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多元素ナノ合金排ガス浄化触媒、京大などが開発に成功。ロジウム上回る性能、大幅な低コスト化

 京都大学の北川宏教授らの研究グループは、自動車排ガス浄化触媒に対して最も高い性能を有するロジウム(Rh)を凌駕する高耐久な多元素ナノ合金触媒の開発に成功したと発表した。Rhよりも資源量が豊富で安価なパラジウム(鉛)とルテニウム(Ru)に第3の元素としてイリジウム(Ir)を加えた合金触媒がRhよりも高活性かつ高耐久性であることを発見した。量産化技術はフルヤ金属との共同開発によって、すでに大量生産に向けたパイロット機を導入し、1ナノメートル級のナノ合金の安定量産化に成功している。現在は複数の自動車・自動二輪メーカーと実機での耐久試験などの共同研究を進めている。

 同研究グループは、過去に鉛とRuを初めて原子レベルで混ぜることに成功し、自動車排ガスの主成分である窒素酸化物(NOx)の浄化に対する触媒活性がRhを上回ることを発見したが、同ナノ合金は高温下での排ガス浄化反応では構造が崩れ、活性劣化を引き起こすという課題があった。これに対し、鉛Ruに第三の元素を加えることで配置エントロピーを増大させ、高温での固溶体構造を安定化させた種々のナノ合金の開発に成功し、鉛RuIrナノ合金が鉛RuおよびRhよりも高活性かつ高耐久性であることを発見した。特に排ガス規制で問題となっている低温領域の活性が高いこともわかった。
 自動車排ガス浄化触媒に使われる元素のうち、RhはNOxを唯一浄化できることから産出量の9割以上が自動車排ガス浄化触媒に使用されている。だが、昨今の世界的な自動車排ガス規制強化によって希少なRhの需要が高まり、今年1月には過去最高の1グラム約7万6千円を記録するなど価格高騰が続いている。こうした中、より安価でRhに匹敵する性能を持つ新しい物質の開発が強く求められている。今回開発した鉛RuIrとRhの価格を原価(21年2月時点)で比較した場合、鉛RuIrはRhの約10%の価格となり、9割のコスト削減につながる。
 同研究は科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業ACCELで進めてきたもので、共同研究グループには京大、信州大学、名古屋大学、九州大学が参画している。