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NANO MRNA(株)【4571】の掲示板 2025/05/10〜2025/06/21

膠芽腫(こうがしゅ、Glioblastoma Multiforme; GBM)は、非常に悪性度が高く、治療が困難な脳腫瘍です。この病気の患者数、市場規模、そして薬価について見ていきましょう。
患者数
* 日本国内: 2021年の統計では、神経膠腫(グリオーマ)を含めた悪性の脳腫瘍と診断されたのは5,741例です。そのうち、膠芽腫は神経膠腫の約54%、原発性脳腫瘍の約16%を占めるとされています。別の情報では、日本における膠芽腫の年間新規診断患者数は約2,200人とされています。
* 世界全体: 米国では年間約15,000人が膠芽腫と診断されています。全世界では、2020年の脳および中枢神経系(CNS)がんの発生率は308,102人、死亡者数は251,331人でした。膠芽腫はこの中でも最も頻度の高い悪性腫瘍の一つです。
患者数は、希少がんの部類に入りますが、その致死率の高さと治療の難しさから、新たな治療法の開発が強く求められています。
市場規模
膠芽腫治療薬の市場は、患者数が限定的であるものの、治療が難しく、既存薬では十分な効果が得られないため、未充足の医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)が非常に大きいです。このため、新しい有効な治療薬が登場すれば、高い薬価が設定される傾向にあり、限られた患者数であっても、市場規模はそれなりに大きくなります。
* 世界市場規模: 成人悪性神経膠腫治療市場は、2024年に24.6億米ドルと推定され、2032年末までに53.5億米ドルに成長すると予測されています。これは、年平均成長率(CAGR)で10.3%とされており、比較的高い成長率を示しています。
* 促進要因:
* 膠芽腫の発生率の上昇(高齢化など)
* 新規治療法や併用療法の承認増加
* 個別化された治療アプローチへの需要
* 政府や規制当局による新規治療開発支援(ファストトラック指定、オーファンドラッグ指定など)
* 抑制要因:
* 多形性膠芽腫に対する有効な治療法の欠如(既存薬では生存期間の延長が限定的)
* 新規治療法の開発が困難であること
想定される薬価
膠芽腫のような難治性疾患に対する新規の治療薬は、一般的に高い薬価が設定される傾向にあります。 その理由は以下の通りです。
* アンメットメディカルニーズの高さ: 患者の予後が極めて悪く、既存の治療法では十分な効果が得られないため、画期的な効果が見込める新薬には高い価値が認められます。
* 研究開発コストの高さ: 脳腫瘍の治療薬開発は非常に難易度が高く、研究開発に莫大な費用と時間がかかります。特に脳血液関門(BBB)を通過させる技術など、高度な技術が必要となる場合が多いです。
* 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)としての位置づけ: 患者数が少ない疾患に対する薬は、開発費の回収が難しいため、薬価に優遇措置が設けられることがあります。NANO MRNAのTUG1 ASOもオーファンドラッグ指定を受ける可能性があります。
* 既存薬の薬価: 現在の膠芽腫治療薬は、例えば化学療法剤のテモゾロミド(ジェネリック薬価は低いですが、先発品は高価)や、腫瘍治療電場療法装置のオプチューン(機器と消耗品の費用が高額)などがあります。これらの治療は年間数百万円から、場合によっては数千万円に達することもあります。
例えば、がん免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」は、初期に高額な薬価設定が問題視され、薬価が引き下げられましたが、それでも年間数百万円単位の費用がかかります。CAR-T細胞療法のような超高額な治療薬(約5,000万円)も登場しており、難治性疾患に対する画期的な新薬は、それに見合った薬価がつく傾向にあります。
NANO MRNAのTUG1 ASOが、もし既存治療を凌駕する有効性を示し、かつ脳血液関門を突破できる革新的なメカニズムを持つならば、高額な薬価が設定される可能性は非常に高いと考えられます。特に、導出先の製薬企業が上市を目指す場合、そのコストとベネフィットを考慮した薬価戦略が練られるでしょう。

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