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経済産業省は28日、MBO(経営陣が参加する買収)に関する改定指針を発表した。改定は12年ぶり。株主に不利とならないよう、独立性を担保した委員会を設置して買収価格の算定根拠などを議論することを求める。買収価格の透明性を高めるため、情報開示の充実も必要だとした。

MBOはM&A(合併・買収)の一つで、経営陣が自らの企業や事業部門を買収して独立する手法だ。一般的な企業買収では経営者は株主のために高い価格での売却を目指す。だがMBOは経営者が買い手を兼ねるため価格を抑えたいとの動機が働きやすく、少数株主の保護が課題だった。新指針は親会社が上場子会社を完全子会社化する際のM&Aも対象とした。

改定指針はまず、買収プロセスの監督機能を強化するため、MBOに参加していたり親会社から出向している取締役を除いたメンバーでつくる「特別委員会」の設置が必要だと明記した。社外取締役はMBO価格などの決定議論に関与するなど、積極的な役割を果たすことが求められる。

交渉プロセスや判断の根拠などの情報も開示させる。買収価格を算定する際に使う割引率や類似企業などをどのように決めたか開示を求める。これまで企業の内部情報に詳しい経営陣が株主に十分な情報を提供せずにMBOに踏み切る恐れがあると指摘されていた。

MBO件数は低迷している。広済堂の試みたMBOは価格が安すぎると批判され失敗した。過去には安い価格でMBOを強行して訴訟となり、裁判所から価格引き上げを求められた例もある。指針改定で「訴訟リスクが減り、案件が増えるかもしれない」(フィデリティ投信の福田理弘氏)との声が聞かれる。

一方で社外取締役が主体の特別委の設置が必要となるなど企業の負担が重いとの見方もある。大和総研の鈴木裕主任研究員は「(特別委の)モチベーションやインセンティブを維持する工夫が求められる」と指摘する。