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・特別養護老人ホーム優遇が見直され有料老人ホームに商機

 安倍政権は規制改革を通じて、様々な産業のイコール・フッティング(競争条件の同一化)を推し進めようとしている。介護分野において、とくにやり玉に挙げられているのが特別養護老人ホームと有料老人ホームの不平等な関係だ。

 まず、特養ホームを運営する社会福祉法人は、法人税や固定資産税などの納税義務が免除されている。さらに、地方自治体や国から多額の補助金を受けているため、月額利用料は3~5万円程度(食費を除く)と割安である。

 これに対し民間企業が運営する有料老人ホームは補助金や税制優遇が受けられないため、利用料は高い所だと30万円程度になる。これでは民間が特養ホームに太刀打ちできないのは明白だ。
 
 今後TPPが締結されると、特養ホームへ優遇は協定に反する制度とみなされ、ISD条項によって日本政府は損害賠償を請求される可能性が高いと思われる。それを避けるため、安倍政権は低所得者や重度の要介護者を受け入れている一部の特養ホームだけに補助金や税制優遇を与え、ほかは民間の有料老人ホームと、同じ土俵で戦わせるシナリオを描いている。実現すれば、有料老人ホームを運営する上場企業に猛烈な追い風となる。

 ISD条項・・・「国家と投資家の間の紛争解決」という意味で、企業などの投資家を保護するためのルールです。