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ファクタ 2018年2月号 BUSINESS より一部抜粋

理研「不肖の子」カイオムの大罪
創薬支援ベンチャーが思わせぶりな開示で、株価が上がれば保有株を売って去る「ハコ化」。

前社長も開発担当も逃亡
鳴り物入りの上場だったが、投資家の評判はすこぶる悪い。上場以来、一度も黒字に浮上したことがないせいもあるが、創業メンバーの保有株売却や開示情報の正確さに疑問符がついているためだ。実は本誌にも2~3年前から「カイオムを調べて欲しい」と投資家からたびたび投書が来ており、中にはバイオ分野に相当な知見を持っているとみられる投資家からの投書もある。
彼らが問題視しているのは、創業メンバーらが投資家を置き去りにするようにして保有株を売却し、カイオムを放り出して去って行く点だ。
たとえば13年12月、藤原前社長はカイオム株が3000円を超える水準で保有株の一部を売却。(省略)
やりきれないのは投資家だろう。藤原前社長は17年2月に経営責任を取る形で退任し、株価が持ち直す場面もあったが、結局は上場来安値に近い水準(1月5日現在、347円)にまで押し戻されている。
しかも彼らの保有株売却には、根拠が曖昧な情報開示が絡んでいるケースもみられる。
14年3月には実用化レベルの完全ヒトADLibシステムの構築に成功したと発表。「アライアンス契約獲得の取り組みを加速」、「知的財産権強化を進める」などと思わせぶりな内容を囃して株価はハネ上がったが、科学雑誌などへの論文発表もなければ、新規契約の獲得もなかった。同年5月に特許申請したが、後になって「想定できなかった複数の困難に直面した」として、これもうやむやになった。「複数の困難」とは具体的に何なのかについても十分な開示はない。
同システムの完成を発表する直前には、開発担当だった瀬尾秀宗氏(13年退職)が保有株を大量売却していた。
ところがカイオムは製薬会社との契約終了を発表すると、株価は一転して大きく下げた。売り材料を発表する前に根拠の薄弱な買い材料を盛大に打ち上げて「インサイダー取引にならないようにしているのではないか」(投資家)と疑うのはこのあたりだ。カイオムは「株式売却は関係諸則に基づいて行われている」と釈明するが、創業メンバーが保有株を売却する前後の情報開示が同じパターンだからだ。
(以下省略)