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(株)JPホールディングス【2749】の掲示板 2016/03/30〜2016/07/21

 保育大手が保育士の賃金を大幅に引き上げる。ポピンズ(東京・渋谷)は関東の正社員の給与を平均15%引き上げた。最大手のJPホールディングス(HD)は全体で平均4%上げる。保育士不足が深刻ななか、人材確保につなげる。政府は待機児童の解消に向け保育士の給与を2%引き上げるよう促す方針だが、保育サービスの維持・拡大のため、これに先駆けて大幅な増額に踏み切る。


 全国の待機児童数(2015年10月時点)は4万5315人と5年ぶりに増加。大都市を中心に解消の見通しがたっていない。高い地価や住民の反対などで保育所の開設が容易でないうえ、給与が低く保育士を確保しにくいためだ。給与は保護者の支払う保育料、行政の補助などを基に各保育所が決めるが、平均月給は約21万円と全産業に比べて約10万円低い。
 政府は2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で17年度末までに保育定員を50万人増やし、保育所への補助を手厚くして月給を引き上げる方針を打ち出した。保育所は保育士1人当たりの子どもの人数などが決まっており、各社は足元で厳しさを増す人材不足対策を迫られている。

 ポピンズの給与引き上げは関東の約60カ所の認可保育所などに勤務する保育士、看護師など約700人が対象。大卒の初任給も月額1万7千円高くした。特に関東で人材確保が難しいためだ。

 JPHDは中途採用者を中心にキャリアや能力に応じて給与を上げる。中途採用は基本給が新入社員と同じだった。昨春は平均8%(約1万7千円)のベースアップを実施。2年連続の給与改善で離職を防ぐ。資格があるのに働いていない「潜在保育士」の復職も促す。

 定期昇給部分を拡充する例もある。97施設を運営するキッズコーポレーション(宇都宮市)は一律1千円だった定昇を4月から能力に応じ最大3千円に増額した。「幅を持たせることで意欲ある保育士のやる気を引き出す」(大塚雅斗社長)

 JPHDは賃上げなどの待遇改善により、17年3月期は11期ぶりの減益となる見通し。それでも荻田和宏社長は「利益を待遇改善に使った方が中長期的に経営にプラス」と競争力の強化に期待する。持続的に待遇を改善する原資を生むには、効率化などによる収益向上策を急ぐ必要もある。

 賃上げ以外の待遇改善にも力を入れる。JPHDは返還不要の奨学金制度を設け、月額5万円を最長2年間支給。アートコーポレーション子会社のアートチャイルドケア(大阪府大東市)は通勤費の上限を撤廃、遠方から通勤できるようにした。