思う。

――先ほど「挑戦者を称賛する文化」について言及されました。たしかに米国では起業家イーロン・マスク氏の足を引っ張るとか、そういうことはないですね。
イーロンがやろうとしていることに対し、社会の中に「これは面白い」という認識があるわけじゃないですか。だけど、日本において、例えば、ぼくが「ロケットをぶち上げて月に行く」と言っても、なかなか受け入れてもらえないかもしれない。携帯電話事業をやろうとしたときにも、いろいろな否定的なことを言われましたから。楽天グループとしてやってきたブレークスルーって、じつは海外からの評価の方が圧倒的に高いことが多くて、それっておかしいなと思うのです。

――私は米国勤務中、シリコンバレーで事業を次々と立ち上げる「シリアルアントレプレナー」(連続起業家)を取材し、そのパワーに圧倒されました。三木谷さんは、こうしたシリアルアントレプレナーをどう見ていますか。

そこは、いろいろなやり方があると思います。大河ドラマではないですが、渋沢栄一のようにさまざまな企業をつくっていくやり方もあれば、岩崎弥太郎のように三菱グループをつくるやり方もあるでしょう。米国ではイーロン・マスクのように、テスラをやったり、(宇宙開発の)「スペースX」もやれば、(地下トンネルを掘って実現をめざす新しい交通システム)「ハイパーループ」もやるとかね。楽天の事業も、ここまで大きくなって、ハンドオーバー(譲渡)ってことができれば、そういう選択肢もあるのかもしれないが、いまは楽天グループを「束ねる」ことが必要な段階にあると思っているので、その枠組みの中で新しいことをやっていくのでしょう。やろうとしていることが、明らかに「飛び地」のような事業だったら、グループと別のハコをつくるのかもしれません。
――これだけ企業グループが巨大化すると、三木谷さんが目配りできる範囲にも限界があるかもしれません。「任せるところ」「自分でやるところ」をどう仕分けし、このグループをどう束ねていきますか。

重要なのはグループとしてミッションを共有しているかということです。価値観やバリューを共有しているか。それを結び付けるための「プラクティス」が共有できているか。ここで言うプラクティスとは、例えば楽天グループ社員が週1度参加する「朝会」であったり、もっと言えば、自分たちで行う「月曜日朝のオフィス清掃」であったり。そういう共通思考は大事になってきます。あとは、ブランドネームを統一することかな。
例えば、アメリカ合衆国って、「ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ」じゃないですか。それぞれの州が一つの国になっているわけですが、じゃあ、それを束ねているものは何かというと、「合衆国憲法」ですよね。楽天グループの経営も、合衆国をどうマネジメントするかというイメージに近いかもしれない。統一するべきところと、自由度を与えておくべきところを、どうバランスをとるか。これは重要です。