ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

ネクセラファーマ(株)【4565】の掲示板 2019/09/18〜2019/09/19

創薬ターゲットに困らない、王道は低分子  そーせい・田村CEO、新規モダリティは他社で
2019/9/17 04:30

 大手製薬企業でも新薬創出が困難になる中、バイオベンチャーが低分子の開発候補品を次々に生み出し、それを世界中のメガファーマが買いに来ている。そーせいグループの田村眞一CEOは13日、日刊薬業の取材に応じ、そーせいと英国子会社ヘプタレスの強みは「創薬ターゲットをどんどん作れることだ」と強調。「全ての開発品で導出交渉を行っている。もし全開発品を導出し尽くしたとしても、研究開発費に余力が出て、新規ターゲットを作れるので困らない」と語った。

 従来の低分子創薬では、ターゲットの構造を解明しなくてもランダムスクリーニングで薬にできた。だが、容易なものはすでに薬にし尽くし、難しいものだけが残されている。ところがそーせいは難易度の高い構造解析も行えるため、他社ではできない低分子薬を設計できるという。

 田村氏は「世界中で分子標的が枯渇して問題になった。標的がないから、製薬企業は新たなモダリティの獲得に動いた。抗体や抗体薬物複合体(ADC)、ペプチドなどだ。だが、医薬品の王道は低分子だ。Gタンパク質共役受容体(GPCR)には約400種類ある。その6割にはまだ手が付いていない」と指摘。「当社の強みは低分子創薬だ。新規モダリティは提携すればいい」と述べた。

●世界大手も注目

 そーせいは2015年11月、米ファイザーと創薬基盤技術で戦略的提携を交わした。その成果が表れ始めている。今年5~6月には2品目が開発パイプライン入りした。

 さらに今年7月にはロシュグループのジェネンテック社と、8月にも武田薬品工業と、複数のターゲットを標的にした基盤技術提携を交わした。

 田村氏は「ファイザーや武田にも創薬チームはあるが、当社はGPCR分野で世界トップクラス。大手からも『自社ではできない創薬ターゲットが欲しい』と言われる。ファイザーが良い例だ。詳細は明かせないが、すごいターゲットだ」と語った。

●A2aR拮抗薬やAD対症療法薬に大型化期待

 経営課題は、現在の安定収入源であるCOPD治療薬の特許切れ問題だ。特許期間延長の可能性はあるものの、26年以降に特許が切れる。その前に、次のロイヤルティー収入源を確保しておく必要がある。

 大型品として期待するのが、英アストラゼネカに導出したAZD4635。経口型のアデノシンA2a受容体拮抗薬で、がんの新たな免疫チェックポイントになり得る。現在は臨床第2相(P2)試験段階。抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体と併用する。

 アラガン社に導出した複数のアルツハイマー病(AD)治療薬にも大型化を期待する。新規作用機序のAD対症療法薬だ。ただ、開発が進んでいたHTL0018318では、サルの長期毒性試験で予期せぬ希少腫瘍が発現。開発が一時中断している。

 田村氏は「開発を再開するか、バックアップ化合物に切り替えるかはアラガンが判断する。ただ、アラガンはアッヴィに買収されるため、今は判断しようがない」という。ただ、同プロジェクトへの期待は大きい。「競合開発品もあるが、それらは選択性が低く、副作用が多い。当社の開発品は選択性が1000倍を超える。分子設計がきっちりできるからだ。競合がいなければ、開発が中断しても困らない」と述べた。

 HTL14242は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬として開発中。代謝型グルタミン酸受容体(mGlu5)のGPCRに作用する。P1試験実施中で未導出。「ALSには良い治療薬がないため、リスクは大きいが、当たれば大きい」という。

 HTL0030310は初の選択的ソマトスタチン受容体5(SSTR5)作動薬。クッシング病や先端巨大症での効果が期待される。現在はP1試験段階で未導出。