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(株)田中化学研究所【4080】の掲示板 2020/02/08〜2020/04/02

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テスラの蓄電池価格、「普及期」視野 日本に変革迫る

経済 2020/2/17 23:00

再生可能エネルギーの普及に欠かせない家庭向け蓄電池の価格が重要な節目に差し掛かっている。米テスラが日本に投入する製品は蓄電容量1キロワット時あたりの価格でみると、国内の既存製品より格段に安い。太陽光パネルの設置費用などを考慮しても、電力会社から電気を買うより合理的となる水準に迫る。

「あとは本当にモノが販売されるかだけだ」。経済産業省の担当者がこう語るのがテスラが販売予定の「パワーウォール」だ。累計販売数は欧米を中心に5万を超える。日本での価格は蓄電容量13.5キロワット時で99万円としており、1キロワット時あたり7万円台前半となる。容量の小さい国内メーカーの製品は同20万円弱から30万円強が多い。

日本では福島第1原子力発電所の事故を機に、発電した再生エネ全量を高い価格で買い取る制度の導入で太陽光パネルの普及を図ってきた。しかし市場原理を無視した制度であったため、大きな利用者負担という禍根を残した。

自家発電・消費を増やすためには、天候に左右される再生エネの需給調整をできる蓄電池が不可欠だが、値段が高いという問題があった。

テスラ製の蓄電池が大きな注目を集めるのは、電力会社から電気を買うより蓄電池を活用して自家発電した方が安くなる節目である「ストレージパリティ」の一歩手前の価格水準だからだ。

三菱総合研究所の最新の試算によれば、新規に太陽光発電パネルを設置する戸建て住宅の場合、蓄電池が6万円になると、ストレージパリティを下回る。試算は日本メーカーが主力製品を投入するゾーンである容量5キロワット時の蓄電池を前提としている。テスラが発売する蓄電池は容量が2倍超と大きいものの、日本でも家庭の非常用電源として活用するには大容量化が必要になるとの見方が多い。

日本メーカーは機能性や安全性をアピールしている。たとえば京セラは停電時にあらかじめ設定した家電へ優先的に電力を供給する機能を搭載する。パナソニックは人工知能(AI)が搭載された管理システムと連携し、大雨や暴風などの警報が出ると、停電に備えて自動で電気を蓄えることができる。

蓄電池開発のエリーパワー(東京・品川)はリチウムイオン電池の安全性強化に力を入れている。同社の吉田博一会長は「価格以外にも比較できる基準が必要だ」と強調する。

テスラが低価格製品を販売できるのは、電気自動車(EV)向けの蓄電池をつくる大型の生産設備を持っていることが一つの要因とみられるが、それだけでは説明しきれない。三菱総合研究所の長谷川功主任研究員は「テスラは直販なのに対し、国内メーカーは卸売業者を間に入れることも要因だ」と説明する。

同研究所の国内メーカーへの聞き取り調査によると、蓄電システムを設置する家庭が支払う費用は15年度平均で約22万円。内訳は電池部分が約8万円で、変換器など他の部品や検査・認証費用を含めると約15万円にのぼる。一方、中間卸業者による中抜きなどの流通コストは約7万円で、全体の3分の1にのぼる。

価格面の大きな前進で再エネの普及に弾みがつくと何が起きるのか。都留文科大の高橋洋教授は「電力会社のビジネスモデルが根底から変わる」と指摘する。電力小売りの売り上げは減少し、送電線の利用料を徴収する「託送料金」の収入にも響くためだ。

ドイツ貿易・投資振興機関によると、同国では18年にストレージパリティに到達した。現在は太陽光などの分散した発電所をまとめて運用する仮想発電所(VPP)事業が急拡大している。

電力会社がこうした将来を予測し始めると、火力や原発などの大型発電所への投資よりも「VPPなどの新ビジネスに先手を打つ動きが増えてくる」(高橋教授)という。電力会社を中心とした集中型の電力供給から、各地でつくられる再生エネを融通しあう分散型へと転換し始めるのは案外近いかもしれない。